"夜明け前 辰の吟" はホタルの町・辰野の蔵、山田錦を醸したなめらかな吟醸香の酒。
名物 "山賊焼き" は大根おろしとエノキをのせて、カラッと揚がった鶏にポン酢が良い。
この店の信州郷土料理は松本平の味だね。生まれ育った善光寺平のとは趣がちがう。
それでも旨い酒肴を愉しんだ新宿四丁目の夜、中天には満月が浮かんでいる。
2019/01
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"夜明け前 辰の吟" はホタルの町・辰野の蔵、山田錦を醸したなめらかな吟醸香の酒。
名物 "山賊焼き" は大根おろしとエノキをのせて、カラッと揚がった鶏にポン酢が良い。
この店の信州郷土料理は松本平の味だね。生まれ育った善光寺平のとは趣がちがう。
それでも旨い酒肴を愉しんだ新宿四丁目の夜、中天には満月が浮かんでいる。
2019/01
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本八幡から新宿まで、都営新宿線の短い旅を終え、新宿南口に出る。
四丁目の雑居ビルを見上げると「信州炉端」の文字、故郷の味はあるだろうか。
先ずは "七笑 辛口純米酒"、コクとキレのある豪快な酒は肴を択ばない。
"野菜焼き" には信州特産の長芋がバターをのせて美味しい。
新宿は松本へ向かう信州へのゲートウェイだから、こんな店があっても良い。
2019/01
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上小田井駅の3番線に入って来た地下鉄鶴舞線はブルーのラインの6両編成。
1977年開業当時からの鶴舞線最古参の車両は、名鉄からの乗り換え客を待つ。
名鉄犬山線と地下鉄鶴舞線共用の小田井駅は頭上を高速名二環が走る。
名古屋の地理には疎いけど、名古屋駅の真北6~7キロってところか。
夕暮れの小田井駅を発ったブルーのラインの6両編成は、地下の闇へと潜って行く。
鶴舞線は伏見通りの地下で市街地を南北に貫くと、東へ転進して赤池まで走る。
ここまで約20キロ、35分の旅、ここから再び名鉄線(豊田線)に乗り入れるのだ。
地上に這い出るとすでにとっぷり暮れた、たぶん住宅街であろう赤池の町。
ロータリーの向かい側に「ばかうま」と云う、ちょっと昭和風情の居酒屋を見つける。
この店、東海の酒のラインナップが充実しているって聞いたからね。
刺身、いいところを切ってもらったら、"一念不動 無濾過しぼりたて" は設楽郡の酒。
フレッシュな新酒のしぼりたてを愉しむ。
続くアテは "韓国風やっこ" と "あさり酒蒸し台湾風"。〇〇風は単なるイメージだそうだ。
(写真を撮り忘れた)台湾風は激辛につき、酒は本醸造を。
飲み口なめらかな淡麗の "極上 宮の雲"、キンミヤ焼酎で有名な宮崎本店、四日市の酒だ。
ほろ酔いの身体を地下ホーム階に沈めると、入線してきた深紅の車両は名鉄のもの。
鶴舞線を走って来た電車は大抵豊田市まで直通する。この時間、車内はガラガラなのだ。
深紅の6両編成は真っ暗な丘陵地帯をひた走り、梅坪駅で三河線に合流する。
電車は一つ先の豊田市まで走るのだけど、豊田線はここまで。灯り少ない寂しい駅だね。
唯一煌めくのは台湾ラーメンの店、鶏ガラのスープ、炒めたひき肉とネギ、唐辛子が
たっぷりのった "台湾ラーメン" は、「名古屋めし」のひとつに数えられるB級グルメ。
名鉄電車の様な深紅の唐辛子、ぴり辛を啜って、鶴舞線・豊田線の旅を終えるのだ。
名古屋市交通局・鶴舞線 上小田井~赤池 20.4km
名古屋鉄道・豊田線 赤池~梅坪 15.2km 完乗
セクシー・ユー / 郷ひろみ 1980
休日の午後、銀座で加賀料理を肴に能登の酒を愉しむ。
「宗玄」は珠洲の酒、1768年創業と云うから250年続いた奥能登最古の蔵元だ。
"純米石川門" は地産の酒米で醸したこれまた辛口の酒。当然冷やで飲むのが旨い。
合鴨を季節の野菜や特産のすだれ麩と煮合わせた "治部煮" を肴に美味しいのだ。
2018/01
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引き戸を開けると、石野真子の「春ラ!ラ!ラ!」のメロディ。ストライクゾーンだ。
