旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

風を感じて! 九十九里ビーチラインとZとオーシャン・ブルー

2024-10-19 | 単車でGO!

水揚げが終わって、静けさを取り戻した漁港には、釣り人が糸を垂れている。
少しだけ早起きをした連休のある日、美味いモノを食べようと遠出をする気になった。

っで、東金九十九里有料道路を海に向かっている。もう少し走れば潮の香りがして来そうだ。
zの丸みのあるタンクに、秋の深い青空と、夏の名残りの強い日差しが映り込んでいる。

海に出る前に、成東の浪切不動院に寄ろうと、台方ICで車体を左に倒し込んだ。
山門と本堂、緑に映えるその鮮やかな朱色にzが溶け込んで見える。

聖武天皇の御代、行基が難破船の海難除けとして、波を切る巌の上に不動尊像を刻んだものだと云う。
海岸線はかなり後退したけれど、不動明王は成東の町並みを一望し、その先の大海原を見つめている。

浪切不動院から海岸線までは約8キロ、はるかに太平洋が広がる。
片貝海岸では波に戯れる恋人たちがシルエットになって、ボクにはずいぶん前の想い出だけが残る。

振り返ると、いわし料理やらだんご汁の幟がはためいて、呑み人を誘う。
「まるに」は九十九里浜を一望して、浜焼きが楽しめる食事処だ。

鮮やかな赤身、舌の上で中トロがとろけて “まぐろ刺し” が美味しい。
なんとなく注文してしまうのがノンアル、まぁ気分の問題なのだ。

大ぶりな6尾を盛り付けて “いわしフライ” が登場、茶碗蒸しと2つの小鉢を従えて、食べ切れるだろうか。
小鉢の煮豆とイワシの酢漬けは泣かせる。この際冷えた酒を升に溢してもらいたくなる。
それにしても特製ソースと和辛子を少々付けて、揚げたてのイワシが美味しい。

午後は潮風を浴びながら、九十九里有料道路で緩やかな弧を描く。爽快そのものなのだ。
どこまでも走りたい海岸線だけど、とりあえず九十九里の南端、太東岬まで行ってみよう。

R128を左に折れて、リアス式の海岸崖を駆け上ると、突然、白亜の太東埼灯台が屹立する。
海抜58mから望む太平洋は、水平線に向かって「青」がグラデーションするオーシャンブルー。キレイだ。

遥かに弧を描いている九十九里を目に焼き付けたら、街に向かって北へ走ろう。
ようやくzと走るいい季節がやってきた。次の週末、風を感じてどこまで行こうか。

<40年前に街で流れたJ-POP>
オーシャン・ブルー / 稲垣潤一 1984


津々浦々酒場探訪 庵 浮雨(un peu)@浦和

2024-10-12 | 津々浦々酒場探訪

ゴールドの泡が煌めく “スパークリング” と、大衆酒場の雄 “赤星” の共演で今宵の宴が始まる。
お通しは、なんともクリーミーな “おぼろ豆腐”、岩塩で食すかオリーブオイルで食すか、選択を迫られる。

十割蕎麦が食べられるビストロ?、蕎麦前にタパスを楽しむそば処?
記事のカテゴリーは、酒場探訪か、人生のそばからか、男と女か、迷うところたくさんの夜なのだ。

“ゴボウの青唐みそマヨネーズあえ”、“長ねぎのマリネ”、“木の子のマリネ” を並べて赤星を呷る。
とりあえずはメニューの上から3つを頼んでみた。どれもご機嫌なアテなのである。

選りすぐりの日本酒は純米系のボトルを、あたかもワインのようにラインナップしている。
今度は “半熟うずら玉子のスモーク” はトリュフ塩で、それに “鶏ササミの洋風とりわさ” で脇を固めておいて、
注ぐ “醸す森” は津南の苗場酒造の酒、ほのかに柑橘系が香るのど越し爽やかな生酒なのだ。

このモダンな酒を差しつ差されつ、“ホタテのムース洋風板わさ” と “だし巻き風オムレツ” を突っつく。
これもまた美味いねぇ。ほら、段々と蕎麦処っぽいアテになって来たでしょう。

〆の十割蕎麦は クルミオイルをたっぷり使った “くるみ汁せいろ” が陶器に盛られてやってきた。
コシのある十割を、ほんのり甘いくるみ汁で、なめらかに啜って美味しい。
こんな隠れ家的な蕎麦処はふたりでゆるりと楽しみたい。

<40年前に街で流れたJ-POP>
シャボン / 長山洋子 1984