福岡県糟屋郡須恵町 リヴ動物病院           こちらで病院紹介を行っています。

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動物の麻酔について(後編)

2013年11月20日 | 診療科目

今回は前回の麻酔の続きをお話ししたいと思います。


 当院での麻酔はどのように行っているかを実際に全身麻酔をかけて手術を行う様子を写真で示しながら説明していきます。(今回は去勢手術の様子です。)

 

1 導入薬(短時間の麻酔薬)を意識がなくなるまでゆっくり血管内に投与します

  

 投与し始めると2~3分で力が抜けて眠くなってきます。眼瞼の反射の状態や呼吸状態、口に力が入っているかで次のステップに行くかどうか判断します。

 

これが当院にて、主に用いている麻酔導入薬です。人の全身麻酔でも用いられる比較的新しい麻酔導入薬で、以前使用していたものと比較すると麻酔導入が格段に安全になりました。


2 専用のチューブを気管に挿入して、呼吸の管理とガス麻酔薬の投与を行います。

    

  このチューブからガス麻酔薬と酸素を直接肺に入れることで、ガス麻酔がかかり、また呼吸状態をしっかり管理することができます。

  ガス麻酔濃度が安定する頃には最初の導入薬の効果が切れ、この後の手術中などは基本的にガス麻酔薬で麻酔を維持します。

 

        

左が当院で使用しているガス麻酔薬、右が麻酔器です。

右の器械で麻酔薬を気化させて酸素と合わせて吸入させることよって、麻酔がかかります。

 また麻酔器でガス麻酔薬の濃度を増減し、それぞれの動物や手術に適切な麻酔のかかり具合に調整していきます。

 


3 麻酔導入直後、すぐに心電図などのモニターを設置して、心臓の動きや呼吸状態をチェックします。

     

 麻酔中はこのように数種類の機器を装着します。

 

当院では、モニターの項目として主に心電図、パルスオキシメーター(血液中の酸素飽和度と脈拍測定)、カプノメーター(呼吸中の二酸化炭素濃度やガス麻酔濃度測定)、非観血式血圧計、体温 を測定します。

また、麻酔によって呼吸が抑制された時は人工呼吸器によって呼吸回数、換気量、気道内圧を増減させ、体の中の酸素と二酸化炭素の量も調節します。

 

 4 このようにさまざまな項目を確認することで、ガス麻酔濃度や人口呼吸器を用いた呼吸回数の調節、薬剤を投与することで血圧を上昇させたりと体の反応を調節し、異常をなくし、常に全身の状態を確かめながら麻酔を行うことで初めて、安全に手術を行うことができます。

     

 


5  手術が終了したら麻酔を切って動物たちの反応を見ながら機器類を外していきます。

 目が覚める直前に気管チューブを外し、しっかり意識が戻るまで観察します。

 

今回は避妊や去勢など行うときの健康な動物に対しての麻酔方法をご紹介しました。

さらに痛みを伴う手術や心臓や肝臓が悪いなど病状が重い子ではそれぞれの状態にあった局所麻酔や鎮静・鎮痛剤を組み合わせて全身麻酔を行い、予想される麻酔のリスクを軽減することも行います。

当院ではこのようにして常に動物たちの状態を確認しなが麻酔を行うことで、 日々より安全で動物たちの負担が少ない手術や処置を心がけています。


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