新たな商標のタイプがスタートした。その中に昔のCMが登録された。これは、テレビCMでおなじみのフレーズや映像などを商標として登録できる新しい制度がスタートし、昨年10月に、全国で43件が初めて登録された。このうち、菊正宗酒造(神戸市東灘区)や小林製薬(大阪市)など関西の企業は10件に上る。
ブランドイメージの浸透や他社との違いの強調など、狙いはさまざま。ユニークなCM展開で知られる関西企業は多く、商標認定は今後も増えそうだ。はらりと広がる紫色の風呂敷の中から、日本酒の一升瓶が現れる。時間にして約3秒。1975年に放映が始まった菊正宗酒造のテレビCMの最後に決まって登場する映像だ。
当時取締役だった嘉納毅人社長(73)が、高級品、贈答品のイメージを表現しようと考案。CG技術などがなかったため、手品師に仕掛けを考えてもらい、実写で撮影した。2009年に終了したが、昨年秋に再び放映した。同社の担当者は「長年にわたって流したことで、紫の風呂敷は当社の代名詞となっている」と説明。
広告が多様化する中「ホームページ上などでも活用し、贈答用としての認知を再度広げていきたい」と話す。昔のCMが新たなタイプの商標として復活した格好だ。ある会社は、悪用を防ぐためと説明していた。