京成千葉から徒歩5分、串酒場「伝助横丁」は、まだ午後2時だけど席の半分が埋まってる。
昼呑みの需要ってのは意外とあるんだね。若いカップルだってチラホラ見かける。
"串かつ5点盛" を肴にホッピーを飲む、'70~'80年代のアイドルを聴く怠惰な午後だ。
2017/01
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ご存知犬山城は室町時代に建てられた現存する日本最古の天守。
木曽川河岸の小高い山上の天守、その最上階から一望する濃尾平野の眺めは絶景だ。
ここを訪ねるのは5年ぶり、暮れが押し迫った頃、対岸の中山道を歩いた。
上飯田線は全長わずか0.8km、もちろん日本で距離が最も短い地下鉄路線になる。
桃のラインのステンレス車両は、ひと区間を走って名鉄・小牧線へと乗り入れて行く。
複線ときおり高架の路線も小牧を過ぎると単線に。左右には田園都市の風景が広がる。
小牧線、犬山線、広見線の3線を集めて犬山駅に終着、ここまで17分の旅。
桃のラインの4両編成は上飯田線・小牧線専用仕様、他線に乗り入れることなく折り返す。
犬山駅の階上はマンション。んっ「尾張の小京都」の玄関口としては残念な駅。
明治時代創業の老舗「松野屋」で、郷土料理の "豆腐でんがく" をいただく。
地元犬山の "東洋自慢" のアテに、味噌が香ばしいふっくらした焼き上がりを愉しむ。
後半は "菜めし" にのせて、ほんのり苦いご飯とでんがくの甘い味噌が絶妙なのだ。
城下町の町割りがそのまま残る本町通りを歩く。旧い町並みに浴衣姿が溶け込んでいる。
犬山城の麓にある三光稲荷神社は城主であり尾張藩附家老成瀬家の守護神だと云う。
縁結びの御利益がある可愛いピンクのハート絵馬、女性の心を掴んでいるようだ。
さて旅は広見線に移して東へと走る。今度は名鉄らしい深紅の4両編成だ。
広見線はほどなく岐阜県に入る。空港特急が乗り込む新可児までは複線になっている。
この先、運賃体系が違うのか、オール無人駅なのか、改札内改札を通って乗り継ぎする。
新可児から先はいつ廃止してもおかしくない真のローカル線、レトロな2両編成が往く。
旧型車両はレールをがたがた鳴らして10分、夕闇せまる御嵩駅に終着する。
駅周辺を歩いてみる。この時間、郵便配達員以外にすれ違う人はいない。
御嵩も中山道の旧い宿場町、5年前に息子と歩いた寂しくも懐かしい町並みなのだ。
名古屋市交通局・上飯田線 平安通~上飯田 0.8km
名古屋鉄道・小牧線 上飯田~犬山 20.6km
名古屋鉄道・広見線 犬山~御嵩 22.3km 完乗
春ラ!ラ!ラ! / 石野真子 1980
新京成線が松戸駅に滑り込む。7・8番線の車止めの先は飲み屋街が広がっている。
西口に「せんべろ」へと降りる階段がぽっかり口を開けている、まだ午後1時。
すでにご同輩が集っている「居酒屋 大都会」は24時間営業、昼呑みの聖地だ。
ネギとろ、串カツ、マカロニサラダにポッピーセット、〆て1,140円の午後のひととき。
2017/01
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城下の割烹・郷土料理「田季野」を訪ねる。
馬肉を和えた "会津けっとばし焼" を肴に、会津坂下の豊潤な酒 "飛露喜" を一杯。
平家落人伝説が残る檜枝岐村に伝わる「曲げわっぱ」で食す会津料理を愉しむ。
"ぜいたく輪箱飯" は、鮭親子、かに、竹の子、きのこ、ぜんまいが贅沢に盛られる。
会津の酒肴を堪能したら、磐越西線の旅は阿賀野川に沿って日本海を目指す。
2016/12
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冬晴れの日、マッチ箱の様な4両編成で広瀬川橋りょうを渡り、杜の都を東西に貫く。
仙台市営地下鉄・東西線の起点は八木山動物公園、閑静な住宅街にある。
東西線の車両も構造物も南北線のそれと比べるととても小さい。
東京で云うと大江戸線のイメージだろうか、まるで遊園地のジェットコースターの様だ。
