旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

秘境・マタギのふるさとを往く 秋田内陸縦貫線を完乗!

2020-02-01 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 古来より山深く分け入って熊などの狩猟を生業にしていたマタギ。
東北地方から甲信越、北関東の山岳地帯で古くからの方法で集団で狩猟していたと云う。
特に「マタギの里」として有名な秋田県阿仁地方をたった1両のディーゼルカーで往く。

 昨年1月、冬型の気圧配置が強まる週末、みちのくの小京都・角館にやってきた。
秋田内陸縦貫鉄道を呑み潰して、雪の中を鷹巣まで抜けようと云う訳だ。 

国鉄から特定地方交通線を引き継いだときは南北分断されたままの暫定開業。
その後両線を結んで94キロ、意地悪な言い方をすると "作ってしまった" 赤字線だ。
ここ2代の社長は旅行会社からの出向、外国人観光客の利用を増やす戦略も採っている。

 

 ディーゼルカーがガクンと動きは始めたら "秀よし 純米生酒" のキャップを切る。
淡麗にして味にふくらみがある酒、肴は前日津軽鉄道のストーブで炙ったスルメだ。 

窓の結露を拭うと単線と絡むように桧内川が流れるのが見える。 

3つ目の八津駅で10分程の長い停車、待ち合わせの急行列車が雪で遅れていた様だ。 

松葉から比立内の間は1989年に北線と南線を繋いだ比較的新しい区間。
橋梁と隧道で繋いだ直線的な軌道を、思いがけない快速でディーゼルカーは駆けて行く。
圧巻は分水嶺を越える全長5,697mの十二段トンネル、カーブが無くひたすら直線。
勾配の頂点で数秒間入口と出口が同時に見える。この瞬間にする願い事は叶うと云う。 

 単行ディーゼルカーは1時間30分をかけて沿線の中心駅・阿仁合に辿りつく。
この普通列車を見送って、後続の急行列車までの50分、ここで腹ごしらえをする。 

 

 金、銀、銅が採掘された阿仁鉱山が1978年に閉山して以来ひっそりした町。
霙降る雪道を10分歩く。昔ながらの「高田食堂」は創業45年だと云う。
豚バラ、ブロッコリー、カボチャ、煮タマゴが入った "カレーラーメン" が美味しい。 

 身体を温めたら足早に阿仁合駅に戻る。とっ駅員さんがバタバタと様子がおかしい。

運転見合わせ。遅れてきた急行の乗務員氏もアテンダント嬢も、お手上げって表情だ。
代行バスを見送って角館へ折り返す。鷹巣へ抜けても奥羽本線も止まっているからね。 

 1年後、阿仁合駅に戻って来た。完乗を断念した昨年に比べて積雪量が少ない。
冷たい雨が降るホームから秋田内陸線の旅を再開、今度こそ鷹巣まで抜けよう。

旅の後半は30キロ、1時間を阿仁川に沿って鷹巣盆地へと下る。
米どころの田圃はほとんど土を見せている。夏の水不足を心配させる今冬の小雪だ。
鷹巣盆地を潤す米代川を渡ると、左手から奥羽本線が近づいて程なく鷹巣に到着する。

ディーゼルカーが車止めに行く手を塞がれる。
わずかな乗客を吐きだした頃、1番線には秋田行きの普通列車が入って来た。
県都秋田方面へは連絡の便を図っているようだ。

駅から南へ延びるシャッター街を左に折れると手打そばと比内地鶏の「いな穂」がある。
大館の「北鹿」が復刻米で醸す純米吟醸原酒 "仙台坊主" を味わいながら蕎麦を待つ。
鴨汁よりさらに濃厚なつけ汁 "比内地鶏そば" をズズっと啜る。ここまで来た価値がある。
一年越しになった秋田内陸線の旅、芳醇な地酒と旨い蕎麦に辿りついて終えるのだ。

秋田内陸縦貫鉄道 角館~鷹巣 94.2km 完乗

赤と黒 / 岩崎良美 1980
 



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (さくら亭和楽)
2019-02-10 18:29:07
こんにちは。

わ~残念!!
雪の中の秋田内陸線、いいですね~。
でもその雪に阻まれてしまって。

秋田内陸線、一度乗ってみたいと思ってました。
そして打当温泉でゆるりと~♪

続き楽しみにしてまーす。
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Re:Unknown (さくら亭和楽) (呑み人)
2019-02-11 12:19:44
さくら亭和楽さん
ご無沙汰ですね。メッセージありがとうございます。
危うく翌日欠勤となるところでした。
若葉のころにまた訪ねてみたいと思います。
最近は四国へはお出掛け無いみたいですね。
暖かくなってからでしょうか。
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