3/29
日曜日に夏時間になり昼が長くなった。
日差しも暖かいし、どうせ資料の本を読まねばならぬのならば行ったことがない場所へ足を伸ばして読書をすることに決める。
今日は6区のおしゃれな通りをウィーン西駅の方へ向かって歩く。
途中にアーティストがオーガナイズする小さなカフェ(一応オルターナティブスペースなのかな)があった。感じの良い空間だが作品を搬入中だったのでまた来ることにする。
そうこうするうちにトラムがごにょごにょ集まるターミナルまで行き着く。
辺りを見回すと地下鉄U6ラインのBurggasse-Stadthalleの駅ビルが見えた。この建物は変わっていて南面が急な階段になっていて上まで昇れる。上部のカフェレストランは休業中だったが、結構多くの人たちが休んで読書している。
長袖のシャツ一枚でも汗ばむ陽気。春本番、本当に暖かくなったものだ。
一時間ほど読書した後、行きに見つけた感じの良いトルコ料理屋で安いランチを食べて戻る。陽に焼けた。
そうそう3/8のブログに書いた熊の水車小屋喫茶店の看板、本当にありました。
先日買出しに出た時に変なデコレーションだなと思って写真を撮ったのが丁度ナッシュマーケットの近くだったのを思い出し、もう一度写真をアップにして見直したら確かにこれだ。(分かりづらいので赤線で縁取りしました。上部に水車小屋が見える。左下が粉屋の親父。中央に雄叫びをあげて苦しがる熊。右側に熊の首を締める若者。何だか熊が可哀想。。。)
17~8世紀の頃の話、この辺りは牧歌的風景が広がる田園地帯で水車小屋があった。寒さが厳しいある冬のこと、食べ物を求めて森から巨大な熊がさまよい出て来て「聖霊水車小屋」の粉屋の親父をとって喰おうとした。親父の叫びを聞きつけて二階に住んでいた粉引き職人の若者が後ろから熊に飛びついて首を絞めた。その間親父は脱出して人を呼び、最後にはその熊をしとめたとのこと。
無欲な若者は報酬を求めず、戦利品として熊の毛皮を貰って「ベーレンホイター(熊の皮へ)」という名前の喫茶店を始めたらしい。
粉屋の親父は記念にその絵を描かせて水車小屋の前に掲げた。以来そこは「熊の水車小屋」と呼ばれるようになったらしい。
ウィーンっ子はそんな話、誰も知らなかったけれど。
(「オーストリアの民話~アルプスの人びとの世界」窪明子 著 刀水書房より)