思考の踏み込み

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祝 一周年2

2014-10-25 08:01:21 | グルメ
カスクドールのマスターはそういうスタイルの方なので、一周年といっても花を飾ったり、前持ってアピールしたり、そういうこれ見よがしな事はしないー 。

ー だろう、と思って入店するとやはりいつもと何も変わらない。
お客にも何も言わない。

人によってはもっと営業しろと、カッコつけずに泥にまみれて宣伝しろと、そういう意見もあるかもしれない。

この日一杯目アメリカーノ。


"商売" という観点から見ればそれは正論であろう。
首相が海外に行って声高に「日本は儲かる国です!」と、節操もなく叫んでいる時代である。
どの国も、公的存在であるはずの国家が、私的な金儲け集団となっている様な現代である。

そういう時代、ここのマスターの様な "美意識" はナンセンスと言う人も多いだろう。
だが、少なくとも私個人としては、こういう時代だからこそ、その美意識はより際立つと思う。

"君子は為さざる有り" という。

本当に立派な人は、しない事がある。という意味だ。

誰にも語らず、一人淡々と一周年を迎え、かつまた自然体でその日をいつも通りに経過させたマスターの態度は、私にはどんなにきらびやかな花束で飾るよりも輝いて観えた。

ソルクバーノ。


とはいっても、やはりお身体は大切にして頂きたい。

ご本人は五年くらい休み無しでやってみたいけどな~、とおっしゃっていたが、どうか無理はなさらず、適当に休みも取って欲しい。

このお店が長く続き、そして世の人々にもっとお酒の素晴らしさをたくさん伝え続けて貰う為には何よりもマスターにいつまでも元気でいて頂きたい。

私はそう願っている。


祝 一周年

2014-10-25 08:00:19 | グルメ
過ぐる九月十四日 (だいぶ過ぎてしまったが…。)、この日はカスクドールの開店一周年。
粗品を持って顔を出してきた。



何が凄いかといって、この一年間、マスターが盆も正月も、雪の日も台風の日も、一日も休まずに営業されたということだろう。

古き良きオーセンティックバーでは、お客さんがいつ来ても開いている、というスタイルを作るために、年中無休のお店はよくあったとはいえ、それも今は昔。

ましてお一人の営業で、しかもけして20代30代の若い年代でないカスクドールのマスターが、一年間その事を実行したという事はまったく頭が下がる話である。

だが本当に凄いのはそんなことではなくて、マスターの伊藤さんがそんな気配を微塵も感じさせない所にある。

何かのスタイルを貫こうとすると、普通、人は思想的になったり悲壮感を表したり、必死になったりしてムリをするものだが、マスターにはまったくそういうそぶりは無い。
ごくごく自然体で、少なくともカウンターの中ではいつも普段通りである。

この日もちょうど、カウンターの隣の席のお客が、そういう話をしていた。
このお店はお休みいつですか?
と問う女性客にマスターは「年中無休です。」
え、お一人で営業されてるんですよね?
そう言って驚く女性にマスターは、自分の店なので当たり前ことですよ。と、サラッと答えていた。



愚痴も弱音も、それに類する感情すらその態度からは匂ってこない。
まして自慢や誇ってみせるような気配があろうはずもない。

これは中々できることではあるまい。

もちろん休みなしで働くということが、簡単なことであるはずがない。
見えないところで、それを乗り越える為の人知れぬ日々の作業は相当に為されているだろう。

だがひとたびカウンターに立てば、そうした部分は毛ほども人に見せない。

"プロフェッショナル" とはこういう人の事をいうのではないだろうか。

普通の店の一周年とはそういう意味でちょっと違う。私がカスクドールが大好きな理由も、お酒のポテンシャルとかクオリティだとか、そんなことよりも以前に、このマスターの人間性が何より一番大きい。