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旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

桜と残雪とキハの風景@城端線

2025-04-19 | 日記・エッセイ・コラム

里山に雪が残っている。田圃の中にぽつんぽつんと散居集落、桜の老木、絵になる風景だ。
遮断機のない踏切が鳴り出す。レールの継ぎ目を鳴らして、タラコ色の気動車が駆け抜けていった。
週末の大阪出張を仕上げて、乗車券を変更して富山を旅したのは、桜が満開の季節だ。

砺波平野を南下する城端線は、新高岡を過ぎるとほどなく農村風景の中に溶け込んでいく。
青々とした畑は植えたばかりの大麦だと、地元の親父さんが教えてくれた。

城端は越中の小京都とも言われ今もレトロな町並みが残っている。
真宗大谷派の別院、絢爛豪華な曳山、水車の風景を訪ねて漫ろ歩く。
復路は地酒のワンカップでも買って、ゆったりと車窓を眺めて帰ろう。

<40年前に街で流れたJ-POP>
今だから / 松任谷由実・小田和正・財津和夫 1985


桜と菜の花とキハの風景@いすみ鉄道

2025-04-12 | 日記・エッセイ・コラム

いすみ鉄道で運行されている気動車「キハ52」の引退が発表されました。
先に引退した「キハ28」と組んだ国鉄色の編成が、夷隅川水系の谷間を走る姿は絵になりましたね。

五井から大原まで、房総横断の旅をしたのは3年前、上総中野から「急行」に乗車して外房へ降ります。
2つ目の駅は確か総元(ふさもと)、キハの足元は黄色い菜の花の絨毯に埋まり、
左右からは淡いピンクの花びらを満開にソメイヨシノが枝を寄て、絵になる風景ですね。

一声の汽笛を里山に響かせて、キハ28+キハ52がゆっくりと走り出します。
こんな麗らかな鉄道のある風景を探して、ワンカップと文庫本を忍ばせ旅に出たいですね。

<40年前に街で流れたJ-POP>
決心 / 岩崎宏美 1985


真澄と花垣と 今宵はお気に入りの酒に酔う@浦しま

2025-04-09 | 日記・エッセイ・コラム

その居酒屋の今月のお奨めは “真澄” と “花垣”、偶然にもボクが好きな銘柄1,2なのです。
実家が酒販店を営んでいて「真澄」の看板を揚げていたことは過去にも書いたかもしれない。

“奥伝寒造り” は豊潤な純米酒、ほんとはぬる燗が旨いかも知れないけれど、冷酒でいただく。
アテに択んだ “胡麻かんぱち” は、たぶん福岡の名物料理、信州と九州の意外な邂逅。
脂がのったかんぱちに、甘味が効いた胡麻醤油を絡めて美味しい。これっ日本酒に合うよね。

スタートはいつもの通り生ビール、ここのは黒ラベル、「丸くなるな、☆星になれ。」ってね。
それから “ポテサラ”、いぶりがっこが入っていて、食感が楽しい。必ず注文する一品だ。

さて、日本酒に代えたら、アテは「今日のおすすめ」から何品か択ぶ。
ジーマーミとうふ?で 沖縄風の “揚げ出し豆腐” が青のりを絡めて美味しい。
“甘鯛ウロコ焼き” は、ふんわりした身とパリパリの鱗のアクセントがいい。これ白ワインにも合うかな。

呑み鉄を始めた2013年夏に完乗した越美南線、越前大野で訪ねたのが “花垣” の南部酒造場。
その時以来、この酒をラインナップに見つけると必ず呑んでいる。お気に入りの銘柄だ。

“純米にごり” は、ほのかな甘味と柔らかな酸味があって、食後にロックで転がすのも良いかも。
大ぶりなのがぱっくりと口を開けて “蛤酒蒸し” が登場、旨味をたっぷりで出汁が美味い一品だ。

