旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

休日は町の蕎麦屋さんで 常盤食堂@浦和

2024-01-31 | 日記・エッセイ・コラム

よく冷えたキリンラガーを注いで、ささやかな幸せを感じている休日の午前11:00。
カリカリに揚がった大ぶりな “あじフライ”、おじちゃん、アテになるように包丁を入れてくれた。
たっぷり中濃をかけた一片を口に放り込む。辛子にツンときて、思わず鼻をつまむ。

時代を流れて大衆食堂に進化した蕎麦屋さんは、丼もの、フライもの、中華風のヒトサラもラインナップ。
邪道な蕎麦前かも知れないけど、いや、昼から開いている居酒屋みたいで楽しい。

新潟は長岡の “吉乃川” の一合瓶を燗してもらったら、ガラスの猪口でキュっと一杯。
そば丼に入って “おでん” が登場して燗酒のお供をする。

〆の “ざる” はたっぷりの刻み海苔が嬉しい。サッとそばつゆにつけてズズっと啜る。美味しい。
午後は本を読もうかな。どこにも行かない、働かない、怠惰な休日を愉しみたい。

<40年前に街で流れたJ-POP>
クライマックス御一緒に / あんみつ姫 1984


真紅のトーチと灘五郷と福寿の酒と 阪神電鉄本線を完乗!

2024-01-27 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

出張が明けた週末は、冷たい風が吹き荒ぶものの、雲ひとつない青空が広がっている。
今日は阪神電車に乗って、灘五郷のいずれかを訪ねて一杯飲りたい。

特急専用の2番線に停車しているのは「阪神甲子園球場100周年記念ラッピングトレイン」だって。
名作野球マンガのキャラクターや、甲子園球場の歴史を辿る数々の写真で電車を彩る。

水島新司氏の「ドカベン」が彩るのが1号車、岩城が吠え、殿馬が舞っている。
11:10、幸運にもこの希少な列車に遭遇して、ボクの阪神電車の旅は始まる。

特急の最初の停車駅は尼崎。速度を落とした車窓には、車両基地越しに天守閣が見えてくる。
尼崎城は大坂の役後、戸田氏によって築城され、明治の廃城令まで大阪湾に浮かぶようにあった。
現在の復元天守は2018年に落成した。まだ新たしい白壁が冬の陽を浴びて眩しい。

急行に乗り換えて3つ目、武庫川橋りょう上に設置された武庫川駅のホームは底冷えがする。
川の土手を降りたところに武庫川線が発着する1面2線の島式ホームがある。

わずか1.7kmの武庫川線は1944年、紫電改など海軍の航空機を製造した川西航空機への輸送を目的に建設された。
武庫川西岸の築堤沿いに走る深緑の「甲子園号」は、武庫川団地の通勤通学を担っている。

武庫川に戻ったら再び急行電車に飛び乗って、2つ目の特急停車駅、甲子園へと駒を進める。
呑み人の母校は在学中に春の選抜大会に出場している。応援に行った頃は蔦に覆われていたのだが。

甲子園駅に滑り込んできたのは「日本一特別ラッピングトレイン」って、これまたラッキーな邂逅なのだ。

大阪難波方面から神戸三宮まで走るこの車両はそろそろ運行終了かも、関心のある方はお早めにどうぞ。

芦屋から住吉にかけて、鉄路は神戸市の都市計画事業によって高架化が成った。
急行用の1000系電車はスラブ軌道を、それこそ滑るように快適に飛ばして行くのだ。

6つ目の特急停車駅は御影。日本一の酒どころ灘は五つの郷から成っている。
なかでも御影郷は菊正宗だの白鶴だのコマーシャルでもお馴染みの大きな蔵が並ぶのだ。

“福寿” という、なんとも縁起のいい酒蔵、神戸酒心館も御影郷に杉玉を吊るしている。
門をくぐって左手、木造の酒蔵に「蔵の料亭 さかばやし」がある。

フレッシュな純米吟醸をワイングラスに注いでもらったら、旬魚の四種盛りをアテに一杯。
お姐さんにわがままを言って、ランチの膳を小出しにして貰うのだ。

煮物にお浸し、それに自家製豆腐の小鉢を並べて、緑のラベルは純米酒。
すっきりとした切れ味の辛口は、出汁がきいた料理には相性がいいね。

8000系の特急電車が岩屋駅から地下区間に潜り込むと旅の終わりも近い。

神戸の中心市街地のターミナルは三宮、JRと阪急は高架駅、阪神電車の神戸三宮は地下駅になっている。
5社6路線の駅は互いに「さんちか」で繋がる。イメージのせいか、街ゆく人たちはお洒落な人が多いような。

