思考の踏み込み

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黄色13

2014-07-27 08:40:43 | 
それにしても黄色が生命力のあらわれであるというのは面白い。

鳥なども、"くちばしの黄色い" という言葉があるほどで、生命力に満ちた雛の時期はだいたいがくちばしが黄色である。




人間の皮膚もまた、黄色(おうしょく)である事は優勢であるとされる。
これは人種優劣論ではない。

紫外線など太陽光線に対しての純粋な皮膚の耐性の話である。

色素と生命力とは一体どういう関係性があるのか ー ?

こればかりは生命の神秘に留まって答えを知る術もないが、どちらかというと淡い色という位置づけになりがちなこの色の本質は太陽がそうである様にエネルギーの色そのものなのかもしれない ー 。




ところが真実とはそう単純にいかない。
太陽という "星" はだいたい6000度くらいの温度で燃焼する星なのだが、この範囲の温度の天体が発する色は本来緑色であるという。
(中心核は1500万℃にも及ぶ。)


しかし青い光も赤もまた適度に強く出ている為に混色されて黄色く見えるのだという。

このことはグリーンフラッシュという、日没後に稀に見られる現象によって証明される。



夜空に緑の星が見当たらない事も同じ理由である。

黄色12

2014-07-26 06:50:58 | 
トンボというと、夕焼け小焼けで何たらかんたらとか、平和なイメージが強いが、オニヤンマの戦闘能力によってその思い込みは覆される。

それだけではない。

トンボの飛翔能力はその総合力において、地球上におけるあらゆる飛行生物、いや飛行機を含む飛行物体まで入れても最も優れているといわれている。



飛行範囲こそそれほどでもないが、飛行技術 ー 完璧な精度のホバリングは空中戦において絶対的な優位性を持つ。そして急上昇、急降下、急停止…。

まったく隙がない上に飛行速度も時速70kmに達し昆虫界では最速の部類に入る。

まさに自由自在であり、空のスペシャリストといって良い。

現代の最新航空力学はようやく、このトンボの飛翔原理の解明に乗り出している。
(四枚の羽の網目状にその秘密があるらしい。)

人類は "火" を発見しその力を有効に利用してきたが、トンボが発見し、洗練させた "揚力" という力の利用において、人類はトンボには到底追いつけていない。

加えて強力なアゴと強い咀嚼力。
それは甲虫でさえ餌にしてしまうほどであり、昆虫界での生態系のトップといわれるオオスズメバチの立場も揺るがせかねない。

そもそも古代のトンボはもっとサイズも巨大であった。

Mega-neuraという絶滅種は体長が最大70cmにも及んだという。
これは人間の上半身ほどのサイズである。考えただけで恐ろしい。




こう考えてくると、むしろ蜂などはトンボの敵ではなかった。
彼らは長距離ランナーの様に遠くまで飛べるというその一点以外でトンボに勝るモノは無く、それ故に毒針を獲得したのかもしれない。

もしかしたら蜂の "黄色" は生命力の表れであるよりも、ゴッホがそうであった様に生命力への "憧れ" から纏われた色であった可能性もある。



…まただいぶ脱線してしまったが、ともかくも昆虫界という、明らかに我々とは別系統でこの世界に繁栄している生物群には興味が尽きない。

黄色から発展して昆虫の話になるとは思わなかったが、古代種なども含めていずれ別の機会にまとめてみたいと思っている。


黄色11

2014-07-25 00:15:34 | 
もし造物主がいたら ー そう想像してみるといろいろ面白い。

明らかに丹精込めてデザインされた生物とどう見ても手抜きじゃないか、と疑いたくなる様な生物もいるからだ。

その意味でいくとスズメバチはだいぶ凝っている方であろう。

だがこのエネルギッシュで迫力に溢れた存在にも天敵がいる。

造物主は時に手抜きもするが、やはり公平な存在なのであろう。




オニヤンマ。
(なんと鮮やかな "緑" であることか。)