居酒屋の止まり木に居ながらにして、今宵も北へ南へずいぶん旅をした気分なのです。
ごちそうさまです。また伺いますね。

<40年前に街で流れたJ-POP>
シャイニン・オン 君が哀しい / LOOK 1985


駅そば日記 しぶしば@二子玉川「あなご一本天そば」

2025-02-26 | 日記・エッセイ・コラム

迫力の一本を丼に渡して “あなご一本天そば” が登場。
得てして写真ほどではなくてガッカリする食べ物があるけど、これはまぁ凄いね。

悴んだ掌を温めるように丼を包んで、まずは汁をひと口、やや甘めかな、美味しい。
あなごの頭のあたりをがぶり。カリカリっとして江戸前?、味があるね。

蕎麦の風味を感じながら、大掴みした麺をズズッと啜り上げて美味い。
汁に浸かった腹のあたりがしっとりと甘い、この味変の具合も楽しいね。

二子玉川の「しぶそば」入店待ちの列ができるほどの賑わい。客層もずいぶん若いですね。
少し単価が高めの設定だけど、味も良いし目をひく季節メニューもあって、なかなかいい感じなのだ。
ご馳走様でした。さて出汁の香りを感じながら、渋谷へ出る急行に乗りましょうか。

<40年前に街で流れたJ-POP>
愛人 / テレサ・テン 1985


一酒一肴 三井の寿×博多明太子の天ぷら

2025-02-05 | 日記・エッセイ・コラム

行きつけとは云わないまでも、時折寄せていただく居心地の良い居酒屋。
今月の地酒のラインナップは西高東低、とりわけ福岡の酒が3銘柄ある。
それでは今宵、止まり木に居ながらにして九州へ旅しよう。

“三井の寿” と “庭のうぐいす” は筑紫平野の酒、この蔵は8年前に訪ねたことがある。
西鉄では春先の週末2日間「くらの細道きっぷ」という企画きっぷを発売する。
甘木線乗り放題きっぷでローカル線に揺られ、沿線4つの酒蔵巡りを楽しむ催しで、
春の田園風景を味わいながら、オリジナルのおちょこを持って飲みくらべて巡るのだ。
九州出張中にポスターを目にして、帰京を延ばし、春の筑紫平野を乗って呑んで歩いた思い出がある。

山田錦を醸した “三井の寿 純米吟醸大辛口” は香りは穏やかでキレが冴える超辛口、やはり魚料理が合う?
っで、ぴったりなアテは “博多明太子の天ぷら”、海苔を巻いて揚げた明太子を輪切りにして、
まわりはカラッと中身はジューシー、酒がすすむなかなかの一品です。

ほんと天神か中洲で飲んでる様だね。このあとは “庭のうぐいす”、“若波” と杯を重ねるのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
リ・ボ・ン / 堀ちえみ 1985


旅の途中 2025. 明けましておめでとうございます!

2025-01-01 | 日記・エッセイ・コラム

明けましておめでとうございます。
首都圏では穏やかな青空が広がった元旦です。

すべての人が穏やかに暮らせる令和7年であって欲しいと願っています。

新年の口開けは永井酒造さん(群馬県川場村)の “水芭蕉” にしました。
純米大吟醸の新酒が詰まった、華やかな「2025干支ボトル巳」は縁起物です。

永井酒造さんにはよく通った時期がありまして、
春の田植え、夏のホタル鑑賞、秋の稲刈り、冬の蔵開き、
四季折々の自然との触れ合い、その後の野外大宴会が楽しかった覚えがあります。

今年はどんな 風景、人情、酒と肴 に出会えるでしょう。
とりあえずはディーゼルの揺れに身を委ねてみましょうか。

本年もよろしくお願いいたします。
旅の酒場でお会いしましょう。

呑み人

ディーゼル / 六角精児バンド


呑み鉄放浪記「車止めのある風景」2024.

