IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

悪友はボストンに集まる

2005-08-10 13:31:04 | テロリズム
ドイツのドルトムント大学で博士号の取得に頑張っている友人から連絡があった。「私の生徒がワシントンで5週間ほどリサーチを行うんだけど、住むところを探すの手伝ってよ」、メールにはそう書いてあった。大学院時代のクラスメートだった彼女がメールで「私の生徒」と話すのにビックリ。そりゃぁ、実際に教えてるんだから当たり前のことなんだけど、出世しよってからにぃ。僕もオーストラリア時代に、所属していたサッカーチームのみんなで定期的に地元の小学生を対象にしたサッカークリニックを実施してたけど、誰か「僕の生徒」と呼んだのはあの時が最初で最後だ。ドイツにいる彼女とはすぐに連絡を取り、ホテルとかユースホステルじゃなく、サブレットを探した方がベターだという結論になって、今も彼女の生徒を入れた3人で家探しをしている。まぁ最悪の場合、その生徒さんが我が家に泊まるというオプションもあるので、あんまり心配はしていない。デイヴィッド・ベッカムのスペイン語と同じくらい酷くなった自分のドイツ語の事を考えれば、話し相手がほしいのも事実だし。

その友人が9月のはじめにボーイフレンドと一緒にアメリカに遊びに来る予定で、僕らはみんなボストンに集まり、当時のジャーナリズム学科の悪友どもと数年ぶりの同窓会を行おうと計画中。カナダで就職した女の子もいれば、マサチューセッツ工科大学で働いている奴もいるし、念願かなってESPNに就職したスポーツ担当(当時)のトニーみたいな奴もいれば、独立してドキュメンタリーばっかり作ってるのもいる。当時のニュースルームでリーダー的な存在だったアイスランド出身のクラスメート、2児の母親ながらビョークを連想させるヒップな編集者だったけど、今ではレイキャビクの国立博物館でお偉いさんになってしまった(アイスランドに行くと言ってから5年、本当に遊びにいきたいんだけど)。担当教授も「前例が無い」と呆れるほど仲がよかった当時のニュースルームの面々。ボストンでもベルリンでも、ケープタウンでも、同窓会をやるんだったら、いつでも行くぜい。いつかまた、あのメンバーで大きいプロジェクトをやれるといいんだけどね。

ワシントンでの家探しの話に戻るけど、サブレットっていうアイデアはなかなかグッドなのではないでしょうか?探せば1ヶ月単位での契約を結んでくれるアパートがあるとは思うけど、そういうのって基本的に高いから。サブレットの場合、1ヶ月や数週間単位での契約がOKのようで、種類も色々とあるようだ。例えば、ここアーリントンで見つけた例だと、3ベッドルームの一室(他の部屋には別のルームメイトがいる)を1ヶ月借りて700ドルほど。ルームメイトがいない分の家賃の埋め合わせを、こういった形で考えている人が少なくないんだけど、意外と短期滞在者の間で需要はあるらしい。駅からすぐの立地条件で、しかもケーブルテレビやインターネット環境が整っていて、部屋の広さや建物の清潔感を考えるとホテルより全然いいかもね。

超党派によって組織された独立機関911委員会は、2001年9月に発生した同時多発テロの容疑者らの一部の情報がテロ事件前から軍諜報部によって掴まれていたという疑惑に注目し、近くこの件を本格的に調査する構えだ。複数のメディアの報道によれば、軍情報部はモハメッド・アッタを含む4人のテロ実行犯がアルカイダのメンバーであるという情報を911事件の1年以上前に入手していたが、この情報をFBIなどの別の捜査機関に送らなかった疑いがもたれている。下院軍事委員会で副委員長をつとめる共和党のカート・ウェルドン議員は9日、アッタ容疑者ら4人が1999年には軍内部の「エーブル・デンジャー」と呼ばれる秘密諜報機関によって行動をマークされていたと語った。これが事実ならば、米諜報機関はアッタ容疑者らの背後関係をかなり以前から把握していた事になる。

ウェルドン議員は火曜日の発言内容が複数の情報をベースにしていると語っており、911委員会のリー・ハミルトン議長も委員会が事実の確認に動き出す事を示唆し、週末までに何らかの声明が発表される見通しとなった。911委員会は昨年、テロ事件が発生するまでの経緯をまとめた最終報告書を発表しており、その中で政府内の各機関が情報の共有化に消極的だった事がテロを未然に防げなかった原因の1つになったと結論付けている。ウェルドン議員によれば、「エーブル・デンジャー」は2000年9月、「ブルックリン」というコードネームで監視対象にあった4人のテロ事件容疑者の情報をFBIにも提供すべきと訴え、FBIが4人の身柄を拘束するように希望している。しかし、この訴えはペンタゴン内部の弁護士らによって却下される。アッタ容疑者らは合法的にアメリカに入国しており、捜査機関との情報共有は行えないというのが理由だった。

