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尿管結石のエルちゃん

2015年12月20日 | 診療科目

昨年末に「会陰ヘルニア」で佐賀県から来院されたエルちゃんですが、ご家族の適切なサポートのもとなんとか自力排便ができるようになって、みんなでホッとしていたのですが、「2−3日前から急に動かなくなって元気と食欲がない」ということで来意されました。

今回のお話には手術中の写真が含まれていますのでご注意ください。

エルちゃんはもともと「椎間板ヘルニア」を持病として持っており、夏にも一度発症した経緯もあって「また、椎間板ヘルニアなのかな?」と思っていましたが、念のために「血液検査とエコー検査をしておきましょうね」と検査をさせていただきました。

すると、血液検査では重度なCRPの上昇とエコー検査では左側腎臓の腎盂の拡張および腎盂付近の拡張した尿管内に結石らしき影が見えるではありませんか!

↑左側腎臓のエコー初見

ちなみに、その時のエルちゃんは横たわって立てない状態でした。

さて、この状況は腎結石が尿管に移動して尿路閉塞を起こしていると判断されます。

追加の検査として尿路造影検査および尿検査を実施したところ、間違いなく左側の尿路の閉塞が認められましたが、幸い右側の腎臓はちゃんと機能しており、仮に左側の腎臓機能が回復しなくても生きていける可能性が高いと判断出来たので、命を助けるための手術を実施することにしました。

結石摘出のために開腹すると、予想以上に炎症と出血が起こっており尿管の閉塞部位を探し出すのに時間を要しましたが、なんとか無事に結石を摘出することができました。また、摘出した時に腎盂内から膿が出てきており、閉塞だけではなく化膿も起こしていたのでこれほど状態が悪かったのですね。

 

術後は予想通り回復が悪く、化膿を起こしていた原因菌が薬剤耐性菌であったことと重度な低蛋白血症と貧血に悩みましたが、術後4日目から少しずつ回復していき、14日後になんとか無事に退院することが出来ました!

↑抱っこされて帰るエルちゃん(とても嬉しそうですね!)

今後はダメージを受けた左側の腎臓の機能回復を願いながら、チェックおよびサポートを続けさせていただきます。

最後に、犬猫の尿管結石について

尿管結石は人でも激痛で苦しいと言われていますが、腎臓付近の痛みは腰の痛みとよく似ているので注意が必要です。

また、人の尿管結石では水分を多量に摂取して膀胱まで流し落とす治療が行われることがありますが、動物病院に連れてこられるほどの症状が出ている犬猫の尿管結石では外科治療が第一選択になりますので、この点も人と異なりますね。

獣医師 佐藤

 

 

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