今日は、ゲーム理論についてです。
この理論は、相手との利害を調整しつつ、自分の利益をいかに最大にできるかを研究した科学です。
有名なゲームに、「囚人のジレンマ」というのがあります。ちょっと紹介します。
あなたと友人は、銀行強盗の容疑で、警察に逮捕されました。別々の部屋で取り調べを受けます。
① 2人とも自白しなかった場合、2人とも懲役1年です。(2人で協調)
② 2人とも自白した場合、2人とも懲役5年です。(2人とも裏切り)
③ 1人が自白し、もう1人が自白しなかった場合、自白した方は無罪、自白しなかったほうは懲役10年になります。(1人裏切り、1人協調)
このゲームを何十回もします。それで、点数を競い合います。点数方法は省略します。
基本、自白しないのが礼儀ですよね。自白するのは裏切り行為です。
だから、基本的な狙いは、2人とも自白しないで、懲役一年の選択です。
色んな戦略があります。すべて自白する、すべて自白しないなど。
経済学者、数学者が、どの戦略が一番有利になるのかを考えました。
それで、最も優秀な戦略が「しっぺ返し戦略」だとわかりました。
それほど難しくはありません。
まず、最初は相手を信頼する。相手が裏切らなければ、信頼し続ける。
もし相手が裏切ったら、こっちも裏切る。
これだけです。
つまり、相手の行為を真似て行動するというものです。
このシンプルな戦略が一番良かったそうです。
そして、「しっぺ返し戦略」は、普通の利害のある人間関係にも使えます。
わかりやすく4つの法則にします。
1、相手を妬まない。
しっぺ返し戦略は、相手から利益を奪う方法ではありません。むしろ、相手に良い行動を促す戦略です。だから、相手が利益をあげていても妬まないことが大事です。
2、自分から先に裏切らない。
自分から裏切ると、相手からの信頼を得ることはできません。だから、信頼を得る努力が必要です。
最初に裏切る者は、必然的に敗者になります。覚えておいてください。
3、協調であれ裏切りであれ、そっくり相手に返す。
裏切られたら、犠牲者になったままでいないこと。やられたらやり返す。
自分から裏切る行為は損しますが、報復はむしろ利益になります。
4、策を弄さない。
複雑な戦略をとっても、長期的に見ると、利益をあげることはできません。
しっぺ返し戦略の基本方針は、「あなたと長くて良い関係を望んでいます。裏切らない限り裏切りません」という意思表示です。
相手との信頼関係を築いて、初めて大きな利益を得ることができます。面倒な作戦は必要ありません。