フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

女が去っていく話

2020年03月26日 07時00分00秒 | 日々の出来事・雑記

昔話でよく出てくるパターンがある。

それは、「女があることを禁止して、男がそれを破って、女が去っていく」というパターンである。

たとえば、うぐいす長者雪女鶴の恩返しなどである。

「うぐいす長者」のあらすじを、ちょ-かんたんに説明しよう。

ある商人の男が、道に迷う。竹やぶで美しい女性に会う。

いろいろあって、女性と結婚することになる。

それで、女性に、3つの蔵は見てもいいですが、4つ目の蔵は見ないでくださいと言われる。

しかし男は4つ目の蔵を見てしまう。

蔵の中には、うぐいすになっている妻がいる。

「あなたは約束を破りましたね。私はうぐいすです。それを見られてしまったらおしまいです。さようなら」

そう言って、妻は去っていく。

雪女も鶴の恩返し(鶴女房)も同じパターンである。

女の決めた禁止を、男が破り、女が去っていく、というパターン。

本棚から、河合隼雄先生の「昔話と日本人の心」という本を取ってみる。

この本に、この「うぐいすの里」の解説が書かれている。

河合隼雄先生は、2007年に亡くなられたが、有名なユング派の心理学者だ。

この本は、ユングの心理学を駆使して、日本の昔話に関し、かなり難しい分析がなされている。

僕も、10年くらい前に、一生懸命読んだ記憶がある。しかし、よく理解できなかった。

いや、正直、わからなくはないが、納得できなかった。

河合先生は、ほんとに立派な先生だと思う。

ただ、このややこしい解釈が、どうしても無駄なんじゃないかと思ってしまう。河合先生すいません。


僕はもっとシンプルに考える。

このパターンの昔話は、女性の脅しではないかと思っている。

つまり、言うことを聞かないと、あなたから去っていくわよ、ということだ。

子供の頃から昔話という方法で、聞かせて、男の子を洗脳しているのではないか。

そう考えると、ちょっと怖いし、ちょっと笑えると思いませんか。

ウブな男の子に、女の言いつけを破ると、大変なことになるんだよと、恐怖心を植え付けるのである。

それで男の子は、「女の言ったことを守らないと、どっかに消えてしまうんだね」と思ってしまうのである。

まじめに日本昔話を見ていた僕は、だから、いつも女の言いなりなんだな、と思う。

女性に「これやっちゃだめよ」と言われると、素直に「はい」と言ってしまう。

洗脳は怖いですよ。本当に。

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4 コメント

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べつの教訓 (こげ)
2020-03-26 11:09:18
うちの母は、結婚したからって
ミステリアスな部分が消えると
男は去っていくのよといってました。
どの話も結婚が恩返しになるってところが
わりとゴーマンですよね。
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Unknown (niet439)
2020-03-26 12:18:35
こげさんへ
コメントありがとうございます。
なるほど。面白い視点ですね。その発想はなかったです。
ある事を禁止して、秘密をつくる。男はそのミステリアスな部分に惹かれていく、ということですね。
それで、面白い話を思い出しました。
ある夫婦がマンネリ化していた。
ある時から、妻がときどき外出するようになった。
夫は妻の浮気を疑う。
妻が他の男と会ってるんじゃないかと思うと、何故かドキドキしてくる。
最近、妻が綺麗になってきた。
夫は、自分がまた妻を好きになっていることに気付く。
でも、妻が浮気しているかどうかは、暴きたくない。妻と別れたくないから。
「秘密」っていうのが、この話のポイントかもしれませんね。
こげさんの楽しいブログいつも拝見させてもらっています。
では、また!
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Mrs (玲子H)
2020-04-02 20:29:00
初めて貴方のブログを拝見しまして、とりこになり過去の記事もずーと拝見させていただきました。
今日の記事の本題からは外れていると思いますが、私の娘(学校の先生)の教育観です。
孫がまだ3歳ころ、転んで泣き出した時に日本人の祖父母なら必ず言うことは、”男の子だから泣かないんだよ。”
娘は男の子でも泣いていいんだよ、子供の時からそうやって洗脳しているから、大きくなって自殺する男の子が多いんだ。
と言われ、この言葉が忘れられません。
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Unknown (フリードリヒ)
2020-04-02 20:56:27
玲子Hさんへ
コメントありがとうございます。
大変深い話だと思います。
ちょっと、考え込んでしまいました。
たしかに、感情を表に出すということは大切なことですね。
僕たちは、知らず知らずに、いろんな鎖に縛られているのかもしれません。
ありがとうございました。また遊びに来てくださいね。
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