未だにこの店のことはよく分からない。
屋号に「レストラン」と付いているし、雰囲気は町中華そのものだし、味噌汁付きの定食は美味しい。
とりあえず美味しい「茶色」を並べてみた。
熱々の具沢山な餡をかけて “五目焼きそば”、小袋の辛子をふた袋切ったら餡の頂点に絞り出す。
黄色い小山を溶かすようにお酢をかけたら、大掴みの一口めを頬張る。美味い。
黄色い短冊に描かれたメニューが壁中に貼ってある。町中華的でしょう。“ナポリタン” を択んだ。
普段は卓に並んでいないKraftのパルメザンが供される。ちゃんと冷えている。かけ放題なのだ。
モチモチの太麺にケチャップソース、昭和な呑み人には懐かしいおふくろの味だ。
フライパンから無造作に盛り付けた平皿と、安っぽいフォークが、この場合演出効果が効いている。
「揚げ物は控えましょ」って可愛らしい保健師さんとの約束を破って “エビとイカのフライ” が並んだ。
それ位ここのフライは美味しい。グランドメニューから一種類を日替り定食に仕立てて750円で提供している。
そのお得感がまたいい。味噌汁と香の物が付くのが、洋食屋というより和定食な感じなのだ。
っで、この店のことで分かっていることは、指を折って確認する帰り道。
13:30で閉まってしまう、切り盛りするご夫婦の愛想は良くない、どのメニューを択んでもハズレなく美味い。
それでついつい、照りつける残暑の日でも、山手線を越えて歩いてしまうのだ。
いやいや、ごちそうさまです。今日も美味しゅうございました。
リトル プリンセス / 岡田有希子 1984