日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

太刀 古備前 Ko-Bizen Tachi

2018-07-05 | 
 刀の地鉄が大きく変化したのは、鎌倉時代前期と戦国時代後期であろう。戦国時代の変化は、「祐定」と銘された作品群の変化を眺めると、少しは判かってくる。江戸時代にも進化はしているが、むしろ刀工の関係が複雑になりすぎて分かり難くなっているようにも思える。
平安時代から鎌倉初期にかけての地鉄の見かけは、映りというべきか地斑というべきか総体に白っぽく感じられる。技術革新はどこから起こったものであろうか、大和の古千手院派が古くから活躍しており、大和鍛冶に限らずこの辺りを深めてみたい気もするが、なかなか時代の変化を如実に示している作品群に接する機会がない。
備前鍛冶も歴史が古く、平安時代末期から鎌倉時代初期には大きな変化がみられる。古備前鍛冶から古一文字へ、さらに福岡一文字、長舩鍛冶、吉岡一文字などへと、作風を微妙に違える流派の隆盛に至っている。


太刀 古備前


太刀 古備前

 鎌倉時代初期備前鍛冶の大磨上無銘の太刀。備前の古作では、平安時代から鎌倉初期の作を古備前と呼び分けている。古一文字も時代的に含まれるが、一文字の特徴が現れているものを特に古一文字と呼び分けている。本作は、系統までは絞り切れないため、古備前。焼刃は、刃文の様子が判らないほどに乱れた小乱に沸筋、砂流し、金線などが交じった出来。ねっとりと詰んだ地鉄が古作の特徴。一見して板目肌が地景で肌立っているように感じられるが、その肌間は微塵に詰んでおり、それらに映りが感応して躍動的景色が窺える。極上質の古作であることは間違いない。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする