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日曜日に武蔵村山市にある中学校の解体現場へ救助犬訓練の見学へ行く。
春に大船渡で知り合った消防士の救助隊の訓練をしている教官の方と日本救助犬協会の方に誘われたもの。
震災被災地で彼らから聞いた現場の話も「え~っ!?」の連続だったが、今回も大変ためになるものだった。
まず、我ら一般人は各地の消防など行政に救助犬というものを育成している機関があると思いがちであるが、実は全くのボランティアで民間人である。
だから3.11の時は震災翌日には仙台まで到達していたにも関わらず、実際に被災地に入れたのは人命救助の目安となる72時間後であった。
震災直後は行政側が混乱していたこともあるが、犬を扱うハンドラーは民間人であり、危険な現場では身の安全を保証できないというのが大きな理由らしい。
知人である教官の方曰く、日本ではまだまだいざという時にICS(Incident Command System:災害時指揮命令系統)が機能していない。
彼は実際に現場に入ってオランダからきたボランティアの救助犬や消防、そして自衛隊と救援活動にあったったが、オランダ人はもちろんのこと自衛隊も垣根を越えた自主的な協力体制に慣れていて、非常にスムースに現場で事が運べたと言う。
大災害に於ける救援活動では消防、警察、自衛隊、民間の協力体制が必要不可欠であるが、現状では救援方法ひとつとっても統一されておらず
USAR(Urban Search and Rescue : 都市型捜索救助)の方法論の普及が望まれている。
今回は各地の件の教官や救助犬協会の方の人脈を利用して各地の消防士と救助犬協会の共同で実現した画期的な訓練の現場を見学することが出来た。
実際に生きた人を瓦礫の中に隠し、救助犬とともに消防士たちが声を出しながら歩いていく後を私も付いて歩かせたもらったが、かなりの緊張感があった。
その中で、救助犬協会の方々が持っていた胃カメラみたいなスコープ(?下写真参照)は瓦礫で隠された場所を見るのに活用されていて、一般の消防士の方たちにとっては驚きのツールであったようだ。
救助犬協会の設立は意外に歴史が浅くて阪神淡路大震災の後であった。
このような解体工事現場での訓練にはなかなか許可が下りず、ここまでくるのには大変な道のりであったらしい。
一般に震災に対して危機意識が高まっている現在、このように訓練が出来る現場の確保と垣根を超えた共同の訓練の頻度を上げることが必須であるとのことである。
犬を育成するのには3年かかる、そして育った犬は実働約5年とのこと。
常に優秀な犬を確保するには頻繁に世代交代が必要で、それには分母となるボランティアの方々の数を増やす事が必要だ。
また、消防士の方々のミーティングは大変勉強になった。
救援活動に不可欠なロープひとつとってもまちまちで、これから先に統一された基準を設けていく事が必要ではあるが、本来音頭をとるべき総務省もアメリカから真っ先にUSARの方法論を導入した大都市に対して後から指導しにくいなどの問題も耳にした。休みを使って参加している若い消防士が「これから先、救助方法がどのような方向で統一されていくのでしょうか?」という質問は命の現場を預かる立場からすると切実な問題であろう。
それにしても、消防士ってのは日頃から命張ってるだけあってカッコいいねえ。