7枚目の作品、三枚目のアルバムの制作モードが加熱している犬式。
(犬式的にはアルバムやマキシの分け隔てなく、すべてを「作品」として捉えている。毎回、それだけの思いとコンセプトを詰めて来たからである。わかりやすくいうなら、すべてがアルバムと同等であるということ。)
いま造っているものについて此処で触れるのは、作曲のエネルギーを逃がしてしまいかねないので控えるが、これまでになく徹底的に追い込んでいる。むしろ、その追い込み方についても追い込んでいる。
気に入らないリリックは一切残さない。
だから、現状まだ何にも出来ていない。
音はどんどん仕上がって行くから、焦るものである。
自分の求めるものが高くなっているぶん、中途半端を許せなくなっている自分がいる。
2002年のマキシシングル『犬式』でポテンシャルの高い新人という評価で現れた犬式も盤を出し始めて今年で7年目に入る。
中堅に差し掛かったところで、色々な事情で紆余曲折を経たせいもあるが、ここいらで「疑いようのない結果」を出したい。
ライブで誰にも出来ないことも数多やってのけてきたし、これまでの盤にも一点の曇りもない。
でも、憧れて来た人たちにはまだ追いついていない。
時代の望むものとか、トレンドは俺たちにはあまり影響しない。
ただひとつ大事なのは、本当に人生を根本から影響されて血肉と化して来た、スライストーンやウエイラーズやピンクフロイドに頭を並べられるか、というそれのみなのだ。兄貴たちに、認めてもらえるか、というそれのみなのだ。或いは敬愛するDJの光くんがかける無数のドエライ格好いい盤たちに並べるのか、ということのみなのだ。ブルーハーブやドラへビやボアダムズやミュートビートやじゃがたらくらい、日本のシーンで光る孤高の存在感を築けるのかということなのだ。
結果、おれたちが正しいと信じるその思いが、世間や時代を少しでも良い方向に導けたならば、音楽が往年の力を取り戻した証になるだろう。マーケティングありきの「これなら売れるだろう」と伺ってはスタイルを変えて行くKYミュージックではなく、「格好いいってこういうことだろ!?」と叩き付けて空気を造る、KTミュージック、すなわち本当の「芸術」、アーティストと呼ぶにふさわしい生き様と腕と考え方と感じ方を持っているものが、いまこそ表舞台でブイブイいわさなくちゃならない。時間はかかっても、すこしづつ状況を変えて来たと思っている。
nbsa+×÷VOL.4は914にAGEHAでやる。
そして今、決定打が、欲しい。
俺たちの新大陸を、見つけ出すための航海は、壮絶を極めつつある。
時間的制約、金銭的制約、才能の限界、人生の展開。
色んなことを感じつつ、やっぱりこのサイクルがやめられない俺がいる。
今回は、イメージに何処まで近づけるのだろうか。
そもそもおれはいま、何をやろうとしているのだろうか。
天は俺に何を与え、何を望んでいるのか。
何度も何度も堂々巡りに陥りながら、いまとなっては「造るとはだいたいそういうもんだ」と開き直っている自分がいるので、自分の築いて来たキャリアに少しは自負を持ちながら、それらを容易く吹き飛ばしてくれる次の作品のために、決してあきらめずに彫り進んでいく所存である。
皆様日々充実を得ようと、いやそんなに高尚でばかりはいられない日常の些末なことごとと向き合いながら、忙しくしているのでありましょうが、西東京東端らへんで、犬どもがこさえているこの愛の爆弾に、期待を膨らませておいてほしい。
そろそろ衛生軌道が地球の影に入るので、交信を終えます。
ガー ピー .......