旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

ワインレッドの電車で白鷺城へ 播但線を完乗!

2018-03-30 | 呑み鉄放浪記

 大阪と鳥取を結ぶ「特急はまかぜ」が走り抜けて行く。ここは播但線、寺前駅です。

加古川線で飲んだ後、山陰本線と播但線が合流する和田山駅にやって来ました。
構内には、蒸気機関車時代の給水塔と煉瓦造りの車庫が今でも残っているのです。 

閑散とした駅前には、老舗の駅弁屋「福廼家(ふくのや)」が在ります。
狭いイートインコーナーで、名物の "但馬の里和牛弁当" と "山菜うどん" をいただく。
甘辛く煮た但馬和牛が美味しい。付け合わせの丹波名産の黒豆も悪くはない。 

播但線は和田山から寺前までが非電化区間。単行ディーゼルカーが走ります。
ラッピングされた車両は、近年人気の観光スポットを描いた「天空の城 竹田城跡号」だ。 

和田山駅前の酒屋で仕込んだのは、地元朝来市は田治米合名会社の純米大吟醸生酒。
"竹泉" は兵庫県産山田錦で醸した、穏やかな香りと優しい口当たりが特徴の酒です。
ディーゼルカーに揺られる1時間は、300mlの大吟醸を愉しむのに十分な時間だね。 

ICOCAが利用できる寺前以南は京阪神の近郊区間。ここで電車に乗り換えとなる。 

首都圏では見ることがなくなった103系は、ド派手なワインレッドのドレスを纏っている。
これって関西の嗜好かな。キレイな色だけど首都圏では受け入れられそうにないね。 

市川沿いに姫路をめざすワインレッドの4両編成。
必ずしも程度が良いとは云えない線路を飛ばすので、電車は酷く揺れるのだ。 
左右の田園風景は、福崎辺りから住宅街に変わり、やがて電車は高架に上がってしまう。 

ワインレッドの4両編成は、右に大きくカーブを切って、姫路駅の1番線に滑り込む。
ホームからは大手前通りが伸びる先に、夕陽に映えた白鷺城の雄姿を見ることができる。
白い翼を広げた姫路城を背景に、ド派手なワインレッドのドレスも悪くはないと思える。

播但線 和田山~姫路 65.7km 完乗 

ワインレッドの心 / 安全地帯


北播磨の田園風景を往く 加古川線を完乗!

2018-03-28 | 呑み鉄放浪記

 北播磨の西脇市です。2両編成にカタコトと揺られて加古川を遡って来た。
加古川線は、ここで単行電車に乗り換えて福知山線の谷川駅へ向かうのだ。
「呑み鉄」なんてゲームでもしていなれば、一生乗ることはないなとひとりごちる。 

梅田のホテルを早めにチェックアウトして6時台の快速に乗ったのに8時をまわった。
思ってたより遠い。京阪神の地理の把握は大雑把と云うか疎い。時に失敗する。 

部活の中高生を満載してきた2両編成が折り返しの西脇市行きになる。
このエメラルドグリーンは、奈良や和歌山を走っているのと一緒だろうか。 

滝野駅に途中下車する。この小さな町の酒蔵を訪ねてみようと思う。 

駅から歩いて10分弱、加古川べりに "神結"、"闘竜灘" の神結酒造を訪ねる。
土曜日も開いていると思っていたけれど、呼べど返事もない。残念。
しかたなしに駅近くのCOOPで車中酒に "闘竜灘 極寒造り にごり酒" を求める。

 

加古川線は西脇駅で運行形態が変わる。この先は単行電車で往く。
事情を知ってる人は、老いも若きも、跨線橋の先の3番線へと席取りの猛ダッシュだ。
完全に出遅れたボクは苦笑するしかない。
それでも何駅か先で末席を確保すると、"闘竜灘" のスクリューキャップを切る。 

トロッとした舌触りと風味、普段飲まない甘口の酒を愉しんでみる。
のんびりと加古川上流を往く。ほろ酔いと電車の揺れが気持ち良い。

単行電車は谷川駅の4番線にモーターの音を響かせて終着する。
駅周辺に静か。た・に・が・わって響きの通り、分岐点である以外変哲のないローカル駅だ。
これから播但線にまわってみようと思うのだが、それにしても福知山行きは遅れている。 

加古川線 加古川~谷川 48.5km 完乗

涙の誓い / アリス 1978


Osaka メトロに乗って 雨の御堂筋 御堂筋線を完乗!

