日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 丹波守吉道 Yoshimichi Wakizashi

2012-02-15 | 脇差
脇差 丹波守吉道


 
脇差 丹波守吉道

 三品派金道の弟。平造脇差は南北朝時代の腰刀を想わせる造り込み。先反り付いて迫力がある。相州伝を基礎に独創的な刃文を生み出したのがこの工。堰を越えて下る川の流れを想わせる刃文がこれだ。刀身を横にして眺めれば一目瞭然。江戸時代には簾刃と呼んだらしいが、作者は簾を意図して刃文を焼いたわけではなかろう。むしろ雅な京の川辺に立つような、自然観をここに見るべきであろう。吉道は相州古伝の沸筋からこの刃文構成を創案したわけだから、優れた美意識の持ち主であり、現実に江戸時代前期には広く好まれ、この門流が大坂においても栄えてことから、意匠としても優れているといえよう。
 地鉄は板目が小模様になって詰み、地沸が付いて潤い感がある。技術改革によって洗練味が高まっていることが分かる。沸と匂の複合になる刃文は、沸筋が複式に刃先に沿って流れる構成で、刃縁には沸がほつれた相州古伝でありながらもやはり新時代の美しさが感じられる。地中にも沸匂の筋が流れて働きとなっている。

 
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