2024-12-31 | 日記・エッセイ・コラム

終点の引込線もないどん詰りの無人駅、錆びた線路は100mほど延びて車止めに塞がれる。
気動車の低いエンジンは虫の音と調和し、その排気は蜃気楼の様に秋の空を揺らしている。
鄙びた駅舎、つがいで飛ぶ赤とんぼ、お国ことば
車止めのある風景が好きだ。思えば遠くへ来たもんだ的なね。呑み鉄の旅のクライマックスでもある。

2024年の旅は、首都圏の私鉄の焼き直しが多かったから、
たくさんの車止めを写真に収めたけれど、この郷愁とは無縁の風景だった。
臺鐡の菁桐車站も内湾車站も賑わいのある観光地の駅だったからね。

さて来たる年は、カップ酒かウイスキーのポケット瓶を忍ばせて、文庫本片手に
未だ呑み潰していないJR四国、JR九州、地方私鉄を旅できたらなぁと思う。
どんな車止めのある風景に出会えるか、今から楽しみなのだ。

それでは皆さま、酔いお年をお迎えください。

ウイスキーが、お好きでしょ / 南佳孝


酒と肴と男と女 たく庵@四谷三丁目

2024-09-25 | 日記・エッセイ・コラム

一杯の生ビールを呷ったら、手書きの品書きから大好きな “花垣” を択ぶ。
はじめましての一杯は、福井県産の酒造好適米「九頭竜」を醸した純米無濾過生原酒だ。
シャープでスッキリな純米酒は、ほんのり甘い “だし巻き玉子” をアテに美味い。

荒木町で落ち合う大人の時間は、この日ばかりは新宿通りを渡らずに、四谷三丁目の地下に消える。
隠れ家のような店は、スマホのマップでも開かなければ、その穴蔵は見つからないのだ。

仄暗い隠れ家には7席ばかりのカウンターが延びて、趣味のいい陶器を並べている。
久しぶりの人は最奥の席で、タンブラーを弄んでいる。挨拶はなしだ。

日本海の幸を陶器に盛ったら、山葵と岩塩と辛味噌を添える。キレイだね。いやお造りのこと。
雫石の “菊の司” は、ひとめぼれを磨いた純米生原酒うすにごり、少しガスを感じる爽やでフルーティな酒。
“線香花火” に和金が遊ぶガラスの酒器を並べて、ゆく夏を感じるのもまたいい。

被災した珠洲の櫻田酒造に天狗舞が手を差し伸べて “能登大慶×天狗舞”、ちょっぴり苦味も感じる旨酒だ。
さすればアテは “能登のへしこ” を。この塩辛い糠漬けで何杯かいけそうだ。酒器は陶器に代わっている。

大将のお薦めは “不二正宗” は乾坤一を醸す宮城の蔵、リンゴの香りを感じる甘味あるサッパリした酒だ。
〆は “塩むすび” をひとつずつ、へしこを齧りながら米の旨みを堪能する。

夜の帳が下りるのも少しづつ早くなって、これからの季節、ゆったりと大人のふたり酒もいい。

あなたに逢いたくて / 稲垣潤一 with 松浦亜弥


水曜日は家呑み派「葵鶴 純米吟醸 純」

2024-08-07 | 日記・エッセイ・コラム

小さなセラーの隅っこから、深いブルーのボトルが出てきた。これ、兵庫県三木の “葵鶴”。
神戸電鉄粟生線で呑んだ時に仕込んだ酒だから、1年以上寝かせてしまった。ワインじゃあるまいし大丈夫?
羽柴軍が別所長治を包囲した三木合戦の舞台となったこの辺りは、山田錦の日本一の生産地だ。

豚バラの良いところが冷蔵庫にあったから、豆腐としめじと水菜で “豚バラ鍋” にしてもらった。
夏とは言え、鍋ものは手軽でヘルシーで尚且つ日本酒に相性がいい。
もう一回り小さい土鍋では “とうもろこしご飯” が出来上がっていた。
バターを入れずに塩胡椒だけで仕上げると、これもなかなか酒にあう一品になる。