2018-03-26 | 呑み鉄放浪記 地下鉄編

中百舌鳥駅前でほろ酔いになったら、地下鉄御堂筋線で都心に戻ろう。

午後降ったこぬか雨もやんで、家路を急ぐ人が手にする傘も乾きはじめている。

この時間帯になかもずを始発する電車はガラガラですね。
天王寺から混み始めた車内は、難波ですし詰め、ひといきれに堪らず心斎橋で降りる。

冷たい風が吹き込む階段を駆け上がると、梅田から難波を南北に貫くメインストリート。
光溢れる御堂筋も、シンボルのイチョウ並木に葉がなくて寂しげだ。 

梅田、新大阪と抜けて江坂から北大阪急行線に入る。
ひっそり乗務員が交替するだけで、電車は何事もなく走り出す。 

江坂から3区間走ると終点の千里中央。
大阪万博の輸送に活躍した北大阪急行、今ではニュータウンの足に欠かせない。
ホームを見下ろす地下1階にはカフェなんかもあって洒落ている。
千里中央は住みたい街ランキングの上位常連の様ですね。 

梅田に戻ってホテル近くの「西屋」で仕上げの一杯。若い兄さん達の対応が心地良い。
この辺りまで来ると、通りは「新御堂筋」という名称になっている。 

 

はじめまして、岡山は真庭市勝山の酒 "御前酒(ごぜんしゅ)" をいただく。
Cry Baby 無濾過生原酒はジューシーで余韻が楽しめる酒、"お造り3点盛り" に合わせる。
しめ鯖が美味しかったな。 

 

"純米吟醸 秋鹿" もはじめまして。大阪・能勢町の酒は、キレもある旨みの超辛口だ。
肴の "おろし揚げ出し茄子" が絶品なのだ。
心地よいお店と旨い酒肴に巡り合って、ご機嫌な御堂筋の週末なのです。

大阪市営地下鉄・御堂筋線 なかもず~江坂 24.5km 完乗
北大阪急行電鉄 江坂~千里中央  5.9km 完乗

Stranger in Midosuji / The Ventures


なぜか中百舌鳥にて 泉北高速鉄道を完乗!

2018-03-24 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 なぜか中百舌鳥です。ちっとした弾みで足を踏み入れてしまった。
中百舌鳥駅は泉北高速鉄道の起点になっている。折角なので乗って飲んでいこう。

和泉中央はニュータウンのターミナル。
電車から吐き出された乗客は、バスターミナルかショッピングセンターに吸い込まれる。

 

運行は南海線と一体のようですね。ほとんどが「なんば行き」。
朝夕には「泉北ライナー」って全社指定の特急も設定されて、通勤・通学に優しい。 

特急を見送って、泉北線内を各駅に停まる準急に乗車する。
夕方の上り電車、ラッシュと逆行だから空いている。でっロング缶を飲む猛者が2人。 

オール高架線、比較的長い駅間、故に飛ばす電車。文字通りの高速鉄道だ。
薄闇を流れて行く光の帯がキレイだ。 

最後は中百舌鳥止まりの各駅停車で終着。
乗客はホーム反対側の南海電車か、一旦改札を抜けて御堂筋線に乗り換える。

中百舌鳥駅に進入する車窓に「日々一献」って看板をみとめる。味わい深いな。
線路沿いの立ち飲み屋は、1週間の戦いを終えたサラリーマンですでにいっぱい。 

僅かなスペースを空けてもらって斜めに立つ。あくまでも「粋」を心がける。
取り敢えずの生ビールを呷る。"肉大根" は出汁が浸みて美味い。

 

