日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

短刀 備中國守次 Moritsugu Tanto

2018-08-06 | 短刀
短刀 備中國守次


短刀 備中國守次 延文二年

 この短刀も極上質の地鉄が魅力の作。九寸一分強、重ねは薄め、菖蒲造とされている点が珍しく、特別の注文作であることが判る。縮緬肌とされた地鉄は、板目に杢目が複合され躍動感に溢れているもので、細やかな地沸と変幻に乱れた映りが働き掛かり、鋼がなぜにここまで美しくなれるのか、深く考えさせられる出来。高位の武家の注文により、良い鋼を選別し、丁寧に鍛えた結果がこの短刀である。もちろん刃文は穏やかな直刃。青江には、さらにいうなら守次には穏やかな直刃と、その真反対と言い得る火炎状の逆丁子出来の二手がある。頗る高い技術を保持した守次の傑作のひとつであると思う。□