その "直感" の視線に気付き、"心" が言う。
「 ー 彼らか!」
肚は応じた。
「おそらく。」
「彼らは時に、強烈に自己を主張しようとする。
その時 ー 我々には試練が訪れ危機に瀕した様に感ずるが、実はそれは彼らにとっては自己を磨き、その質を澄み渡らせ、本来の清らかな状態に回帰しようとする本能の力が働いている状態でもある…。
それは彼らにとっては生理反応の様なものだろうと思う。
我らはそこから逃げるべきではない…。」
「逃げれば?」
「魂は磨滅してゆく…。」
「磨滅すると?」
「生命としての "力" も減退してゆく。
ただ "形" を維持するだけの、食べて、排泄するだけの、皮膚的で ー 表面的な虚しい "快" しか知らないただの鈍い "塊" へと堕落してゆく。」
「堕落すれば!?」
「そこに人間としての生きる喜びは消えてゆく!
そうなれば、形も脆くなりやすい。
つまり、生命としての "力" が失われてゆく…。」
「…!」
「おかしな話だと思わないかね?
"形" の要求に沿い、その本能に従っているだけなのに ー "生" は衰弱し、結果、形は脆くなってゆくという矛盾だ。
古人はその本能を殊更に "煩悩" と名付けて、戒めの対象としたが、それらはどれもこれも "形" にとっては必要だから我々に備わっているものであるはずだ。
従ってそれを無理やりに抑え込む事は、普通は困難である。」
貴方ならよくご存知であろうー 。
肚は心にそう言った。
心は頷く。
「まったく…。強引に "意思" の力で煩悩を押さえ込めば、確かにその "堕落感" は回避できる。しかしそれはやはり無理があり、続きはしない。それをおして続けてもやがては "形" の方に歪みが生ずる事が多い。」
形も言った。
「心が抑圧されれば、私も当然歪む。
私が歪めば、心は衰弱してゆく。我らの本能は、その ー "彼ら" の本能とは相入れないものなのだろうか?
我々はその事とどう向き合うべきなのか…?」
「そう、それこそが "直感" の語った "乖離性" の問題だ。
そしてその問題の解決には "順逆" という原理に則る他ない…。」
…ざっとこういう説明でどうだろうか、直感よ。
肚はそう言って少し間を入れる。
「いや驚いた。貴公がかほどに弁の立つモノだとは知らなかったぞ。さすがは我が盟友。
私はもはや何も言う事はない。
全て貴公の言った通りだ。
…だが、事のついでにもう少し説明してくれ。まだ続きがあるだろう?
私は上手く言葉にする事が苦手でね。
それに ー まだ皆が君の話を聞きたいようであるし…。」
直感は肚にそう促すー 。
「 ー 彼らか!」
肚は応じた。
「おそらく。」
「彼らは時に、強烈に自己を主張しようとする。
その時 ー 我々には試練が訪れ危機に瀕した様に感ずるが、実はそれは彼らにとっては自己を磨き、その質を澄み渡らせ、本来の清らかな状態に回帰しようとする本能の力が働いている状態でもある…。
それは彼らにとっては生理反応の様なものだろうと思う。
我らはそこから逃げるべきではない…。」
「逃げれば?」
「魂は磨滅してゆく…。」
「磨滅すると?」
「生命としての "力" も減退してゆく。
ただ "形" を維持するだけの、食べて、排泄するだけの、皮膚的で ー 表面的な虚しい "快" しか知らないただの鈍い "塊" へと堕落してゆく。」
「堕落すれば!?」
「そこに人間としての生きる喜びは消えてゆく!
そうなれば、形も脆くなりやすい。
つまり、生命としての "力" が失われてゆく…。」
「…!」
「おかしな話だと思わないかね?
"形" の要求に沿い、その本能に従っているだけなのに ー "生" は衰弱し、結果、形は脆くなってゆくという矛盾だ。
古人はその本能を殊更に "煩悩" と名付けて、戒めの対象としたが、それらはどれもこれも "形" にとっては必要だから我々に備わっているものであるはずだ。
従ってそれを無理やりに抑え込む事は、普通は困難である。」
貴方ならよくご存知であろうー 。
肚は心にそう言った。
心は頷く。
「まったく…。強引に "意思" の力で煩悩を押さえ込めば、確かにその "堕落感" は回避できる。しかしそれはやはり無理があり、続きはしない。それをおして続けてもやがては "形" の方に歪みが生ずる事が多い。」
形も言った。
「心が抑圧されれば、私も当然歪む。
私が歪めば、心は衰弱してゆく。我らの本能は、その ー "彼ら" の本能とは相入れないものなのだろうか?
我々はその事とどう向き合うべきなのか…?」
「そう、それこそが "直感" の語った "乖離性" の問題だ。
そしてその問題の解決には "順逆" という原理に則る他ない…。」
…ざっとこういう説明でどうだろうか、直感よ。
肚はそう言って少し間を入れる。
「いや驚いた。貴公がかほどに弁の立つモノだとは知らなかったぞ。さすがは我が盟友。
私はもはや何も言う事はない。
全て貴公の言った通りだ。
…だが、事のついでにもう少し説明してくれ。まだ続きがあるだろう?
私は上手く言葉にする事が苦手でね。
それに ー まだ皆が君の話を聞きたいようであるし…。」
直感は肚にそう促すー 。