この旅のアンカーは山陽電鉄5000系、特急は大阪梅田から山陽姫路まで直通運転をしている。
阪神電鉄本線の終点は元町、その先山陽電鉄の起点西代まで繋ぐのは神戸高速線になる。

元町を降りたらビル風が吹く街並みを潮の香りがする方へ足を進める。
お色直しを終えた真紅のトーチが、夕陽を浴びて輝いている。旅の終わりの西代まではあと少しだ。

 阪神電鉄本線 大阪梅田〜元町 32.1km 完乗
      神戸高速線 元町〜西代 5.0km 完乗
武庫川線 武庫川〜武庫川団地前 1.7km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
誘惑 / 井上陽水 1983


Biz-Lunch 幸龍軒@大塚「天津飯」

2024-01-24 | Biz-Lunch60分1本勝負

昨晩の玉袋筋太郎の番組に感化されて、今日のお昼は町中華、もちろん飲める訳ではないけれど。
この黄色いテントをくぐって、レンゲを手にするのはこれが2度目になる。

チョイスは “幸龍飯” って店の名を冠しているから、きっと自慢の一品に違いない。
ご飯をフワトロのニラ玉で包んだら、アツアツの餡をかけて、大判のとろとろチャーシューをのせた天津飯。

レンゲでホロっと崩れるチャーシュー、口の中にジュワッと旨味が広がる。
たっぷり餡を絡めてニラ玉ご飯を頬張る。凍えた身体が溶けるように温まる。美味しい。

次は仕事上がりに訪ねて、生ビールでやりたい。あれっ台湾ビールもいいかな。
アフター6の「町中華で飲ろうぜ」を妄想する Biz-Lunch なのだ。

風の谷のナウシカ / 安田成美 1984


Osaka メトロに乗って 法善寺横丁と道頓堀となんばの立ち呑み処と 千日前線を完乗!

2024-01-20 | 呑み鉄放浪記 地下鉄編

南巽駅に到着した25系電車はチェリーローズのライン、ちょっと可愛らしい4両編成で走っている。
今回は千日前線に乗って、なんば界隈で昼呑みをしようと思っている。

終着駅の近くには応神天皇を祀る巽神社、大阪の巽(辰巳)の地を守る氏神様だ。
そのお名前から、今年の初詣は例年以上の参詣客が訪れたのではないだろうか。

交差点の標識に「南巽駅前」となければ、見過ごしてしまうほどメトロの入り口はひっそりと口を開ける。
人気の少ない階段をコツンコツンと降り切ると、ちょうどチェリーローズが入線したところだ。

前照灯が消え尾灯が赤く点った運転室に車掌の姿はない。
どうやら短い4両編成の千日前線はワンマン運転をしているらしい。

南巽から15分ほどで日本橋そしてなんば、日本最大級の繁華街「ミナミ」を歩いてみる。

先ずは繁華街にありながら情緒たっぷりの法善寺横丁、お線香の香りが漂ってくる。
石畳を鳴らして歩く横丁には割烹やバーが並ぶ。ほんとは日が暮れてから「月の法善寺横丁」を訪ねたい。

戎橋を中心とした道頓堀は、まんまテーマパークというかワンダーランドの様相だ。
ここを訪ねたのは2年ぶりだろうか、たこ焼きや串カツの大看板は前は無かったような。進化しているね。

それでも「カールおじさん」や「かに道楽」を見上げるとホッとする。
どこからか聞こえてくるトントコトンの音、太鼓をたたく人もお元気そうだね。

とにかく凄まじい人の波、そしてやはり半数は外国人と云っても大袈裟ではない。
とりあえずこの界隈から離脱しよう。人波に酔ってしまったら、この旅のテーマとは違ってしまう。

最寄りの入口から地下街なんばウォークに逃げ込む。ここも賑やかだけれどいくらかマシなのだ。
なんばから先、チェリーローズの4編成は、ひと駅先の桜川で転針して新なにわ筋を北上する。