柔らかな香りでさらりとした呑み口の純米吟醸は、特A地区の山田錦100%で醸した「GIはりま認定酒」。
淡麗な酒を差しつ差されつ、鍋をつつきながら、ふたりだけの家呑みもなかなか良いものだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
愛情物語 / 原田知世  1984


人生のそばから 分上野藪かねこ@浦和

2024-06-12 | 日記・エッセイ・コラム

浦和駅から歩いて10分と少々、閑静な住宅街に隠れるように、その店は柔らかく行燈を点している。
場所がらフラリと訪ねる店ではないので、今宵めずらしく、あらかじめ席を予約して出かけた。
その店は、ゆるりと蕎麦前を愉しめる、雰囲気のいい空間を用意してくれる。

シャンパンゴールドに煌めく “ハートランド” で始める。お通しの “そば味噌” がなかなかいい。
県産平飼いの “玉子焼き”、先ずはそのまま食べて甘さを感じて、あとはおろし醤油でいただく。
それから “フルーツトマトとタコのおろしポン酢”、さっぱりと夏の一品だ。日本酒が欲しくなってきたね。

爽やかな空色のラベルは、白隠政宗の “誉富士 純米酒 夏”、ちゃんと夏酒を揃えてくれるのが嬉しい。
さっぱりドライに仕上がった食中酒に、アテは “賀茂茄子と香り豚のみぞれ煮” が美味しい。

アスパラ、谷中生姜、新玉葱、新ごぼう、ヤングコーンを並べて “夏野菜の天ぷら” は抹茶塩で。
山形の “米鶴” は純米吟醸 直汲み無濾過生、出羽燦々で醸した華やかな酒、これは夏野菜に合うね。

頃合いで、〆の “辛味大根おろしそば” が登場する。
薄い紫をした(かなりの)辛味大根をそばの上に盛ったら、それを全体に流すように汁をぶっかける。
おっかなびっくり、それでも大胆に箸でつかんでズズッと啜る。かっ辛い、でも堪らない。
夏酒に夏のアテと辛味蕎麦、梅雨空を吹き飛ばす爽やかな宵の口なのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
愛・おぼえていますか / 飯島真理 1984


ときに週末は特急電車で 八州亭@川越

2024-06-05 | 日記・エッセイ・コラム

観光後進県と言われる埼玉県だけど、単車や鉄道で訪ねる秩父や長瀞それに川越はいつも賑やかだ。
B級グルメやアニメの聖地、乏しい観光資源を補うように、地域や行政が尖って頑張っているからだろうか。
ところが東京との交通利便性が良いばかりに、宿泊は東京で取ったり、そもそも日帰り客が多かったり、
落ちるお金で観光の優劣を測ったら、やはり埼玉は厳しいだろうか。

たまには特急もいいかなっと、高田馬場から乗ったレッドアローでわずかに45分。
小江戸川越はやはり近すぎる。呑み人にとっても昼呑みのディスティネーションなのだ。
レトロな町並みの漫ろ歩きもそこそこに、明治8年(1875年)に創業した旧鏡山酒造の蔵でちょっと一杯。

“海鮮サラダ” を肴に “鏡山” の純米吟醸は玉栄を醸した華やかな香を楽しめる酒だ。
ところで蔵元の小江戸鏡山酒造は、閉じてしまった鏡山酒造を復刻させた若い蔵。
やはり城下町にして酒蔵の一つも無いのは寂しいからね。

濃厚な川越三元豚の “豚角煮” には、やはり濃厚な味わいの純米酒で対抗する。
箸を入れるとほろほろ崩れるほどふんわり煮込んだ角煮を肴に、コクのあるそして酸味を感じる純米酒が旨い。
続いて登場したのが “天麩羅” だから、この純米をもう一合。ちょい呑みのつもりが腰が落ち着いていく。

