Nanobotmodels社は、2007年にウクライナに設立された会社で、近代芸術と科学技術の連結を目指している。ナノテクノロジーやナノ医療に関するビデオやイラストを製作していて、ナノテクノロジーの未来を垣間見る上で興味深い。下の図はナノ粒子が癌を治療している様子を描いたものである。
ナノ粒子は、酵素など種々の生体分子とほぼ同じ大きさでかつ細胞より小さい。したがって、細胞の表面にある生体分子だけではなく、内部の生体分子とも接触出来る。そのため、癌の治療だけではなく診断にも好都合である(9/27参照)。
癌治療には色々な方法が提案されている。最近シラキュース大学の研究グループは、金のナノ粒子を用いた癌治療の画期的な手法を見いだした。それは、まず金ナノ粒子の表面をDNAでコートする。DNAには数多くの薬剤分子を付着させることが出来る。この原理を用いて、種々の薬剤分子を付着させた金ナノ粒子を作成する。それをさらに反応性が低い材料でコートし、血液中を循環させる。腫瘍は急速に成長するため、細胞間にすき間が多く、他の細胞に比べてナノ粒子が多く付着する。このため、少ない副作用で癌細胞を処理出来る。癌細胞だけに薬剤を付着させる手法を探索中とのことだ。
図に示したのは、癌の光熱療法である。金ナノ粒子は、その形によって吸収する光の波長が異なる。たとえば棒状の金ナノ粒子は、人体を通過する長い波長の赤外線を吸収する。腫瘍に金ナノ粒子を付着させ赤外線を照射すると、その部分が加熱され腫瘍を除去することが出来る。Nanospectra Bioscience社が作成したAuroShellは、金をコートした酸化ケイ素ナノ粒子であるが、すでにアメリカ医薬品局(FDA)の許可を得て、治験に使用されている様である。
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