っとその前にアーケードの難波センター街商店街に紛れ込んで、ご同輩ひしめき合う赤垣屋の暖簾をくぐった。
入口で立ち尽くすボクにカウンターの中のお兄さんが手招きでわずかなスペースに誘導してくれる。
右肩をズイっと捻って斜め45°にカウンターに立つ。先ずはジョッキーで生ビールを呷るのはいつものとおり

今日のおすすめは “うに” なんだと、お兄さん、半ば強引にオーダーを通す。まあ悪くはない。
漂ってくる紫煙を躱わしながら、ホッピーを注いだジョッキーを軽くステアする。
奥の調理場から冷蔵ショーケースに運ばれてきた小鉢を呼び止めて、次なるアテは “マグロぶつ”。

店の名物から “スーパーなんばビーフカツ”、ミルフィーユ風の豚バラにチーズを挟んで美味しい。
ナカをお代わりして濃いめの三杯めを楽しむ。これで小2枚でお釣りが出るから良いパフォーマンスだね。

昼呑みの余韻をマスクで隠してチェリーローズに飛び乗ると、終点の野田阪神までは凡そ10分の乗車。
千日前線は一度も地上を走らずにその旅を終える。エスカレーターで這い出るとまだ早い午後の陽が眩しい。
出張後の週末居残りで Osaka Metro を3路線、ミッションコンプリートまで先は長そうだ。

大阪市高速電気軌道 千日前線 南巽〜野田阪神 13.1km 完乗

大阪エレジー / シャ乱Q


Biz-Lunch テラッツァ@大塚「牛バラ肉の煮込み」

2024-01-17 | Biz-Lunch60分1本勝負

大塚駅南口から新大塚方面に歩いて2分ほど、カジュアルイタリアンのお店がある。
夜なら、女性をエスコートしないと入りづらいような、アットホームだけど小洒落たお店。
でもランチタイムならオヤジひとりでも飛び込めるよね。

小皿のサラダを突っついていると、日替わりランチの “牛バラ肉の煮込み” が登場、んっといい匂い。
付け合わせのパスタに穏やかで旨味あるソースを絡めてひと口。
フォークだけでもホロホロと崩れる、柔らかくそして上品に煮込んだバラ肉が美味しい。

ライスかフォカッチャを択べるのも嬉しいね。
次は “ハッシュドビーフ” の日を狙おうかな。再訪必至のイタリアンなのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
プリテンダー / 岩崎良美 1984


Osaka メトロに乗って 太陽の塔と通天閣と堺筋本町の立喰酒場と 千里線・堺筋線を完乗!

2024-01-13 | 呑み鉄放浪記 地下鉄編

千里ニュータウンの北の玄関口には、阪急の電車とOsaka Metroの電車が交互に登ってくる。
上品なマルーンが阪急の車両、オールステンレスにマルーンのラインがOsaka Metroの車両だ。

千里ニュータウンの開発は多摩や港北よりも早い、日本で最初の大規模ニュータウンなのだ。

急な勾配を転がり始めたマルーンの8両編成は、万博記念公園の西の端を舐めるように南下する。
1970年の大阪万国博覧会の時には、臨時の万国博西口駅が開設され、たくさんの来場者を運んだ。

急勾配(最大35‰)と急曲線が連続する千里線は、案外とゆっくり走っていく。
関大前駅でたくさんの中学生高校生が乗り込んできて、静かだった車内はとたんに賑やかになる。

淡路駅では京都本線路X字に平面交差するので、電車は駅構内に進入する前に一時停車する。
きっとダイヤグラムのボトルネックになっているから、現在大規模な連続立体交差事業が進んでいる。

マルーンの8両編成がガタガタと淀川を渡る。橋りょうの上流側に見える大きな構造物は淀川大堰だ。
やがて鉄路は地下に吸い込まれて天神橋筋六丁目駅は千里線の起点であり、堺筋線の起点でもある。