"長芋の梅肉和え" でさっぱりと。2杯目は黒霧島お湯割りを。今晩は冷え込んでるからね。
これで1,130円。安いよね。思いがけず大阪郊外の立ち飲みを愉しんだ金曜日の晩なのだ。

泉北高速鉄道 和泉中央~中百舌鳥 14.3km 完乗 

 

たそがれマイ・ラブ / 大橋純子 1978


僕は旅立つ 東へと向かう列車で 山陽新幹線を完乗!

2018-03-22 | 呑み鉄放浪記

 福岡への出張は大抵が航空機だから......久しぶりの博多駅、大きいな立派だな。 

山陽新幹線は多様な形式・愛称の列車が走る。眺めて飽きることはない。
トップランナーはすっかり亜種になってしまったスピードスターの500系「こだま」。 

 

種田山頭火に見送られる土曜日午後の新山口駅。
昨夜ここに途中下車して、宇部の町で飲み、山陽のローカル線を呑み潰してきた。 

N700系と云うのかな。「のぞみ」で広島までつなぐ。 
新大阪以東では満席の「のぞみ」も山陽路では自由席にずいぶん余裕があるね。 

 

広島駅のコンコースは工事中、残念ながら一杯飲むような店舗はない。
然らば名物 "おにぎり弁当" を求めて、おかずを抓みに缶ビールで一杯。 

広島からは長駆鹿児島から走って来たN700-8000「さくら」に乗車する。
ちょっと雰囲気が違うのは、車体に薄いブルーを纏っているからだろうか。 

 

岡山の上りホームに「倉敷ぶっかけうどん」のスタンドを見かけた。
茹で上げたうどんに、様々な具材や薬味を乗せ、少量のだし汁をかける倉敷の家庭料理。 
とろろにおろし生姜の "ぶっとろ"、美味いねこれ。〆の一杯にツルっと最高ですね。 

陽が落ちた岡山駅からラストランナーに乗り込む。始発列車はガラガラ。
駅々で後続に線路を譲る「ひかり」は、思いがけず時間をかけて東へ進む。
19:41、とっぷりと暮れた新大阪駅、2日掛かりの山陽新幹線の旅をここに終えるのです。

山陽新幹線 博多~新大阪 644.0km 完乗

桜の便りが聞こえ始めて、ほどなく新社会人や大学生活スタートの季節。
太田裕美が流行った70年代、都会へ向かう象徴は寝台列車だったろうか。
今では北へ西へと新幹線が通じて、恋人たちの時間距離は短くなりましたね。 
この詩のメンタリティーは現代にもあるのだろうか。

木綿のハンカチーフ / 太田裕美
 


ディーゼルの音を聴きながら 美祢線を完乗!

2018-03-20 | 呑み鉄放浪記

 デーゼルに揺られて長門市までやってきた。美祢線沿線には秋芳洞やプーチンが滞在した長門湯本温泉がある。

永山酒造の蔵開きを冷やかして厚狭駅へ。厚狭を起点に日本海に臨む長門市まで、美祢線で山口県を縦断する。
かつて石炭・石灰の輸送ルートとして活況を呈したのが美祢線、長大な貨物列車は今日では見ることはない。 

三年寝太郎の像に見送られて、たった1両のディーゼルがブルっと身震いひとつ、厚狭駅1番線を離れる。

JR西日本の非電化ローカル線を走るディーゼルは、すべてロングシートで味気ない。近郊路線でもあるまいに。
そもそもこの車両は主客であるお婆ちゃんも高校生たちもクロスシートでお喋りに興じたいはずだろうに。
余所者のオヤジだって車中酒を愉しみたいのだ。"男山" の300mlが開かない。 