天敵というほどには互いに争い合う機会は少ないが、それはどちらも相手の危険度を知っている証。

スズメバチの様な好戦的な戦士でもこの "緑の鬼" ばかりは時に捕食されてしまう事があるという。

この両者の戦いはスズメバチの毒針が刺さるかどうかにかかっていて、肉弾戦ならオニヤンマの方が強そうだ。

(スズメバチの最大の天敵はハチクマというスズメバチを主食とする恐るべき猛禽類で、ハチクマが現れると彼らは逃げ惑うしかないという。その羽は毒針さえ撥ねつけ、彼らにはなす術もない。だが種がまったく違うのでここでは外して考えることにする。)


ところで "緑" というのは赤橙黄緑青藍紫 (セキトウオウリョクセイランシ) の七つの可視光の波長の中央に位置し、心理面でも最も安定を与える色である。

おそらく地上で一番初めに広がっていった色はこの "緑" であったであろう。
あたかも他の色もこの緑から派生していったかのようにも思える。
(陰陽五行説では中央は "黄" とされている。)

緑は中央には居るが、黄よりも青に寄りぎみではないだろうか?
少なくとも日本語世界では碧、蒼、翠など青と緑の境目は余り無い。
(これは湿度と色彩の影響であると思うがー。

強烈なスズメバチの "黄" と対立する存在に、色相環で境目を成す鮮明な "緑" を配色するとは造物主という芸術家も心憎い。



だがよく見ればこのオニヤンマも黄と黒の警告色であるが、それよりも複眼という一万個もの眼群の緑が際立っていて黄のイメージはない。



黄色10

2014-07-24 07:35:20 | 
だが画題としてスズメバチを選ぶのはどうやら難しいかもしれない。

よっぽどそこに現れた "生命力" を抽出し、メタモルフォーゼして表現しなければあまりに人間にとって恐るべく、忌まわしいこの生物は芸術の対象とするのは困難であろう。

だがスズメバチの魅力は色彩ばかりではない。



このフォルム。デザイン。
まさに "戦士" と呼ぶに相応しい。

もし創造主というモノがいたならば、かなり楽しんで造ったのではないか。

メタリックでメカニカルなその姿はトランスフォームしそうな程にみえる。

バッタをモデルにしたヒーローがいるくらいだからスズメバチをモデルに何かのキャラクターを考案しても面白いと思う。

そして以前にも少しだけ触れたが、スズメバチの名を冠したバイク "Hornet" 。



250ccでこれほど攻撃的でポテンシャルの高いバイクは無い。

現在乗っているのはCBR250だが、ホーネットと比べると余りにも優しい単車である。
燃費の良さは見事だが、単発の物足りなさばかりはいかんともしがたい。

CBR250。

私がスズメバチに魅力を感じる根元はこのバイクの影響が大きいかもしれない。



黄色9

2014-07-23 00:59:55 | 
さてー 、ずいぶん寄り道したが元に戻ろうと思う。

もし黄色を描くとしたら画題に何を選ぶだろうか、という思考の遊びである。

ふと思った。


ー スズメバチの黄色である。



虫が苦手な方にはまったく賛同を得られないだろうが、気にせず進める。

普通、生物はほとんどが周囲と擬態できるような保護色でもって身を覆う。
保護色でなくとも、目立つ様な色彩を身に付けるモノは少ない。

ところがスズメバチはどうであろう。

黄色と黒。

(黄色の補色である青によってその美しさを強調したゴッホとはずいぶん異なる。黒によって黄色は圧倒的に力強い姿を剥き出しにする。)


その強烈な配色は自らの存在を誇示し、その危険度を知らしめるかの様である。

こうしたモノを警告色と呼ぶ。

それは人間工学にも取り入れられ、踏切の遮断機や工事現場などで応用されている。

警告色を持つ生物は共通して食物連鎖における強者であるか、もしくは有毒種である。
(虎は擬態色であるらしいが、その黄色は明らかな生命力の表れといえる。)




黄色は進出色であり、黒は後退色。
この両者のコントラストはその相反する要素のせめぎ合いであり、自然界が生み出した最も強烈な配色といえよう。

(信号機に黄色が用いられるのもこの進出色、夜でも見えやすい、注意を喚起させる、といった要素による。)

黄色単体であれば、不安を軽減させたり希望や明るさと繋がるのに、赤や黒と関連させると、危険の連想になるというのはなんとも不思議で面白い。