思考の踏み込み

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形影神24

2014-10-03 05:24:30 | 
知性が考えている ー 。

そこへ、やおら "形" が立ち上がりどこかへ行こうとする。




「形殿、何処へ?」

"意識" が問いかける。

「いやさ、何、いささか夜気に冷えた。」

苦笑しつつ、形は答える。

「少し、用を足しに…。
何しろ、我らにとってこの "生理反応" ばかりは抗う術のないモノ。
これが働き出せば、ここに集う多くのモノはその能力の大半が眠りにつく。
一同、暫しお待ちあれ…。」

皆、暗闇の中へ消えてゆく形を見送り、彼を待つことにした。

ふと ー 空を見上げたモノがいたが、不思議と月は中天から、さして動いていない。



「いったい今何刻だろうか?
ずいぶんと時間が過ぎた様にも思えるが、あまり月は動いていない気がする…。」

実際、不思議な程に時間は経っていないようだ。それでいて形を待っているこの一時は妙に長い…。

「おや?影殿の姿も見えぬぞ。」

心が気付く。

「奴は、小便にまで付いて回るのか。律儀な奴よのう…。」

淵明がおどけて言った。
一同、はじめはこらえてはいたがやがて "ドッ" と笑いが起きた。



その笑いの輪の中へ両者が戻ってくる。

「?」

「一体何の話か?」

どの顔も、長い対話でやや疲れていた気配はその笑いと共に消えていた。
あるいは形の生理的処理が効を挙げたのか。
知性もまた先程とは打って変わって瞳に輝きを取り戻している…。

闇夜の奇妙な対話は再開された ー 。