美祢線の旅はおよそ1時間。長門湯本を過ぎた辺りから視界がぐっと広がり、この先の海を予感させる。
やがて左手から近づいてくる山陰本線と寄り添って長門市駅に終着する。

長門市駅前ロータリーから「食の横丁」をぶらり。長門は「やきとりのまち」なのだそうだ。
駅を背に6~7分歩いて「お食事処よし松」を訪ねる。おっカウンターには地酒が並んでいるね。
ご主人のお勧めは、純米無濾過 "長門峡(ちょうもんきょう)"、すっきりした味は萩の酒をいただく。

     

子宝和え、切り干し大根、照り焼き、お刺身、松花堂に並んだ小鉢を肴に冷やで一杯。旨いんだなこれが。

海へと歩いてみる。深川湾に臨んだ長門漁港、イカ釣り漁船が並ぶ。防波堤の向こうに見えるのは青海島だ。

駅に戻ると、山陰本線支線に入る仙崎行きが入線して来た。この際だから乗っておくのが正解だと思う。

僅か2.2kmを走って仙崎駅、焼杉風壁と瓦葺屋根の駅舎は情緒がある。奥様達は青海島観光へおでかけの様だ。
ホームに佇むディーゼル。看板の肖像は金子みすゞ、大正~昭和初期に活躍した童謡詩人は仙崎の出身だそうだ。

     美祢線 厚狭~長門市 46.0km
山陰本線仙崎支線 長門市~仙崎   2.2km 完乗 

ディーゼル / 六角精児バンド


朝焼けの周防灘を見渡して 小野田線を完乗!

2018-03-18 | 呑み鉄放浪記

 明けたばかり、どんずまりの長門本山駅に折り返しの1224Mがやってきた。
今は春休み、ホームの少年はどんな冒険をするのだろうか。 

06:43、起点の居能駅、小野田線は宇部線から分岐して小野田をめざす。 

宇部新川からやって来たのは、昨夜と同じクモハ123って云う単行電車だ。 

雀田駅で朝陽を浴びるクモハ123、ここから2.5kmの長門本山支線に入る。 
長門本山支線は、朝2往復、夕1往復、早朝じゃないと潰せない線区なのだ。 

やってきた長門本山駅。心細げな細いレール、古びた枕木、電車は恐る恐る入線する。 
簡易な車止めの先には海が広がっているはずだ。 

 きららビーチ焼野、穏やかな周防灘。下関へと続く海岸線と九州が見渡せる。
「日本の夕陽100選」認定の瀬戸内海に沈む美しい夕陽を眺めることができるビーチだ。
今回は朝焼けの風景だけどね。 

長門本山支線の分岐点雀田駅に戻る。線路はYの字、ホームは三角形をしている。 
ほどなく三角形の長辺に小野田行きが入線してきた。やはり単行電車なのだ。 

小野田港、南小野田にかけて左手にセメント工場群が広がる。
有帆川の鉄橋を渡ると右手から山陽本線の複線が近づいて、電車は小野田駅に終着する。 

小さな小野田駅には不釣り合いな構えの立ち食いそば「味一」がある。
肉、天ぷら、玉子と全部のせた "味一特製うどん" を注文。細麺に甘めの出汁の一杯だ。

 

山陽小野田市には酒蔵がある。旧山陽道沿い、厚狭川べりの永山酒造だ。
ちょうど「厚狭おひなさまめぐり」に合わせた「蔵開き」に巡り合わせた。
無料の「酒粕詰め放題」イベントが人気を呼び、時間前から長い行列が出来ている。 

山口県産の山田錦で醸した吟醸酒 "山猿" を試す。
バナナのような香りと云うのかな、穏やかな酒が旨い。蔵出しをいただいてご機嫌だ。
土産に1本仕込んだら、雛祭りの旧山陽道を厚狭駅へと歩く。これから美祢線で呑みます。

  小野田線 居能~小野田 11.6km
長門本山支線 雀田~長門本山  2.3km 完乗 

 

小野田線 / 浅野佑悠輝


セメントの町を濃黄色の単行電車が往く 宇部線を完乗!