実際に最大の勾配は57‰、1,000m進むのに57mも上る。旧碓氷峠に近い。
3つ目の国際センターは陽の光を浴びる地上駅、コンベンションセンターの最寄りになる。
東北大学のキャンパス群も近く、また青葉城址への入口でもある。
エントランス前には仙台に所縁ある金メダリストのモニュメントがある。
入れ替わり立ち替わり女性ファンらが傍らに立ち、スマホで写真を撮るスポットだ。
観光スポットを結ぶ循環バス「るーぷる仙台」に乗ると、次の停留所が仙台城跡。
冬の澄んだ青空を背景に伊達正宗騎馬像が凛々しい。
正宗公が見つめる先には100万都市仙台、杜の都の市街地が広がる。
荒井行きの4両編成が仙台に到着、地下鉄南北線とはここで交差する。
伊達正宗公の墓所である瑞鳳殿へは、ここから「るーぷる仙台」に乗ると良い。
一日乗車券630円(地下鉄共通券は920円)を購入すれば、仙台観光は大抵こと足りる。
麒麟に牡丹、唐獅子など豪華な飾り彫刻が施された「涅槃門」を潜る。その先が拝殿。
桃山文化の遺風を伝える豪華絢爛な霊屋(おたまや)、その極彩色の彫刻が美しいね。
昭和6年に国宝指定された廟は戦災で焼失し、現在の建物は昭和54年の再建になる。
再び仙台から荒井行き4両編成に乗る。終点の荒井までは12~3分の乗車になる。
ところでこの車両のデザイン、前面の灰色の部分は政宗公の兜の「前立て」を、
側面上部の水色は「空・川・海」を表すそうだ。
終点荒井駅は仙台東部道路の間際にある。
北口側に広大な整地は、被災地図と見比べると3.11で津波が到達したらしい。
あらためてお見舞い申し上げます。
仙台に戻って「駅前酒場・丸昌」は、ちょっと有名なモツ焼きをメインにした居酒屋。
告白するけど呑み人、これだけ酒場を彷徨いながら、モツだのレバーだのNGなのだ。
先ずは生ビールを呷る。
店に敬意を表して "豆腐煮込み" を注文する。が、モツは残す。逆に失礼な所業か。
この店は宮城全蔵の地酒を揃えている。今日は県北部栗原の酒をいただく。
一杯目は千田酒造の "栗駒山" 、ササニシキで醸したまろやかな口当たりの酒だ。
アテに "鶏唐ポン酢"、これも150円也、カラりと上品に揚がって美味しい。侮れない。
"おでん" はどの種も50円、安いね。男爵がなかなか美味い。
萩野酒造の "萩の鶴" が二杯目、これも栗原の酒だ。コップ酒はどれも330円也。
〆て1,800円ほどで、お腹一杯、夢いっぱい。青葉通りの街灯が灯ってそろそろ退散。
何故って?青春18きっぷで帰るには、東北本線に7時間揺られないといけないからね。
仙台市交通局・東西線 八木山動物公園~荒井 13.9km 完乗
青葉城恋唄 / さとう宗幸
竜ヶ崎駅の改札を抜けて30秒ほど。ちょうど17時、居酒屋「ふくろう」に暖簾が掛かる。
独りカウンターに座ると、ほどなく一人二人と常連さんが引戸を開ける。
5人のご隠居さんは飲み友達の様だ。カウンターの姉さんをからかいながら盛り上がる。
まずはホッピーを一杯。それからコロッケ(龍ヶ崎のB級グルメ)も食べないと。
凝った肴はない。出来合いを温めるか、焼くか、切るだけ。でもこれで十分。安いしね。
世のサラリーマンがONからOFFに切り替える、帰宅前のオアシスの様だ。
2018.01
JR久里浜は京急久里浜に比べて寂しい、哀愁を誘う、まさに終着駅なのだ。
黒船仲通りを200メートルほど入ると香ばしい匂いがしてくる。
シャッター通りの中にぽっかりと開いた「くりはま家」はやきとりがメインの立飲み屋。
正月早々、はじめての町での一杯は、井川遥のポスターに誘われて角ハイボールを。
タレでいただく "豚バラ串" が美味しい久里浜の夕暮れ。
2018.01
ウイスキーが、お好きでしょ / 竹内まりや
北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)が冬の宵に浮かび上がる
1888年に建てられたアメリカ風ネオ・バロック様式の建築が威風堂々と美しい。
新さっぽろ駅から東西線に乗る。オレンジのワンポイントが入った7両編成だ。
この20キロほどを呑み潰せば、北海道の鉄路・軌道は完乗となる。