北浜駅を降りて地上に這い出る。振り返ると大阪取引所を見上げる。ここは大阪の金融街なのだ。

土佐堀川を渡る。水の都にすてた恋 泣いて別れた淀屋橋、ここが大阪中の島だ。
赤れんがのネオルネッサンス建築は大阪市中央公会堂、近代的な高層ビル群を従えて美しい。

北浜駅に滑り込んできた8両編成は66系電車、パンタグラフを載せた車両はOsaka Metroの中では珍しい。

サイコロの目は4と出て今度は恵美須町で途中下車、逆光の中通天閣を見上げる。

新世界を漫ろ歩く。間違いなく日本人より訪日外国人観光客の方が多い。それも圧倒的に。
飲食店が並ぶジャンジャン横丁、ド派手な看板広告も前に訪れた時からずいぶん様変わりしていた。

残り2区間を乗車すると終点の天下茶屋、電車はすでに折り返しの表示に変わっている。
京都河原町って、阪急線に乗り入れて、ずいぶん遠くまで旅をするんですね。

この終着駅はホームこそ地下だけど、改札や駅長室は地上にある。さらに高架は南海本線のホームになる。
さてここは西成、ディープでウマい店を探したいところだけれど、それはスーツではない時にしよう。

堺筋本町に降り立って、板屋橋筋と南本町通の角にある立喰酒場を訪ねる。
立ち呑みではなくて立喰とうたう位だからアテには期待して良い。
この店、19:00をまわると “おばんざい3種盛り” が嬉しい、先ずは “ごぼう唐揚げ” を齧ってみる。

日本酒のラインナップに大阪の酒を見つけることができず、それでもメニューから西の酒を拾ってみる。
朱色ラベルの “七本鎗” は吟吹雪の純米、キレの良い辛口が旨い。

“稜線” は但馬の酒、山田錦を醸したやや辛口で酸味がある純米吟醸だ。
アテの “中落ちマグロ” はちょっぴりレモンを絞って、濃口の醤油で美味しい。

“クリームチーズ豆腐” にわさびをつけて、旨味と酸味のある特別純米に合う。“而今” は名張の酒だね。
あたりはすっかり暗くなって、いつしか立喰酒場も立席を譲り合う時間帯になっている。
それではっと、粋に後からの客人に場所を譲ったら「きつねうどん」でも啜って部屋に戻ろうか。

阪急電鉄 千里線 北千里〜天神橋筋六丁目 13.6km 完乗
大阪市高速電気軌道 堺筋線 天神橋筋六丁目〜天下茶屋 8.5km 完乗

大阪LOVER / DREAMS COME TRUE


JY16 山手線立ち呑み事情 春田屋@新大久保

2024-01-11 | 大人のたしなみ

 初めて降り立った夕暮れの新大久保駅、街の雰囲気は想像していた以上にあちら風。
人混みを掻き分け明治通り方面へ、その店の赤ちょうちんを見つけると、なんだかホッとするのだ。

風除けのテントで囲まれて5〜6名の立ち飲みスペース、店名が描かれたジョッキで先ずは生ビール。
アテに択んだ “ジャガバタ塩辛” だけど、えっフレンチフライ?まぁ400円だからこんなものか。

憂いげな田中みな実に見つめられて “タコハイ” を試す。この店に遥さんは居なかった。
青じそを散らして “漬けマグロブツ” はなかなかの一品、ぬる燗が合いそうだね。

ホッピーはすでにナカをお代わりして、目の前の焼き台で “バラ味噌” と “バラにん芽” を焼いてもらう。
〆は短冊に見つけた “豆乳鍋”、鶏に豆腐に椎茸それに野菜たちが優しく煮えて美味しい。

鍋とともに、つい “ハイボールレモン” っと声が出てしまって、結局これで5杯め。
マネークリップから小4枚を抜き出したから、この手のお店からすると、やはり飲み過ぎだね。
あちら風情の新大久保の街はいつしかとっぷり暮れている。それでは次回新宿でお会いしましょう。

<40年前に街で流れたJ-POP>
秋冬 / 高田みづえ 1984


Osaka メトロに乗って 天神さんとハルカスと鎗屋町の居酒屋と 谷町線を完乗!

