短刀 備前國住長舩与三左衛門尉祐定 天正九年 Sukesada-YosozaemonnojoⅡ Tanto 2018-07-03 | 短刀 短刀 備前國住長舩与三左衛門尉祐定 天正九年 短刀 備前國住長舩与三左衛門尉祐定 天正九年 二代目与三左衛門尉祐定の両刃造短刀。この時代としては小振りに引き締まった造り込み。以前にも紹介したことがある。名品である。地鉄が頗る綺麗だ。
短刀 備州長舩祐定 天正四年 Sukesada-Tensho4 Tanto 2018-06-26 | 短刀 短刀 備州長舩祐定 天正四年 短刀 備州長舩祐定 天正四年 こうして天文から永禄、元亀、天正と短刀を順にみると、天文の内反り調子から反りが少なくなり、天正の茎までわずかに反りが付いているような姿へと微妙に変化しているのが判る。地鉄は良く詰んだ小板目肌に杢目と板目を交えて澄んだ、質の良さがわかる出来。刃文は直刃に湾れ交じりで、物打辺りが乱れる。帽子は返りが深い。
短刀 備前國長舩祐定 元亀三年 Sukesada-Genki3 Tanto 2018-06-20 | 短刀 短刀 備前國長舩祐定 元亀三年 短刀 備前國長舩祐定 元亀三年 前回紹介した永禄十一年の短刀に似ているが、こちらの方がわずかに反りが深い。深いと言っても、微妙な違いだ。茎幅が広めに張りが感じられるところも違う。地鉄は杢を交えた板目肌が詰んで地景が入り組み、肌目が強く立って見える。銘形は、これもあまり見ない切り方だが、出来は頗るいい。直刃仕立てに湾れを交えた刃採りで、帽子はみだれ、履き替えを伴って返りが長い。匂が主調の刃中は小足が入り、良く澄んでいる。
短刀 備前國住長舩祐定 永禄十一年 Sukesada-Eiroku11 Tanto 2018-06-19 | 短刀 短刀 備前國住長舩祐定 永禄十一年 短刀 備前國住長舩祐定 永禄十一年 先に紹介した天文頃の短刀によく似ている。ただし切先部分の焼が強く乱れている。銘の切り方は、やや右上がりに、しかも角部が鋭く仕立てられている、あまり見ない銘形。地鉄は板目肌が詰んで地景により肌立つ風がある。直刃湾れの刃文が面白い。下半は沸筋が強く二重刃やほつれが鮮明で、上半は比較的穏やかになり、再び帽子が激しくなる。物打から帽子が乱れるのがこの頃の備前刀の特徴。
短刀 備前國住長舩祐定 弘治三年 Sukesada-Kouji3 2018-06-15 | 短刀 短刀 備前國住長舩祐定 弘治三年 短刀 備前國住長舩祐定 弘治三年 刃長七寸二分の両刃造。断面が菱型になった構造で、突き刺してどちらに力を加えても致命傷を与え得る恐ろしい武器だ。この時代は源兵衛尉祐定の時代。この両刃造も優れており、源兵衛尉あるいはそのごく近くの刀工の作と考えられる。弛みなく良く詰んだ小板目鍛えがそれを証しており、緻密な地鉄に微細な地沸が付き、武器とは思えぬ美しさ。刃文は直刃湾れだが、物打辺りがほつれ掛かり、先端が乱れる。この頃の備前刀の特徴が現れている。
短刀 備州長舩祐定 Sukesada Tenbun18 Tanto 2018-06-14 | 短刀 短刀 備州長舩祐定 短刀 備州長舩祐定 天文十八年 先の短刀と良く似ている。刃長も六寸六分。板目が強く現れた地鉄鍛えに直刃の刃文。刃中は小沸匂で乱れが強いところがちょっと異なる。刃中は沸が濃密で、これを分けるように金線が走っている。帽子は先端が焼崩れており、祐定や清光など末備前の特徴が現れている。具足の備えとされた実用武具だが、良く遺されてきたと思う。
短刀 備州長舩祐定 天文十年 Sukesada-Tenbun10 Tanto 2018-06-13 | 短刀 短刀 備州長舩祐定 天文十年 短刀 備州長舩祐定 天文十年 六寸九分の小振りで引き締まった造り込み。具足の腰に備えていた実用の武器。鎧の隙間から使用したものであろう、身幅も抑えられて実に機能的。杢を交えた板目肌に地景が加わり、地沸が付いて備前物らしい地鉄鍛え。刃文は直刃で、帽子はわずかに乱れて返り、表裏わずかに異なっている。刃中は匂に小沸が付いてほつれ掛かり、刃境の一部に長い金線が走るが、多くは小模様な働きとなる。
短刀 与三左衛門尉祐定 享禄 Sukesada-Kyoroku2 Tanto 2018-06-11 | 短刀 短刀 与三左衛門尉祐定 享禄 短刀 与三左衛門尉祐定 享禄二年 両刃造短刀の極上作。以前にも紹介したと思う。じっくりと眺めてほしい。初代与三左衛門尉祐定は天文十一年に没したという。初二代の分かれ目はその辺り。この短刀はもちろん初代の作で、刃長六寸六分の小振りに引き締まった出来。この小さな中に刀の美観が凝縮されている。殊に長く層状に幾筋もの金線が走る焼刃の働きには驚かされる。
