日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

出羽大掾國路

2024-07-10 | 
出羽大掾國路も、相州物古作の再現ではよく知られている刀工である。堀川國廣の弟子で、しかも三品派にも学んでいると思われ、両流派の作風を活かした作としている。堀川一門のざんぐりとした肌合いと三品派の柾目流れ肌を組み合わせたような覇気のある地鉄で、刃文は沸の強い志津を想わせるような、変化のある互の目の構成が特徴である。
 國路の作品は比較的多く遺されているも、刀の割合は少ない。



1 刀 出羽大掾藤原國路
平肉厚くしっかりとした造り込み。小板目鍛えと板目鍛えの調合になる地鉄は流れ肌を交え、杢肌が交じって肌立つ風をみせ、全面に地沸が付いた中に地景が入って鍛え目を際立たせている。刃文は不定形に乱れる互の目と湾れの複合。全体に穏やかな湾れの所々に鎬筋を越えるほどに深い乱刃が焼かれている。互の目は丸みを帯びたり、尖り調子であったりと、一様ならざる構成。帽子も不定形に乱れ込み、先尖り調子に浅く返る。沸の強い焼刃は一際冴え、その所々に湯走りが掛かって刃中に沸が流れ込む。志津写しと言われるも、志津に比較して平肉が厚く、江戸初期の造り込みが古作のそれと異なっており、見分けどころともなっている。






2 刀 出羽大掾藤原國路
 二寸ほどの磨り上げだから、元来は二尺六寸を超える長寸刀。茎の下端に銘が遺されている状態だが、さて、このまま銘が磨り落とされてしまったら、何に極められるのだろう。地鉄は流れ調子の板目肌とざんぐり肌の調合で、地沸が付いて沸映りが起つ。刃文は湾れに不定形な互の目乱が交じり、帽子は乱れ込んで先が地蔵風に返る。焼刃は沸が強く、湯走りも地中に広がり、刃中には沸筋や砂流しが掛かり、刃中の沸に濃淡変化が窺える。





3 脇差 出羽大掾藤原國路
 刃長一尺二寸ほどの鎬造脇差。この寸法の鎬造は江戸最初期の特徴的な造り込み。またこの寸法の平造も多い。戦国時代の平造に比較して肉厚くがっしりとしている点が見どころ。地鉄は板目肌に杢が交じってざんぐりと肌立ち、処々に流れ肌が交じり、地沸が付く。刃文は焼頭が単調に揃うことのない互の目乱。沸深く明るく、刃中に沸の広がり、沸の流れが窺える。帽子は浅く湾れ込んで先尖り調子に返る、三品帽子。