白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

―黒ニンニク その正体を知る!-

2017年11月16日 | ニンニク

先日、冷蔵庫の野菜室にあったにんにくが芽を出していたので、外房菜園での晩成種玉葱苗の植え付けマルチシートの境目に、4年ぶりでニンニクの鱗片5ケを植え付けてきました。

拙宅のニンニクの年間の消費量はほんのわずかであり、敢えて自家栽培する積りは無かったのですが、一時はニンニク栽培に大変凝った事があり、自家製の黒ニンニクを作っても見ました。

その動機と言えば生来の凝り性であり、日本ニンニクのニューホワイト6片種は花茎の発生しないソフトネックタイプガーリックではないかと、その選別栽培に挑戦したのですが、固より無農薬栽培であった為に、購入した種球根から広がった重篤な病害に見舞われて、栽培していたニンニク全種類が全滅してしまい、嫌気がさして以後ニンニク栽培をすっかりやめてしまったのです。

今般のニンニク5片の植え付けには、特に理由は無かったのですが、偶々区立図書館から借りた食品科学のシリーズ本の中に 「生体内のマイヤール反応」と題する項目があり、最近はブームも去って話題になることも少なくなった「黒ニンニク」の事をふと思い出し、何気なく植えて見たのです。

其の黒ニンニクの話ですが、今から丁度4年前のブログ 「黒ニンニクはスーパー食材?」で取り上げて、マイヤール反応 (メイラード反応とも呼ぶ)による非酵素的反応により生成される黒変物質、メラノイジンであると申しました。

其の時点では、紹介されていたニンニクの持つ含有成分とされるS-アリルシステインの効能ばかりに気がとられ、黒ニンニクの正体がニンニクに含まれる糖質と蛋白質のアミノ基による糖化蛋白質反応の生成物であることの持つ重要な点には、全く触れられていない事に気付きませんでした。

それで今般申さねばならないのは、其の黒ニンニクの正体のヒントとなるネット上にあった情報の事であり、2015年に発表されたその論文の一部を先ずは、下記に転写させて頂きますのでお読みになってください。

 ー生体とメイラード反応ー

「アミノ酸と還元糖の縮合反応であるメイラード反応は、1912年にフランス人Louis Camille Maillardによって報告された。本反応はアマドリ転位物が生成するまでの前期反応と、酸化、脱水 縮合反応によって進行する後期反応に分けられ、後期反応においてはさまざまな特徴を有するAGEs(Advanced Glycation End-products)が生成する(図1)

 

―図1 老化や病態におけるAGEsの蓄積と糖化によるタンパク質の物理的変化―

 本反応は加熱によって促進し、加熱調理や食品の長期保存に伴って進行する。食品分野ではAGEsは主にメラノイジンと呼ばれており、ローストチキンなどの加熱調理した食品やビール、味噌、醤油のような褐変食品の色調変化の原因とされているが、香気成分やタンパク質が修飾されることによって消化性が低下しその結果、栄養価にも関与する反応として研究が行われてきた。また、生体にも多くの糖とタンパク質が存在するため、食品の加熱調理ほど迅速ではないが本反応は徐々に進行している(図2)メイラード反応はタンパク質に糖が縮合することから「糖化」とも呼ばれているが、タンパク質の立体構造を変化させる修飾、変性に関与していることから、さまざまな病態や老化に関連していると考えられている。

  

―図2 糖化に伴う食品および生体における褐変化―

以上ですが、此処で問題にしなくてはならないのは生体において生成するAGEsに関しての加齢に伴う蓄積のほか、さまざまな病態との関連性が報告されている事実であります。

特に糖尿病とその合併症である腎症、神経障害などのAGEs構造が高い値でに検出されることが知られている事であります。また、皮膚や骨などのコラーゲンに生成したAGEsが、日光性弾性線維症や骨強度の低下に関与しているとの報告がある事です。

