熱帯果樹写真館ブログ

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スモモもモモもサクラ属です

2007年03月10日 | スモモ
 沖縄本島北部にある名護市では、2月末にモモ(キームム)の満開期が終わり、これからはスモモが開花期を迎えようとしています。


写真1:モモとスモモの花


 スモモとモモは、どちらも植物分類学的にはバラ科(Rosaceae)サクラ属(Prunus)に属する植物です。
 温帯果樹中「核果類」といわれる種類はほとんど全てがサクラ属に含まれ、その数が多いことが知られています。

 今回は、「スモモもモモも桃のうち」と混同されがちなスモモとモモの違いを植物分類学的に説明したいと思います。

 スモモやモモが属するサクラ属には、以下の共通する特徴が挙げられます。

○サクラ属の特徴
 ・高木になる。
 ・核芽は多数の重なりあった片鱗で覆われる。
 ・葉は互生し、通常鋸葉縁で、托葉がある。
 ・花は完全花で、5弁、5がくで、雄ずいは多数あり、
  子房周囲生、雌ずいは1個、花柱は長く、2胚珠である。
 ・果実は核果で、通常1種子である。



 またサクラ属は、モモ亜属(Prunophora)、オウトウ亜属(Cerasus)、スモモ亜属(Prunophora)に分類されます。
各亜属の特徴は表1とおりです。

表1:バラ属の3亜属の特徴


 従って、ウメとモモの花序の形態は写真1及び表1のとおり、どちらも花軸が枝分かれせず花軸の先端に1個の花を着ける「単頂花序」ですが、芽中における葉の形状で区別することができます。

 表1で挙げた花序の形態3種類は図1の様に模式化することができます。


図1:バラ属3亜属の花序形態
(「ビジュアル 園芸・植物用語辞典」.家の光協会.より抜粋・加工)


 次に芽中の葉の形状ですが、新芽の形状でも名残が見られますので、写真と模式図で説明します(写真2、図2)。


写真2:モモとスモモの新芽


図2:芽中の葉の形状
(「ビジュアル 園芸・植物用語辞典」.家の光協会.より抜粋・加工)


 写真2より、モモの新芽は二つに折られた状態で芽吹いていて、スモモの新芽は螺旋状に芽吹いているのがわかると思います。

 因みに本土ではサクラの開花が待ち遠しい頃でしょうが、サクラは集散花序で二つ折り状の芽吹きですので、お花見の席でのネタにでもして下さい。

○参考文献
 ・「世界果樹類図説」.中村三八夫.1978.農業図書株式会社.
 ・「ビジュアル 園芸・植物用語辞典」.土橋豊.1999.家の光協会.