白寿を目指す抗衰老ライフへの誘い

慣れ親しんだ新容器野菜養液栽培に別れを告げ、新たに取組んだ老人の終末課題の経過発信を続けさせて頂きます。

オルガニック、低投入持続型農業との違い?

2011年11月19日 | 農法

先のブログで、有機栽培の背景には、Organic Philosophy”有機哲学があると申しあげましたが、そのOrganic ”(オルガニック)、有機化学で言う炭素原子を構造の基本骨格に持つ化合物等の意味では無く、天然由来の有機物等が土壌の中の細菌やカビ等の微生物、土壌昆虫などの作用によって分解されて無機化し、栽培する作物に必要な全ての栄養分となる、人工物に依らない自然の生成物による栽培法と言う事です。

 

―ルドルフ・シュタイナー自由、平等、友愛

 の哲学を提唱―Wikipediaより

この有機農法の考え方は、歴史的には、英国土壌協会やルドルフ シュナイダーの著作に依るところが大きいとされていますが、今から100年ほど前の1910年代に始まった、農耕トラクター導入、殺虫剤、無機肥料、新種子の登場等、とどまるところを知らない一連の急速な農業の近代化を恐れた旧守派が其の始まりです。

 

1920年代にヨーロッパの幾つかの国の個人農家が、低入力の集約農法が膨大な増産につながる高収穫の高度農法に変わっていく、いわゆる彼らが言う“農業の産業革命”に反対し、農業生産性の急速な向上は、農産物の低栄養化につながり、そのような高収穫方式は持続できなくなると言い出したのです。

  ―ヨーロッパ大規模機械化農法―

「このような農法が、“母なる自然”と調和できるのか?」と1924年に行われたドイツの神秘主義哲学者のRudolf Steinerの一連の講演がおそらく、総合的な有機農業システムの発展の原点であり、彼の言う“バイオダイナミック農業”は、神秘主義的思想に基く土壌の観点にあり、土は生命を持つ生き物の体系と捕らえ、農地全体を宇宙と調和している生きた有機体と見なした、Organic Philosophy”有機哲学であります。

 

―アメリカ農地トラスト運動ポスター

人間の叡智は、自然の力で有機物から無機化される作物の栄養分を、人工的に用意する事に成功し、その「化学的に合成した肥料」と機械化などに依る農業生産技術の進歩のお陰で、著しい生産性の向上を達成し、この地球上では、とても養い切れないとされた人口増にも対応できる程の食料の増産供給を可能にして来ました。

そこには、化学肥料や農業生産技術の進歩のみならず、栄養豊かになった栽培作物が病害虫の恰好な標的とされて発生する病害虫の防除に発達した多様な農薬の投入も貢献しています。

 

―有機栽培キャンペーンポスター

しかし、過剰なまでに増大した農業生産の中で、多大な恩恵をもたらした化学肥料と農薬の多投に多くの問題や弊害が明らかになり、特に自然環境や生態系への影響の深刻さが深く認識され、其処で生まれたのが環境生態系の負荷を最少にする持続可能な実践農業のコンセプトであり、提唱されたのが、1985年、アメリカ連邦議会で農業法の条項として可決採用された「低投入持続型農業(Low Input Sustainable Agriculture)、LISA”」です。

 

―アメリカの有機認証マークー

元は、肥料をゼロとする完全有機農法を目指し、化学肥料,除草剤、殺菌剤、ホルモン剤を3年さかのぼって使用していない圃場において生産された農作物を優遇して、有機農業を徹底させようとの試みがあったそうです。

そして、新制有機農法として生まれたのが、欧米先進農業国の有機農業システムのOrganic ”(オルガニック)農産物の認証制度であります。

 

EU有機認証マークー

一方、日本農業は、基本法のもと、高度成長時代の農政は、有利な作物の選択的な拡大と所得増加を標榜しての農業近代化、合理化を薦めて来たのですが、其の目標とする規模の拡大に繋がるような農地の集約化が中々進まず、他方では、優遇策もあってか主力の稲作は、過剰生産に至っての減反政策に追い込まれる等、多くの解決すべき課題を抱えていました。

しかし、時代の潮流に遅れまいと、1993年には「環境保護に貢献する農業」と考え方の元、それまで無かった環境保全型農業、自然を守る山間地農業の保全策が新農政の中で打出されました。

そうした中で、1999年に制定されたのが、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」であり、「環境と調和のとれた農業生産を確保する為に、持続性の高い農業生産方式を導入する措置を講ずる事で、農業の健全な発展を図る」としています。

 

―植物の光合成基本イラストー

その「持続性の高い農業生産方式」とは、土壌の性質に由来する農地の生産力の維持増進、その他良好な営農環境の確保に資すると認められる合理的な農業の生産方式で、農林水産省令で定める、「堆肥その他の有機質資材の施用に関する技術」、「化学的に合成された肥料の施用を減少させる効果が高い肥料の施用に関する技術」、「化学的に合成された農薬の使用を減少させる効果が高い有害動植物の防除に関する技術」の3つのすべてを用いて行われるものと定義されています。

 

又、2000年1月には、欧米に倣って、日本農林規格(JAS規格)に国連の国際食品規格委員会、コーデックスに準拠した「有機JAS」の規格ができました。有機農法による農産物を明確に定義、差別化する事であり、市場秩序を守る為に法制化したのが有機農産物の認証制度であります。

 

―日本の有機認証マークー

更に、2006年には、「有機農業の促進に関する法律」が制定されました。商業生産には馴染み難く、多くの課題がある有機農法による農業生産方式を、「有機農法関係者の自主性を尊重して推し進めるとする」等と含みを持たせていますが、有機農業の推進施策の策定責務を、国及び地方行政団体等行政側に課したのです。

 

しかし、議員立法で提出された「有機農業促進法」、2006年12月5日に参議院農林水産委員会で趣旨説明が行われ、直ちに参議院本会議に提出することが承認され、この間たった8分間しか要さなかったとの事です。2006年12月6日に参議院で承認され、2006年12月8日に衆議院で承認されて成立したのですが、議員の先生方は有機農業をどのようにご理解されていたのでしょうか。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ

 にほんブログ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