2018-03-16 | 呑み鉄放浪記

 宇部新川駅に停車中の濃黄色の3両編成。週末は宇部線、小野田線を呑み潰します。

福岡出張の帰途、新山口駅に衝動的に途中下車、明日は土曜日だから。
自宅にエクスキューズのコール、博多駅で土産も買い込んであるし、1日延泊なのだ。 

8番線に入線してきたの宇部新川行きは、クモハ123って単行電車。満員。着席不可能。 

ANAホテルに投宿して街に出る。週末とは云っても地方都市の夜は早い。
企業城下町の宇部は、気の利いた店が多かな。そんな「炭匠 満」の格子戸を開ける。 

 

1階は広々としたカウンター席。洒落たダウンライトが2席づつを照らしている。
女性を誘うには手札の1つになりそうなお店。今宵、ネクタイを外したスーツ姿でひとり。 
フレンチのようなお通し、よく冷えた生ビールをゆっくり愉しむ。 

 

"本日のお刺身" は白身のラインナップ。塩でいただいて美味しい。さすれば吟醸酒を。
地元宇部の酒 "純米吟醸山田錦 貴" は、フローラル系の香り、後味さっぱりだ。

 

"岩国れんこん" を焼いてもらう。味噌か塩でいただく。肉厚でやわらかく美味しい。
2杯目は岩国の酒 "雁木ノ壱" を択ぶ。パンチの効いた飲み応えがある純米酒だ。
加水せず、火入れせず、濾過せず、搾りたての原酒が美味しい。 

 

炭火で焼いた "むかご" を抓んで杯を重ねる。〆の "五穀米みそ焼おにぎり" が絶品。
洒落た店で洒落っ気のない男のひとり酒。それでも愉しい時間でした。 

ふたたび宇部新川駅、宇部までの3区間に乗車する旅の仕上げだ。
1番線には小野田行き、2番線のこれから乗る宇部行きが並ぶ。どちらも単行電車だ。 

宇部興産やセントラル硝子に向けた長大な石灰石貨物列車は、2009年に廃止になった。
今では宇部線も小野田線もたった1両の電車が行き交うのみだ。

終着駅の駅舎の「白」は、この町を発展させた石灰石を象徴しているのだろうか。 
偶然にも駅前に停車中のVitzが「濃黄色」をしていたのが印象に残る宇部線の旅だ。

宇部線 新山口~宇部 33.2km 完乗 

かもめはかもめ / 研ナオコ 1978


那珂川ばたに たたずむあなた 西鉄・貝塚線を完乗!

2018-03-14 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 博多湾そして玄界灘沿いの閑静な住宅街を、レトロな2両編成の電車がガタゴト往く。 
西鉄・貝塚線は、地下鉄箱崎線と貝塚駅で連絡すると香椎方面へと走る。 

今宵は中州。福博であい橋近く、煌びやかなビル群を一本入ると赤提灯がさがっている。
大衆酒場「酒一番」は、中州にあって50年を超える老舗居酒屋だ。 

 

カウンターの中はちょっと昔のお嬢さん達が美味しい酒とあてを勧めてくれる。
まずは生ビールで自分にお疲れさま。"ほうれんそう胡麻和え" を抓んでみる。

 

"太刀魚" が焼けた。塩焼きをおろし醤油でいただく。
筑後河口に近い大川市の酒 "若波 純米吟醸" は、甘い香りであと味はゆるりと引く酒だ。

 

暖簾の小窓から覗く厨房にはさらに昔のお嬢さん達。そう云えば男性スタッフはいない。
アットホームな雰囲気と懐かしいおふくろの味ってことか。では "明太玉子焼き" を。
"辛醸美田 大辛口" は深みのあるキレ味が良い辛口の酒だ。旨い。
ラベルを見ると三井郡「みいの寿」とある。んっ昨年訪ねたな、"くらの細道きっぷ" で。
こんな美味しい再会が嬉しいね。 

