日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 長曽祢虎徹 Kotetsu Wakizashi

2012-10-01 | 脇差
脇差 長曽祢乕徹

 
脇差 長曽祢興里入道乕徹

 一尺五寸五分の、大小揃いとされた内の脇差。寛文年間の作で、比較的反りが少ないとはいえ、バランスよく反り、扱い易さが追求されている。地鉄は小板目肌が均質に詰んで地沸が付いて冴え冴えとしており、これを縫うように板目肌が、特に物打辺りに見える。鎬地の柾目は江戸期の刀の特質。刃文はゆったりとした湾れ刃で、横手辺りでいったん浅くなり、帽子はふくらが尋常に先小丸に返る、いわゆる虎の顎。焼刃は小沸出来ながら、刃境から刃中に明るく冴えた匂が濃密に広がり、刃先に至るまで匂で満ち満ち、この上を太く細くと沸筋が幾筋も走る。光を反射させて観察すると、このような匂の存在が乕徹の真価であり、誰にも真似の出来ない作風であると言い得る。この脇差の基礎は相州物にあり、古名作を手本としたことがよく判る。