少し前になるけれども連休前にポーランドから来日中の友人プシュモのオープンスタジオを訪ねてTWS青山へ。
その前にTWS渋谷のグループ展「Tokyo Story」を最終日に観る。いやはや良い展覧会でした。
レジデンスや交流プログラムの成果発表を織り交ぜたキュレーションで作品のクォリティーも高い。米田知子の写真からは自分たちが、ともすれば日常より避けているようなリアルな立ち位置をのど元に突きつけられた感じがしたし、カンボジアのアーティストの空気をかぶる映像は東日本の現状を考えると身につまされた。小泉明郎のB29のインスタレーションも圧巻だし、岩井優のビルを洗う映像もまた見事で「浄化」ということについて、シンプルな題材を通して放射能の除染から魂を清めるところまで様々なことを深く考えさせられた。
一番感銘を受けたのはタイ人アーティストのグリッサゴーン・ティンタップタイのフィルム。あの黒い子供がちょろちょろしている作品はヤバいです。妖精、お化けは本当にいる、少なくとも日本人が失ってしまった精霊たちがタイの自然の中にはまだまだリアルに生きているのだと感じさせられた。また、東京滞在中の作品も全く違う東京を感じさせてくれるし、アーティストの田村君がタイ人の仏教僧侶の托鉢についていく様子を追った作品も人間が内に秘めている何とも言えない信仰の根源のようなものを感じさせるものだった。
展覧会観賞後にTWS青山のオープンスタジオへ行ってプシャモが館内を色々と連れて回してくれたのだが、彼とオーストラリア人のアーティストの会話を聴いていて、やはりロジカルなお題目に重きを置く西洋人のメンタリティと「Tokyo Story」展のアジアのアーティストの作品群の醸し出す空気との差がとても面白かった。論理的な基軸に重きをおく西欧のアートに対して、言葉でハッキリとは言い切れない微妙なところに触れ続けるアジアのアートの可能性に言及しているこの展覧会の先見性に大きな期待をする次第。このあたりの大切さをきちんと議論していくことは、西洋の近代主義がいよいよ行き詰まってきている現在、日本やアジアの将来に大いに役立つと思うのだが。。。ともかくとても刺激をうけた展覧会でした。