"形" がまず言った。
「性の問題について少し私から…。
この衝動が働き出しているとき、当方においてはほとんど抗う術がない。
せいぜい "衝動" を "行動" に結びつけないことができる程度で、その衝動を出すも抑えるも、ほとんど自由がきかない。それを可能にするには余程に鍛錬を積まねば難しいだろう。
今現在の私にはそれはまだ無理だな。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/3f/b655bf3c4a1bbff0cda16c6fae1ea802.jpg)
肚 ー 。
「その衝動が働いているとき、我々の中では "主体" は "形" になっている。
いや "形" しか存在しない状態と言っても大袈裟ではない。
魂魄はその中で埋れて消える…。」
肚、続ける。
「ただ、先ほど私は魂が磨滅するといったが、表現を正確にすれば魂は消えて無くなりはしない。ただ埋れてしまう事があるというだけだ。
魂消 (たまげ) るー という言葉があるが、驚いたときや美しいものに心奪われたとき、つまり "形" の強い反応に魂が埋れてしまったときの表現であって、実際には消えはしない。」
心。
「なるほど。では、その "衝動" が ー 衝動の言いなりになって衝動のまま行動し、目的が達成され、衝動が消えたとき、私達に訪れる言い知れぬあの "感情" は…。」
「そう。我此処に有り。忘るる勿れ!という彼らの主張だ。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/e4/2805d18e33a9ad8ec1edd00d1dc969da.jpg)
そう言って肚は心にもう一つ付け加えるならば、といい語る。
「だから厳密にはそれは "感情" とは呼べまいと思うのです。」
ー そういえば、心よ。と形が口を挟んだ。
「貴公のあの、賑やかで美しい娘達は今日は呼ばなかったのか?」
「とんでもない!あの子達を呼んだら騒がしくて仕方がない。普段から貴方にはご迷惑をかけているのに。」
「それは残念だな。彼女達がいればさぞ場が華やいだことだろうに。
だがまあ、会の趣旨も変わってしまうか…。」
淵明がそれを聞いていった。
「感情姉妹たちの話か。あの娘らももう少し "慎み" という作法を覚えれば、
より美しくなるのだが。まだまだ化粧が濃すぎるのよ。
まあそれもあの者達の魅力といえなくもない。それよりほれ、肚の話の途中であろう。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/2b/e120ebd121891f6e9547afa69b57a1df.jpg)
これは失礼 ー そう "形" が言ったが、肚は頓着しない。
「いえ、私も感情について触れるつもりだったのでちょうど良かった。
要するに性の問題の後に我らを襲うモノの根元にあるのは "感情" と呼ぶものとは少し異質だということです。」
「…。」
「性の問題について少し私から…。
この衝動が働き出しているとき、当方においてはほとんど抗う術がない。
せいぜい "衝動" を "行動" に結びつけないことができる程度で、その衝動を出すも抑えるも、ほとんど自由がきかない。それを可能にするには余程に鍛錬を積まねば難しいだろう。
今現在の私にはそれはまだ無理だな。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/3f/b655bf3c4a1bbff0cda16c6fae1ea802.jpg)
肚 ー 。
「その衝動が働いているとき、我々の中では "主体" は "形" になっている。
いや "形" しか存在しない状態と言っても大袈裟ではない。
魂魄はその中で埋れて消える…。」
肚、続ける。
「ただ、先ほど私は魂が磨滅するといったが、表現を正確にすれば魂は消えて無くなりはしない。ただ埋れてしまう事があるというだけだ。
魂消 (たまげ) るー という言葉があるが、驚いたときや美しいものに心奪われたとき、つまり "形" の強い反応に魂が埋れてしまったときの表現であって、実際には消えはしない。」
心。
「なるほど。では、その "衝動" が ー 衝動の言いなりになって衝動のまま行動し、目的が達成され、衝動が消えたとき、私達に訪れる言い知れぬあの "感情" は…。」
「そう。我此処に有り。忘るる勿れ!という彼らの主張だ。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/e4/2805d18e33a9ad8ec1edd00d1dc969da.jpg)
そう言って肚は心にもう一つ付け加えるならば、といい語る。
「だから厳密にはそれは "感情" とは呼べまいと思うのです。」
ー そういえば、心よ。と形が口を挟んだ。
「貴公のあの、賑やかで美しい娘達は今日は呼ばなかったのか?」
「とんでもない!あの子達を呼んだら騒がしくて仕方がない。普段から貴方にはご迷惑をかけているのに。」
「それは残念だな。彼女達がいればさぞ場が華やいだことだろうに。
だがまあ、会の趣旨も変わってしまうか…。」
淵明がそれを聞いていった。
「感情姉妹たちの話か。あの娘らももう少し "慎み" という作法を覚えれば、
より美しくなるのだが。まだまだ化粧が濃すぎるのよ。
まあそれもあの者達の魅力といえなくもない。それよりほれ、肚の話の途中であろう。」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/2b/e120ebd121891f6e9547afa69b57a1df.jpg)
これは失礼 ー そう "形" が言ったが、肚は頓着しない。
「いえ、私も感情について触れるつもりだったのでちょうど良かった。
要するに性の問題の後に我らを襲うモノの根元にあるのは "感情" と呼ぶものとは少し異質だということです。」
「…。」