 

〆は博多らしく "水炊き" をいただく。鶏、豆腐、白菜が煮えてきた。春菊が香を添える。
"田中六五" は白糸酒蔵が地元糸島産の山田錦で醸した純米酒。口当たりが優しい酒だ。 
今宵飲みすぎだろうか。那珂川ばたで美味しい夜は更けていく。

 

翌朝の中州川端駅。地下鉄箱崎線(2号線)の起点に姪浜からの直通電車が入線する。 
明治通りを、県庁、九州大学、筥崎宮(はこざきぐう) を結んで貝塚へ至る。
かつて西鉄の路面電車が走った地下を福岡市交通局のブルーのラインが走る。 

6両編成は箱崎九大前を過ぎると陽の光を浴びて、そのまま地上駅の貝塚に終着する。
貝塚駅の改札はホームの延長線上に1箇所、そのまま進むと西鉄・貝塚線の改札が在る。 
箱崎線と貝塚線は相互乗り入れの構想を持ちながら、様々な条件により凍結中だそうだ。 

 

こちらの貝塚駅も島式1面のプラットホーム、地下鉄の駅とは線対称って感じだろうか。
ノスタルジックな昭和レトロな2両編成はあと数年で還暦を迎える。頑張ってほしいな。 

松本清張の「点と線」の舞台になった西鉄香椎駅、洒落た高架駅に様変わりしていた。 
福岡署の鳥飼刑事が往復した国鉄香椎駅とを結ぶ商店街や踏切の情景はすでにない。 

終点手前の交換駅、寒風の中、往き違い電車を敬礼で向かえる若い運転士氏。 
厳しく叩きこまれた動作とプロ根性が安全を支えている。ってなことを考えたりする。
どうも今朝は、思考があっちへ行ったりこっちに来たり、昨夜の酒が残る貝塚線の旅だ。

福岡市交通局・箱崎線 中州川端~貝塚  4.7km 
 西日本鉄道・貝塚線 貝塚~西鉄新宮 11.0km 完乗

ふりむかないで / ハニー・ナイツ


人生のそばから 信州・奈良井「越後屋」

2018-03-12 | 旅のアクセント

「奈良井千軒」と謳われ繁盛したのは、工芸が盛んで険路の鳥居峠を控えていたから。
中山道の左右には旅籠風情を残す家々が今でも折り重なるように連なっている。
飲食店、工芸店、民宿が立ち並び賑やかな江戸方の一角に民芸食堂「越後屋」がある。
地元産の木曽漆器で "なめこそば" をいただく。素朴な蕎麦に癒されるのだ。
午後から奈良井峠越えに挑む。

2013/8/26

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旅するどんぶり ノシャップ岬「樺太丼」

2018-03-10 | 旅のアクセント

風が強いノシャップ岬から利尻・礼文が見える。
ライダー・チャリダー大歓迎って看板、うに丼って染め抜いた幟がはためく樺太食堂。
生うに・いくら・カニ・イカ・ホタテ・とびっこ、全部のっけて "樺太丼" は3,456円。
旨い。観光地価格と割り切りながらも、食べる価値ありなのだ。 

      
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旧中山道・浦和宿 酒場事情「わさび居酒屋 あな蔵」

2018-03-08 | 津々浦々酒場探訪

 旧中山道から裏門通りを西へ入ると、右手に山葵色の看板が浮かび上がっている。
「わさび居酒屋 あな蔵」は、生わさび×創作料理×古民家作り がコンセプトだそうだ。
よく冷やしたジョッキーに注がれた生ビールを呷る。"うまいんだな、これがっ" 

 