2024-01-06 | 呑み鉄放浪記 地下鉄編

折り返し八尾南ゆきとなる22系電車6両編成が、交代の乗務員氏が待つ大日駅1番線に入ってきた。
 路線カラーは京紫(ロイヤルパープル)、雰囲気は半蔵門線に似ている。

大型ショッピングセンターの背景にニョキニョキとタワーマンションが突き出してる大日駅前。
Osaka Metro 谷町線は、大日から野江内代まで旧東海道を延長する京街道に沿っている。
守口宿の古い家並みや秀吉が築いた文禄堤を訪ねたいけど、それはまた別の機会だ。

梅田にアクセスするために大きな<字を描いて、ロイヤルパープルの6両編成は南森駅に滑り込む。
ちょっと途中下車して日本一長いアーケード商店街、天神橋筋商店街の雰囲気を見てみたい。

二丁目商店街には、恵比寿様と宝船のイルミネーションが煌めく。天満天神えびす祭を祝ってのものだ。

“天満のてんじんさん” と親しまれる大阪天満宮を訪ねる。
孝徳天皇が難波宮を造営した際、守護神として大将軍社を創建(650年)された。
その後、太宰府へ向かう途中、菅原道真公がここに旅の無事を祈願したのを縁に、没後この地に祀られた。

南森駅を出たロイヤルパープルの6両編成は右90°のカーブを切って谷町筋を南へ下る。
駅を6つ数えてひときわ乗降客が多いのが天王寺、御堂筋線やJR線それに近鉄線と連絡するターミナルだ。

昼呑みを誘う地下飲食街を振り切って6番出口から這い出ると、あべのハルカス(300m)が屹立している。

谷町筋をひと駅分戻るように歩いてみる。っと夕陽を浴びた五重塔が見えてくる。
救世観音を本尊とした四天王寺は、聖徳太子が建立した、日本最古の本格的な仏教寺院の一つだ。

ロイヤルパープルの6両編成が天王寺から20分走ると、暗闇の先に薄明かりが広がって、八尾南駅に終着する。
いつの間にか市境を越えたこの駅は谷町線唯一の地上駅、ホームからは住宅街と畑を眺める。

夕闇に沈みつつある駅舎に隣接して大日検車場がある。11本ある留置線にはたった2編成が停まっている。
夕方のラッシュアワーが終わったら、ロイヤルパープルの電車は、一つまた一つこの塒(ねぐら)に戻るだろう。

中央線と交わる谷町四丁目駅まで戻ったら、賑わう交差点から鎗屋町通りに紛れ込む。
たった1ブロック入っただけだけど、嘘のように静寂な雰囲気の中、古民家風に飾った居酒屋がある。

木枠のガラス戸、裸電球風の照明、温かみのある店には「ただいま」の雰囲気で訪ねたい。
とりあえずはビール。アテに択んだ “茄子と万願寺の煮浸し” が絶品、早く日本酒に行かないと。

今宵はもちろん西日本の酒で酔いたい。一杯めは北近江の “七本鎗” を。
豊かな旨みのある “純米 玉栄” は甘辛い味付けの料理に合いそうだ。万願寺の煮浸しを傍に杯を重ねる。
“豚の角煮パイ包み” は和辛子をつけて、これはオシャレで美味しい逸品だ。

“寶剱” は呉の酒、このレトロなラベルは八反錦ベースの純米酒、旨みのある酒は冷でも燗でもいけそうだ。
お品書きを眺めて、こんな酒に合いそうなのは “鯖の燻製” か。
マヨネーズに七味を少々振って香りを感じながら齧る、これって酒呑みの択びそうな肴だなぁ。

“久米桜” は鳥取大山の酒、“軽妙酒脱” の名のとおり、飲み心地は軽やかで、ラベルは洒落ている。
どうやら平成になってからの蔵のようで、インディーズ的な酒、ここで出会ったのはご縁ですね。
土鍋で炊いた “じゃこめし” を味わったら、猪口に残った軽妙酒脱をキュッと呑んで〆る。

引き戸を閉めたらコートの襟を立てる。大阪の冬は思ってたよりも寒い。この街ではまだまだ呑みたい。

大阪市高速電気軌道 谷町線 大日〜八尾南 28.1km 完乗

大阪で生まれた女 / BORO


旅の途中 2024. 明けましておめでとうございます!

2024-01-01 | 日記・エッセイ・コラム

明けましておめでとうございます。
首都圏では穏やかな青空が広がった元旦です。
今年はどんな 風景、人情、酒と肴 に出会えるでしょうか。
とりあえず風にまかせて彷徨ってみましょうか。
本年もよろしくお願いいたします。
旅の酒場でお会いしましょう。

人は何で酒を飲むのでしょう / 六角精児