さらに、アルツハイマー型認知症、サルコペニア、歯周病など多くの病態との関連性が示されているとあり、AGEsが生体おいて悪影響を与えると考えられている理由としては、(1)タンパク質中のアミノ酸がAGEs化してしまうことによって、タンパク質の荷電変化や架橋形成により、骨格タンパク質の構造変化が起こり、あるいは酵素の活性が低下してしまうこと。(2)生成したAGEsを認識する受容体(RAGE: receptor for AGEs)を介して炎症反応などを惹起することが挙げられ、これらの変化は生体組織の変性やタンパク質の発現にも影響を与えると考えられ、さまざまな生体環境の変化と密接に関連していると推察されると言う事です。

 

―生体糖化反応で起こる疾患のイラストーWeb Images より

それぞれのAGEs構造は、微量であっても複数のAGEsが関与することによって多くの生体タンパク質を修飾している可能性が高いと言います。また、以前は生体に存在するAGEs構造体の種類についてはあまり議論がなされてこなかったが、生体にはさまざまなAGEs生成経路が存在することや、組織や病態によって、蓄積するAGEs構造体が異なることが明らかになるにつれ、まずは「どのような組織にいかなるAGEs構造体が蓄積するか?」を明確にすることが、すべてのAGEs研究において重要となってきていると記述されています。

そのため、構造の明らかなAGEsを正確かつ網羅的に測定できることが必要であり、得られた情報と詳細な臨床的情報との比較によって、老化や病態と糖化の関係性について新たな知見が得られると期待されると言うのです。

そして、取り上げられているのが本題の黒ニンニクのようなAGEs構造体の生体への影響であります。食品などに含まれ、体内へ摂取されたAGEsに関する研究も積極的に行われているとあります。

以前より食品中のメイラード反応生成物の研究はコーヒーやビール、味噌や醤油などの褐色色素の形成、香気や味覚成分として研究が行われてきたのですが、近年、AGEs高含量の食品を摂取し続けることで、糖尿病などの疾病の発症率が増加するという報告が多くなされるようになっていると言うのです。

味噌や醤油などのAGEsを多く含む食品を多く摂取する日本の伝統的な食生活の安全性にも、疑問が投げかけられていると言うのですから穏やかな話ではありません。

食品中に存在する最も一般的なAGEsとして、CMLやピラリン、ペントシジンなどが報告されているが、食事によるこれらAGEs構造の摂取が、生体へマイナスの影響を及ぼすと考えられていると言うのです。

 

糖尿病は生体の糖化反応 AGEsから始まる疾患です!―webImagesより 

その理由として、摂取されたAGEsの一部が生体内に取り込まれAGEs受容体であるRAGEに認識されることにより、酸化ストレスや炎症反応を惹起するという経路が示唆されていると言うのです。

 しかし、一方でメイラード反応生成物が、構造の変化により消化ができなくなったことによって、食物繊維と同様の働きをし、ビフィズス菌などの腸内善玉菌の炭素源となることが報告されていると言い、食品中のAGEsに関しては研究者や報告によって見解が異なっており、統一した見解は得られていないとも言います。

その理由としてはAGEsが単一の構造でないことや食品中AGEsの正確な定量が困難であることなどが挙げられて、今後も様々な視点からの検討が必要であると結論しています。

 扨て課題は、今尚巷で叫ばれている黒ニンニクの効用、其れとは裏腹となるメイラード反応生成物の持つ生体への看過できない健康に及ぼす潜在危険が示唆されている事実、其れを如何に受け止めなくてはならないかであります。

昔からの「ニンニク信仰」とも言える、その持つ強壮作用の延長線に黒ニンニクの効用を重ねて、単に盲信させられるような事があってはならないとの思いがあって、参考になればとブログで取り上げて見ました。

 

―黒ニンニクのメイラード反応の褐変化の比較―

但し、生命体には、生存上の危機となる宿命的な事態の発生に対しても、それを克服する機能を亦必ず備えるように進化してきたのであり、アンチエイジングを目指した効果的なAGEs生成抑制法の道も、きっとあるかと思います。

近年では、生薬や茶葉などの植物を由来とする天然物においても、AGEs生成抑制物質の探索が積極的に行われているなど、AGEsの生成経路と病態との関連性の解明等と共に、今後、さらなる研究が期待されていると、その論文の中で申されています。

黒ニンニクのもたらすAGEsとそのサプルメント効果、その判断は今や自己責任と言えます。もし心配に思うなら 「君子危うきに近寄らず」ですね!

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