日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 伊賀守金道 Kinmichi Wakizashi

2012-02-04 | 脇差
脇差 伊賀守金道


脇差 伊賀守金道

 

 江戸時代前期の大坂に興った大互の目や濤瀾乱刃の基礎には相州伝がある。戦国時代末期から江戸時代初期にかけて相州古作に人気が集まり、殊に鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて製作された沸の激しい出来の、しかも長寸の太刀を磨り上げた作やその写し物が好まれ、その流行はそのまま江戸時代の刀の流れの一つとなった。その洗練味が高まったのが大坂新刀である。
 写真は江戸時代初期の相州伝の一例。戦国時代末期に美濃国から山城国京都に移住した三品派を代表する金道である。南北朝時代のような幅広で先反りの付いた腰刀のスタイルだが、重ねが極端に厚いのは江戸時代最初期の特徴。地鉄は板目肌が強く現われ、地沸がこれに絡んで一部飛焼によって沸が叢に付いている。このような地に沸の変化が見られるのも相州伝の魅力。地鉄はさすがに丁寧な鍛えで綺麗に詰んでいる。焼刃の激しさはもちろん相州伝の最大の特徴。沸があらぶり、和紙を引き裂いたような沸のほつれが現われ、沸筋、沸の島刃、沸の太い足が入る。地にも湯走りが流れ込む。帽子も沸付いて火炎状に激しく乱れて返る。

 
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