人気メニューのローストビーフにおろしたての生わさびを散らして美味い。 
伊豆天城産というわさびをすりおろす。刺身と一緒に生わさびの風味が口に広がる。
酒は香穏やかな吟醸酒 "久保田千寿" を冷やで。今宵、香りの主役は山葵に譲ろう。 

 

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サントリーモルツCM / 和久井映見


一献

2018-03-06 | 日記・エッセイ・コラム

 後輩が近所に越してきた。単身赴任で。
地方銀行の支店長になって東京近郊へ舞い戻って来たわけだ。 

「私をスキーに連れてって」の時勢に、ずいぶん泥臭い技術志向の同好会だった。
上下関係もそれなりに厳しかったから、久しぶりの再会に最初は背筋が伸びる。 
お互いお品書きが見え辛い年齢になって、1~2年の差なんて意味がないのにね。

まずは一献。
ご栄転おめでとう。君のふるさとの辛口の酒、グラスを並べるのが嬉しい。


夕暮れ東京散歩 浜松町の立ち吞みで 東京モノレールを完乗!

2018-03-04 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 日々乗車する東京モノレールだけど、時には全線通して乗ってみようか。
ラインは昔ながらの赤がしっくりくるね。国際線ターミナル駅に6両編成が滑り込む。 

夕陽にかがやく青い翼の群れ。運河の先に見える街は台場から芝浦あたりだろうか。
モノレールは第2ビルを出発して都心へと向かう。 

陽が沈んで空が茜を帯びてきた。赤いラインの6両編成が天王洲アイル駅に吸い込まれる。
運河が交差する天王洲あたりは何棟ものオフィスビルが立ち並ぶ。 

T.Y.HARBORは運河に面したスタイリッシュなブルワリーレストラン。
夕焼けが水面を紅く染めはじめてから、モノクロの世界に替わる時間帯がご機嫌だね。

天王洲アイルから浜松町の都会的な車窓は宵を待った方がいい。
右手にビルディングの合間に見え隠れする、シルバーにかがやくレインボーブリッジ。 
左手に東京タワーのオレンジが暗闇を鋭く突き刺している。

 浜松町駅の金杉橋口を降りて3本目の路地を第一京浜方面に折れる。
2つ目のブロックに、軒先に杉玉が下がった立ち呑み「日本酒 室(MURO)」がある。
北陸3県の酒と肴が愉しめる洒落た空間が、ぽっかり口を開けているのだ。

 

とは言え、1杯めは生ビールで喉を潤しながら日本酒を品定め。
大好きな "花垣" は福井・越前大野の酒、2013年夏、越美北線に乗って訪ねている。
純米無濾過生原酒は清冽でフレッシュな味わい、アルコール分18度と強めの酒だ。
ブラックペッパーをふった "マカロニサラダ" が美味い。

 

"満寿泉" は富山の酒、蔵は北前船で栄えた湊町・岩瀬浜にある。2014年冬に訪ねた。
爽やかな旨味と酸味が調和する純米生酒を "エイヒレ" をかじりながら愉しむ。

 

"菊姫" は金沢のお隣白山市の酒、蔵元は北陸鉄道の終点鶴来だから何れ訪ねてみよう。
山廃純米生原酒は荒々しさとフレッシュ感がある冬の酒、"オイルサーディン" が合うね。
通勤ルートに素敵な店を見つけてしまった。通っちゃうな、きっと。 

東京モノレール羽田空港線 羽田空港第2ビル~モノレール浜松町 17.8km 完乗

 

かもめが翔んだ日 / 渡辺真知子 1978


人生のそばから 佐原「小堀屋本店」

2018-03-02 | 旅のアクセント

 小江戸・佐原の「小堀屋本店」は、天明2年(1789年)創業の老舗のそば屋だ。
江戸時代から利根川水運で栄えた町並み、土蔵造りの商家や千本格子の町家の中に在る。
名物 "黒切りそば" は昆布の粉を練りこんだ真っ黒な麺、独特な香りと歯ごたえが楽しい。

      
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