短刀 祐定 Sukesada-Eisho2 Tanto 2018-06-01 | 短刀 両刃造短刀 備前国住長舩祐定 両刃造短刀 備前国住長舩祐定 永正二年 明應年紀の両刃造と同様に寸法が控えめ。地鉄は板目が強く肌立つ風があり、映りも顕著。刃文は浅い互の目の連続。互の目の頭が穏やかに連続し、小足が伴う。古い研磨であるため、刃文の様子は分かり難いが、焼刃は鮮やかである。
短刀 備州長舩祐定 Sukesada Tanto 2018-05-29 | 短刀 祐定の工銘は、全刀工の中でも最も多い。祐定は戦国時代に隆盛した作刀技術集団であり、現代風に言えば規格化された製造工程を持つ武器製造会社である。良く言われるように、量産品の製作は分業であった。特別の注文作に関しては、与三左衛門尉や源兵衛尉のような棟梁祐定か、指定された特定の祐定が、最も重要な鍛えと焼き入れを施したと考えてよいだろう。銘鑑を見ると、祐定銘は南北朝期に始まるようで、永享、寛正、明応頃から次第に増え、永正頃から急激に遺例が多くなり、年紀作も遺されていることから、この頃の当主彦兵衛尉祐定が一門をまとめて、多大な需要に応える体制造りをしていったと思われる。祐定の時代的な流れを俯瞰してみようと思う。どのような移り変わりがあるのだろうか。それが見えてくるだろうか。 短刀 備州長舩祐定 明應五年 個銘は記されていないが彦兵衛尉祐定の両刃造短刀。以前にも紹介したと思う。時代の上がる短刀は、上身が短く茎が長めの姿格好。地鉄は良く詰んだ小板目肌。わずかに腰の開いた互の目の刃中に砂流沸筋、金筋が稲妻状に流れ掛かる。
短刀 兼法 Kanenori Tanto 2018-05-17 | 短刀 短刀 兼法 短刀 兼法 江戸時代最初期慶長頃の越前刀工。刃長一尺弱。身幅の広い、戦国期からこの時代にかけての特徴的覇気に富んだ姿格好。地鉄鍛えは古刀を想わせる板目が激しく現れたもので、地景が絡んでとても力強い景色となっている。刃文は湾れに小互の目が交じり、帽子は火炎風に激しく乱れて返る。焼刃は小沸が明るく、刃境にほつれが掛かり、淡い金線が横切る。湾れの谷部に配された小互の目の調子も強くなく、むしろ凄みが感じられる。
短刀 弘邦 Hirokuni Tanto 2018-04-06 | 短刀 短刀 弘邦 短刀 弘邦 これも鎌倉時代の短刀を手本とした作。姿が良い。地鉄も良く詰んだ小板目肌が微細な地沸で覆われて頗る綺麗。刃文も美しい直刃。彫刻も線が揃って美しい。総てが美しい作品だ。特に、匂主調の焼刃は、冴えているにもかかわらず柔らか味があり、刃境には細い金線が流れ掛かる。物打、ふくら、わずかに匂の流れ掛かる帽子にかけての焼刃の構成線も美しい。
短刀 弘邦 Hirokuni Tanto 2018-04-06 | 短刀 短刀 弘邦 短刀 弘邦 鎌倉時代の粟田口辺りを手本としたものであろう、重ねの厚い短刀。地鉄は良く詰んだ小板目肌で、刃寄り柾目がかり、細かな地沸で覆われる。刃文は直刃を基調に刃境に金線が長く連なる出来。この辺りが凄い。
短刀 月山貞一 Sadakazu Tanto 2018-03-28 | 短刀 短刀 月山貞一 短刀 月山貞一 昭和六十一年の作品だから、年齢は七十九歳。凄い、迫力のある綾杉鍛えだ。それでいて、とても綺麗だ。室町時代以前の古月山とは全く異なる清浄感に癒される。もちろん古い時代の月山は、その古調な風合いが魅力である。そもそも製作の理念が異なるから比較すべきではなく、それぞれの作の魅力を捉えればいい。刃文は直刃の構成だが、鍛え肌と感応して綾杉状のほつれが掛かり、金線稲妻のような肌が連続している。帽子もほつれが肌目のまま髪の吹き上げられたように働いている。総てが綺麗だ。
短刀 月山貞一 Sadakazu Tanto 2018-03-27 | 短刀 短刀 月山貞一 短刀 月山貞一 貞一は人間国宝に指定された一人。その昭和五十八年の短刀。彫り物上手でも知られる月山貞一の、簡潔な旗鉾が綾杉鍛えの地鉄に刻み込まれている。身幅広めにたっぷりとした感のある造り込みに、密に詰んだ地鉄は古伝の綾杉鍛え。小沸出来の刃文は、刃境にほつれを生み出し、簡潔な焼刃に大きな変化を与えている。古作を現代に伝えた、奇麗な出来である。