粋な蕎麦前とは言えないくらい酒は頂いたけど、やはりせいろの一枚も手繰りたい。
択んだのは “とろろ蕎麦”、オクラを浮かべて夏っぽい。二八にたっぷり絡めてズズッと啜る。美味しい。

浴衣姿の男女もちらほら、歩道から溢れる観光客は思い思いにレトロな町並みやスイーツを楽しんで歩く。
呑みにきただけのボクは駅へと戻るだけ。まだ陽は高いけど、今日はこれでお終いだね。ご馳走様でした。

<40年前に街で流れたJ-POP>
If you / 角松敏生


酒と肴と男と女 那須家宗庵@中浦和

2024-05-15 | 日記・エッセイ・コラム

初鰹の季節ですね。今日のおすすめ “初カツオのたたき” を見つけて、声を上げたのは同時だったね。
あいにく土佐の酒はラインナップになかったから、先ずは奈良の “春鹿” を択ぶ。
今宵、ふたりして西へ旅してみようという趣向でね。ラベルに遊ぶ鹿を見て「修学旅行見たいね」と微笑む。

調子に乗って二杯目も奈良の酒、“百楽門” は備前雄町で醸した甘口の生酒、白身魚に合いそうだね。
これは絶品、“長ネギの天ぷら” を抓みながらに杯を重ねる。
ところで “新ホタルのごま和え” に “生カスベの唐揚げ” と、アテは勝手に日本海側を北上していく。

修学旅行はバスを連ねて大阪に入る。この “秋鹿” は山田錦の山廃純米生原酒、濃醇辛口な男酒が旨い。

この店の蕎麦は、のど越し良い “二八そば” と、甘みが強い “あらびきそば” の2種類を手打ちする。
前者はくるみ汁で、後者は本枯れ節のつゆで味わう。

〆の蕎麦前には、穏やかな香りと軽快な口当たりの純米酒 “琵琶のさざ浪” が美味しい。
「あらっ京都には寄らないのね」と彼女がつぶやく。
いやいや、京都に寄らずに帰路の新幹線に乗ってしまったようだ。すでに車窓を琵琶湖が流れていくのだ。

悲しみがとまらない / 稲垣潤一 & 小柳ゆき


ボクも町中華で飲ろう 華山@浦和

2024-05-08 | 日記・エッセイ・コラム

狭い路地裏の、さらに奥まったマンションの1階にその町中華はあった。
自転車置き場の入り口に、移動式の黄色い看板がなければ、Googleマップ を覗いても到達は難しい。

多くのお客さんが4種類設定される「今日の定食」を注文する中、ボクらはギョービーから始める。
ジューシーでモチモチ、でもいい感じにきつね色に焼き上がった “ぎょうざ” が評判に違わず美味しい。
ビールグラスが冷えていれば申し分ないのだけれど、そこはある意味町中華クオリティ。

秀逸なのは小皿メニュー、280〜400円の設定なのだけれど、小皿いっぱいに美味しいが溢れる。
“くらげサラダ” に “焼き豚” それに “麻婆豆腐” が並んで、これは絶品アテの3兄弟。
2本目の一番搾りが空いて、小上がりの卓には “レモンサワー” が登場。調子が出てきたぞぅ。

パラッパラの “チャーハン” を取り分けた頃、熱々の餡かけラーメンがやってきた。
品書きに “華山麺” と、店の名前を冠している位だからここの看板メニュー、確かに美味い。
アッサリした味付け、たっぷり野菜の餡に細麺を絡めて音を立てて啜る。絶品ですよ。

小上がりに上がってから小一時間、満腹を抱えて路地に出る。ちょうど昼の暖簾を下ろす頃だ。
もう午後は何もできないなぁ。でもこんな休日も良いかも知れない。
次は純粋にランチに、そう “華山麺” を食べに来よう。ごちそう様でした。

