これは、商標の不正使用に対する措置である。特許庁は、有名ブランドのロゴの偽造といった商標の不正使用で生じた損害に対し、事実上の最低賠償額を設ける方針を決め、12日の有識者会議で示した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の規定を踏まえ、実際の損害額を算定できなくても商標の取得手数料の相当額を最低限の損害として認める。
被害企業の負担軽減が狙い。開会中の通常国会に商標法改正案を提出する方針だ。最低賠償額は被害の実情によって異なるが、商標の出願に掛かる1万2000円以上や、4月から2万8200円以上に改定される設定登録料の一部が実質的に補償されることになる。
TPPでは商標の不正使用をめぐり、損害賠償額に下限を設けるといった法定の損害賠償制度などを採用することを規定している。商標権者への補償を確実にし、将来的な商標侵害を抑止するためだ。現在の商標法では損害額の算定に当たり、不正利用者が得た利益などを立証する必要があるが、証拠を集めるのは容易でなく、泣き寝入りする例もあった。今後は実際の損害額を立証できなくても、商標の出願や登録の費用は少なくとも取り戻せるようになる見通しとなる。