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異物で不完全腸閉塞を起こしたアンコちゃん

2015年09月14日 | 診療科目

2歳のボストンテリアのアンコちゃんです。

 

3日前から数回吐いて、今朝は元気もなく、ご飯もおやつも食べないとのことで来院されました。

病院でも、いつもは元気で人に近寄ってくるアンコちゃんですが、今回は診察台に乗ってから動こうとせず、明らかに調子が悪そうです。

嘔吐は上部消化器はもちろん、腎臓や肝臓、感染症なども原因として考えられるので、腹部を全体的に見る為に、血液検査、腹部エコー検査、レントゲン検査を行いました。 

血液検査では肝臓・腎臓の値など著変はなかったものの、CRPという炎症反応を示す値が測定上限の20 mg/dl以上でした。

エコー検査 

 

小腸(十二指腸、空腸、回腸)に構造が変化しているなど、大きな異常は認められません。しかし、あまりご飯を食べてない割には、内容物も多く、腸の動きが悪いように感じられました。

また、ガスの貯留も多くはっきりと見えない部分も多くありました。

レントゲン検査

 

やはり、小腸にガスが溜まり、軽度の拡張所見が認められます。レントゲンでは気体が黒く抜けて見える為、小腸領域の黒い管状部分として判断します。」。

また、飼い主さんのお話では元々、何でも口にする性格で食べ物以外を食べている可能性もあるとのことでした。また、ここ数日、お家への来客も多く、人の出入りが激しかったとの事です。

 

以上のことから、異物による不完全腸閉塞もしくはウイルス等による機能的な腸閉塞を起こしていると考えました。

完全に腸が詰まっているというわけではないので、まずは内科治療(輸液、抗生剤等)での経過を見てみました。

もし、完全に腸に異物が詰まってしまう場合は、外科手術で取り除くしか、治療方法はありません。

 

幸いなことに、翌日にはアンコちゃんの顔つきも良くなり、食欲も出てきました。

レントゲンを撮ってみると

 

小腸内のガスが減っています。またエコー検査でも、内容物が減っており、腸が動き始めたと考えられます。

3日目には排便し、便を調べてみるとかなり固い部分があります。洗い流してみると・・・

消化されかかっていたので分かりにくいですが、直径2~3cm程の松ぼっくり?のような木の実だと思われるものと、オレンジのひもがでてきました。

急激に良くなったことからも、これが原因だったと思われます。

その後、アンコちゃんは無事退院しましたが、腸の受けたダメージは回復に2週間ほどかかるため、治療はもう少し続きますが、順調に回復しているようです。

獣医師 小芦

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