北緯43度の冬は夜の到来が早い。
大通駅で地上に這い出ると、テレビ塔とX'masツリーがイルミネーションを競演している。
冬の札幌は、薄っすら雪景色した街並みにライトアップやイルミネーションが美しい。
一筋北へ向かうと、今度は時計台(旧札幌農学校演舞場)が凛とした姿を見せてくれる。
翌日、大通駅からさらに西へ。週末は1日乗り放題のドニチカキップ(520円)が断然お得。
円山公園駅の地下道は、古びたバスターミナルに連絡している。
ここからJRバスで15分、さらに10分、半ば凍った雪に足をとられながら坂道を上る。
緩い左カーブを進んでいくと、いきなり大倉山シャンツェが眼前に現れる。高い。
1月からはFISワールドカップなど国際大会で熱い戦いが繰り広げられる。
円山公園駅を出発すると、7両編成は北へさらに北西へと進行方向を変える。
ゴムタイヤ式のボルスタレス台車を唸らせて、10分の乗車で終点の宮の沢に到着。
白い恋人パークは、観て、知って、味わって、体験できる石屋製菓のテーマパーク。
イングリッシュガーデンは、夏はバラが咲き誇り、冬はイルミネーションが煌く。
ちいさな子ども連れや、女子旅、恋人たちには楽しいスポットだと思う。
でっ、当然に場違いなオジサンは数枚をカメラに収めたら、入場せずに引き返すのだ。
大通駅へ戻ったら、時計台前の酒肴日和アテニヨル、創作和食を提供する日本酒バー。
ちょい飲み昼酌セットは、アテ5種盛り+ドリンク2杯で980円、お得でしょう。
金滴酒造の特別純米酒 "新戸津川" は空知産「吟風」で醸したちょい辛の酒。
ニシン粕漬け、ホッキ塩辛、北あかりポテサラ、イカ塩辛、わかさぎ南蛮漬け、と
盆にオシャレにのったアテは、どれもレベルが高い。
出汁が自慢の "黒おでん" は、お好みで柚子胡椒を付けていただくのがお奨め。
タワーのような厚切りの大根にも出汁が芯まで浸みわたって美味なのだ。
二杯目は夕張の北の錦 "特別純米まる田" を。これまた「吟風」の喉ごし良い辛口の酒だ。
大倉山シャンツェの展望台は標高300m、札幌の街、石狩平野、石狩湾が一望できる。
吹き上げてくる風は冷たいけれど、澄んだ冬の青空と札幌の街は一見の価値がある。
下りのリフトに乗って、幼い頃に覚えた『虹と雪のバラード』を口ずさんでいるのだ。
札幌市交通局・東西線 新さっぽろ~宮の沢 20.1km 完乗
虹と雪のバラード / トワ・エ・モワ
北海道初の路面電車として走り出してから既に100余年の貫録、函館市電で往く。
なにもこんな雪の時季に訪れなくても良さそうなものだけど、ついでがあって函館滞在。
まずは湯の川電停から2系統の連節車で谷地頭をめざす。
海渡る強風が吹き抜ける函館は、吹雪いたかと思うと雲が切れ青空が覗いたりする。
けれども五稜郭タワーに上った数十分は、横殴りの雪で完全にホワイトアウト。残念。
五稜郭公園電停から函館駅を経て十字街電停へ。
この辺りから埠頭方面に向かうと、お馴染みの金森赤レンガ倉庫群を観ることができる。
十字街電停の分岐を南に折れると宝来・谷地頭線、ほどなく終点谷地頭で行き止まる。
ここから立待岬までは1kmなのだが、頬打つ雪に断念する。
代わりに市民の憩いの場・谷地頭温泉へ。鉄分を含んだ茶褐色の掛け流しが気持ち良い。
十字街電停に戻って今度は5系統、2000系Coca-Cola電車の赤が雪に浸みる。
一つ目の末広町電停を下車して基坂を上ると旧イギリス領事館そして旧函館区公会堂。
残念ながら白いシートに囲まれ修理中、オフシーズンだからしょうがないね。
大三坂を巡って函館ハリストス正教会、カトリック函館元町協会、尖塔が雪空を突く。
いつしか軌道の左右は住宅街に変わり、函館どつく前電停に甲高いブレーキ音を響かせる。
ここから旧ロシア領事館や外人墓地が程近いのだけれど、この天候ではね。
大衆居酒屋「魚さんこ」のちょうちんと暖簾が赤々と、暖かいよ、寄ってけよと誘う。
「鬼をも殺す」超辛口酒は、國稀 "北海鬼ころし"、芳醇な香りでキリッとした口当りの酒。
刺身を盛ってもらった、にしん、ほっけ、青つぶ、まぐろ、北の海の味満載でしょう。
"北あかりのジャガバター" がホクホクと、バターで味わったら、後半は塩辛をのせて。