<40年前に街で流れたJ-POP>
Toremoro / 柏原芳恵 1984


水曜日は家呑み派 「常山 飛 直汲み生酒」

2024-04-24 | 日記・エッセイ・コラム

いい “たけのこ” が手に入ったから、今宵は家呑みってことで。
料理は “たけのこ” に徹するから、その他は手を抜いてデパ地下で見繕ってきた。

“たけのこ” をじっくり味わえる、春を感じる一品は “若竹煮”、細切りのお揚げはボクのリクエスト。
お揚げでちょっぴり甘味を増した一品は、日本酒にあうと思うのだ。

先日の北陸新幹線の旅で立ち寄ったのは常山酒造、“純米吟醸辛口 飛 しぼりたて直汲生” を開ける。
淡麗旨口とでもいうのかな、キレの良い淡麗なのだけど、米の旨みもじゅうぶんに感じる。

お刺身を白い陶器に盛りつけたら、テーブルが一挙に華やぐね。
それから “揚げイワシの甘辛” は青唐辛子を添えて、こんな肴で淡麗旨口を重ねる。
いただいた「常山」と描かれたグラスに、ひとつ買い足してペアにした。掌に収まってかわいらしい。

土鍋が湯気を上げて “たけのこご飯” が炊き上がったら、しゃもじで混ぜて木の芽をちらす。
品のいい茶碗に盛り付けて、なめこ汁と並べたら、なんだか料亭気分と自賛。
訪ねた蔵で求めた旨い酒を、こうして家呑みで開けると、呑み鉄旅は二度美味しいのだ。

<40年前に街で流れたJ-POP>
ひとり / 中島みゆき 1984


酒と肴と男と女 おでん処 大酉茶屋@金沢

2024-04-10 | 日記・エッセイ・コラム

ひと頃二人は何度か金沢を訪れた。
それぞれの拠点からちょうど良い距離だったこともあるけれど、
訳ありの二人を包み込んでしまうには、この街は手頃な大きさだと思うのだ。

スナップえんどう白和え
ホタルイカ酢味噌

9年前に新幹線が延伸してからこっち、この街は今までに増して多くの観光客を迎えるようになった。
共通の知り合いにばったりという事も無いとは限らない。
くぐる暖簾は、人気の割烹や居酒屋から、渋い小料理屋とか地味めな酒場へと変わった。

先一杯(まずいっぱい)
イイダコ煮

駅前の喧騒を逃れた路地裏の店で提供される酒は、冷も燗も “菊姫” の一択。
鶴来町は白山比咩神社への参道にある蔵へは、ローカル私鉄に揺られて訪ねたことがある。
“先一杯(まずいっぱい)” は旨口だけど軽やかな口あたりの純米酒だ。

金劔
あじたたき

袖振り合うような狭いカウンター、蛇の目のお猪口で差しつ差されつするのが嬉しい。
“金劔” は鶴来町にある金劔宮(きんけんぐう)からあやかった、米の甘味・旨味を感じる優しい女酒。

山廃純米
もも串、せせり串、ささみ串
くるまふ、梅貝、竹の子 etc

焼き物は塩で、レモンを絞る。でも柚子胡椒かワサビか分かれるのが二人の好みだ。
濃醇で飲み応えがある “山廃純米” は、酸味と濃さのある剛健な男酒。
加賀麩やら梅貝やら、金沢おでんらしく盛り合わせてもらう。香り立つ深みのある出汁が美味しい。

次々に暖簾をくぐってくる常連客に席を譲るように店を出る。
街はちょうどいい感じに黄昏れて、二人が肩を並べて歩くのを許してくれる。
えんじに浮かび上がった鼓門を見上げたら、一緒に居られる時間もあと僅かだ。

Hello, My Friend / 稲垣潤一&高橋洋子