日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

平造脇差 正利 Masatoshi Wakizashi

2016-06-13 | 脇差
平造脇差 正利


平造脇差 正利 

 一尺強の先反りが付いたバランスの良い作。利器の極みだが、美しい。正利は「坂倉関」の呼称が残されている優れた鍛冶集団の一人。村正との技術交流が考えられており、この作にもその片鱗が窺える。地鉄が特に綺麗だ。板目鍛えの地鉄が均質に詰んで柾状に揺れながら流れ、これに細かな地沸が付いて潤い感が尋常ではない。肌目に沿って地景が流れ掛かり、映りも健在、強みと緊張感に満ち満ち、しかも美しい。刃文は、互の目が穏やかに連続し、互の目の谷が刃先に寄り、焼き頭はわずかに尖り調子。帽子は地蔵となり先が掃き掛けて返る。焼刃は小沸主調に匂を伴って明るく冴え冴えとし、これが鍛え肌に沿って流れ、地中には湯走りが、淡い匂が立ち込めた刃中には無数の金線と砂流が刷毛目のように掛かって水辺の砂地模様を思わせる。斬れ味良業物だが、何度も言う、頗る美しい。□




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