鬼を退治したら北の誉の "北海羆"、道産米の純米酒が北海道の料理に合わない訳はない。
〆はお茶漬け、たらこをのせて。温まるね。
雪景色と北の酒肴を堪能して函館の夜、明日は残した課題を提出に札幌に足を延ばす。
函館市企業局 2系統 湯の川~谷地頭 9.2km
5系統 十字街~函館どつく前 1.5km 完乗
恋 / 松山千春 1980
夜になると表情を一変する東京。浮かび上がる赤レンガに青い月が共演する。
東京駅のライトアップ、仲通のイルミネーション、やはり丸の内は美しい。
銀座線に遅れること27年、丸ノ内線が走り出したのは戦後なんですね。
荻窪、方南町へと全線開業するのは、オリンピックを控えた1962年のこと。
この辺りの情景は浅田次郎の小説に描かれている。
西口五差路からEchikaに潜る。普段利用しない者には、あまりにも広く複雑な空間だ。
辿りついた2番ホームから荻窪行きに乗車する。赤いラインをひいた6両編成だ。
東京の主要なポイントを繋ぐ路線にしては容量が小さいが、年長の路線なので仕方ない。
深度の浅い丸ノ内線はところどころで地上に姿を見せる。
東京中心部が台地と谷の上に広がり、変化に富んだ地形であることを教えてくれる。
神田川を赤い丸ノ内線が渡る風景は、幼いころの東京のイメージだった。
きっと、絵本か何かの刷り込みだと思う。
東京メトロでも年長の3路線が交差する銀座駅、冬型の気圧配置の日、東京の空は青い。
新宿の喧騒の手前、ぽかんと緑の異空間が空いている。
初夏や初秋には、シートに本を何冊か、それに缶ビールを持って訪れたい新宿御苑。
中野坂上に6両編成が滑り込むと、中線に方南町へと道草する3両編成が待っている。
方南町までは3駅6分の寄り道、途中の中野富士見町には電車たちの塒がある。
スカーレットに塗られた丸ノ内線の新型車両に混ざって銀座線のオレンジが見える。
この2色はなかなか相性がいいね。公園の花壇を眺めるような中野車両基地だ。
中野坂上に戻って荻窪へのラストスパートは、先ほど見かけたスカーレットの6両編成。
善福寺川沿いに住んでいた学生時代、新宿で呑んだくれたら南阿佐ヶ谷まで乗ったっけ。
想い出に浸る間もなく次は終点の荻窪、青梅街道下の直線は電車も軽快に駆けてきた。
16時半を回ってすでに日は西に没して、いい塩梅に暮れてきた。
南口仲通りを左に折れるとせんべろ界では有名と云う「魚正宗」に灯がともっている。
刺し盛り(orアジフライorハムカツ)+小鉢+ドリンク3杯が、ここのせんべろセット。
一見さんとしては、素直にこのシステムにのってみる。ただし日本酒はNGだ。
外は寒いけれど、やはり一杯目は生ビール。
刺身は、ヒラメ、〆サバ、タコの二切れ三種、少量だけどいいところを切っている。
とろけるチーズをのせてバーナーで炙った "ぽてさらチーズ焼き"、これなかなかの逸品。
井川遥がステアしてくれたと想像を巡らせ "角ハイボール"、レモンのちょいしぼは無い。
"赤エビを塩焼き" を剥きながら、三杯目を "男梅サワー" で〆る。
カウンターの兄さんが一寸つっけんどんだけど、丁寧な仕事ぶりでアテも美味しい。
こういう店はある程度通わないと愉しく飲ませてもらえないかな。いい経験になった。
レトロ調の赤い丸窓電車に乗って、再た飲みに行ってみようか。
東京地下鉄・丸ノ内線 池袋~荻窪 24.2km
方南町線 中野坂上~方南町 3.2km 完乗
TOKIO / 沢田研二 1980
凛とした冬の空に富士山が美しい。富士河口湖温泉からの1枚です。
新年の朝を迎えて、今年はどのあたりを彷徨うか思案しているところです。
五街道完歩へ仕上げの東海道の旅は、箱根を越え、大井川を渡って、舞阪宿に逗留中。
漁船をチャーターして今切の渡しからの再開になります。
ローカル線と酒肴の旅は、常磐線と只見線の復旧が待たれるところですが、
ほぼ東日本を乗りつくし、今後は苦戦が予想されます。
新しい相棒を見つけたら、リターンライダーになって、呑まない旅をするかも知れません。
「明けましておめでとうございます。」
拙いブログですが、今年もお付き合いください。
令和2年 元旦
心の旅 / チューリップ