軍諜報部がなぜアッタ容疑者らを1999年の時点でアルカイダに関係した不審人物としてマークしたのか、ウェルドン議員はこの点については言及を避けている。AP通信の記者が9日に見せられたペンタゴン内部文書によれば、「エーブル・デンジャー」は1999年に組織され、陸軍特殊作戦軍のためにアメリカに潜伏するアルカイダ関係者の個人情報を入手する事が任務だったようだ。また、文書には陸軍内の情報局が「エーブル・デンジャー」に対して、アルカイダのメンバーらしき人物がニューヨークのブルックリンに潜伏している可能性があると情報を与えていたことが記載されている。しかし、アメリカ市民権や永住権を持つ人物に関する情報の追跡を懸念する声が少なからず存在したようで、陸軍特殊作戦軍はFBIへの情報の提供を行わなかったと文書は指摘している。陸軍がFBI以外の政府機関に情報を提供したかどうかについては、現在のところ全く不明だ。

マイケル・ジャクソンの性的いたずらをめぐる裁判で無罪評決を下した陪審員の2人が、8日夜にMSNBCの報道番組に出演し、「今となっては無罪評決を後悔している」と複雑な心境を語った。この発言を受けて、マイケル側の弁護士トム・メゼロウは「陪審員が今になって何を言おうとも、判決内容に変化が生じるわけではない」とAP通信の取材に対してコメントし、月曜日にテレビ出演した2人の陪審員が本の執筆で大金を得ようとしていると批判した。「12人の陪審員が熟考した上で、評決は下されたはずです。2ヵ月後に、その陪審員が自分の信念を変えてしまうとは。まぁ、ただテレビに出たかっただけなんでしょうね」、メゼロウ弁護士はそう語っている。月曜日にテレビでインタビューに答えた陪審員のエレナー・クックさんとレイ・ハルトマンさんは、原告の少年が実際に性的いたずらを受けていた事を確信していると語った。

「疑う余地も無く、少年は性的ないたずらを加えられたと思います。また、ある意味で少年自らがマイケルの玩具的存在になる事を楽しんでいたようにも感じられました」、79歳のクックさんはそうコメントした。2人のコメントで評決内容が変更されることは無く、検察当局も控訴を行えない。しかし、昨夜の番組に出演した2人の陪審員によれば、他の陪審員達の間でポップスターのジャクソンに有罪評決を下す姿勢は当初から存在しなかった模様だ。クックさんとハルトマンさんが今になって心境を語ろうとした背景だが、2人は金銭的な理由ではない事を強調し、現在の司法制度がどのように動いているのかを明らかにしたかったのだと語った。「真実を語るのに遅すぎるという事は無いと思い、口を開く事にしたのです」、クックさんはそう語っている。

MSNBCの司会者は「ほかの陪審員達との関係は今後どのようになるでしょうか?」と質問し、その問いに対してクックさんは、「怒りたければ怒ればいいでしょう。でも小児性愛者を野放しにしたのも事実です」とコメントした。また、ハルトマンさんは陪審員達がマイケル・ジャクソンという名前に感化され、検察側が用意した証拠類になかなか目を通さなかった事に怒りを覚えていると語った。ハルトマンさんは以前から陪審員たちが評決にいたるまでの過程について何度かコメントしており、陪審員達が無記名の評決投票を行った際、マイケル被告を有罪とした3票のうちの1つが彼のものであったと語っている。また、クックさんも以前に出演したABCの報道番組で、「マイケル被告が性的いたずらを行っていたかもしれない」という問いに手をあげた3人の陪審員のひとりだった。ニューヨーク・デイリーニュース紙は4日、ハルトマンさんとクックさんが共同でジャクソン裁判に関する本の執筆を計画していると報じた。

サッカー界の伝説的名手ディエゴ・マラドーナをテーマにした映画が、イタリアで製作されることになったようだ。イタリア映画界の大御所ディノ・リーシ監督(アル・パチーノ主演のセント・オブ・ウーマンのオリジナル版を70年代に撮った監督で、僕はオリジナル版のほうが好きだ)の息子マルコが、1986年のワールドカップ(アルゼンチン対イングランド戦)でのゴールめぐる物語を監督するようで、タイトルは「La Mano di Dio(神の手)」になるらしい。マラドーナのドキュメンタリーは過去にも制作されているけど、俳優を使ったドラマは今回が初めで、マラドーナ本人もすでに承諾しているんだとか。ラ・リパブリカ紙に載ったリーシ監督のコメントがなかなかのものだったので、ここに紹介しておきます。「マラドーナが生まれる前からサッカーはすでに存在し、彼の死に関係なく、これからも存在するでしょう。でも、サッカーに大きな影響を与えた天才がいたという事実は否めません。絵画でいうバン・ゴッホ、音楽でいうチャーリー・パーカーのような存在でしょうね」