六十五、諸経中いずれが最も好い
経典を見るのは、原来(がんらい)法を求めるためで、既に法を得ておれば、経典を読まなくても妨げはありません。
ただ一点の性霊(せいれい)を守る事が肝要であり、この一点の性霊こそ一巻の無字の真経(しんきょう)であります。
仏教の経典は、総数五千四百八十巻もあるので、況(ま)してそのような多数の経典を、一日一梭巻ずつ読んでも、十五年を費やしてようやく読み終わる訳であります。
日月は梭(ひ)の如く早いもので、そのような時間がありましょうか。
然しながら経典は読んだ方が良い訳であります。
経を読んで経に依(よ)って行うならば、正に有益であり損は致しません。
大学・中庸・論語・孟子・金剛経(こんごうきょう)・法宝壇経(ほうぼうだんきょう)・道徳経及び清静経(せいせいきょう)等の経典を読めば、皆大いに智慧を開くので参考書として読むべきであります。
続く