石川県七尾市での漁港夏フェス『GREEN FESTIVAL』から10日ほど。

上田と広島へ携えていくセットを
いつになく熱いスタジオ練習にて仕込んでいた犬式であった。

8月の2日に、
我々犬式のメンバーにとって特別なアルバム『OUT LOW』を作ったUKの
オリジナルスタイルサウンドシステム野郎 LSK と出逢うことができた。
6月に京都メトロで同じステージに立ったUKのファンクバンド
NEW MASTER SOUNDSのメンバーらがいるパパダブバンドに、
シンガーとして彼が5度目の来日。

対バンする盟友cro-magnonバージョンの「真冬のラスタファリズム」を唄うべく、
そしてオープニングDJを務めるべく、
僕は大阪は梅田シャングリラの一周年イベントへと赴いたのである。

クロマニオンでのゲスト参加を見たLSKが自分のステージの最後に僕と
ファンキーMICをステージに呼び、三人でフリースタイルで廻した。
「なんだあのロングヘアーガイは!?」と皆認めてくれて、
バイブスがあがりまくった。

ライブ後に彼と楽屋裏でテキーラに酔いながら熱く語ることができた。

俺が素直に認めてる数少ないマイク持ちの一人。
はっきしいってちょっと憧れてた人。
彼もジョー・ストラマーに会っていた。

そんなこんなで、その勢いのまま4日の長野県上田市の超市民たちによる手作りの野外フリーフェス『上田JOINT』のステージへと向かうことができた。
主催の白石トシゾー(tengaku dub)は、今年もまた一回り逞しくなっていた。
上田城の本丸の南側にある物見櫓二棟がLRに配置しているその真ん中に、
ステージがある。まるで、城スピーカーみたいな気分になる。

そして上田のマッシブは実にエネルギッシュ。
老若男女がものすごい熱気でステージを包んでくれる。

「嗚呼、かつて上田の人々はこうして上田城を守ったに違いない」
と、歴史オタク中学生だった僕は感慨深かった。(勝手に)
いや、間違いなく、山ん衆(やまんちゅう)のパワーはすごい。
600人くらいで1500人くらいのパワーを生み出せるのである。

市の教育委員会や、地元の自治会なども厚い支援と理解を寄せて
この素晴らしいロコフェスティバルは、5年の歴史を重ねて
もはや当地の夏の顔となり始めている。

3日間の開催中、犬式のほかにcopa salvoやcro-magnonにkeyco、らぞくなどの
仲間たちが数多く出演してイベントの中核をなしている。
そもそもこのイベントはSOIL&"PIMP"SESSIONSを上田に呼ぶために
上田ジャズフェスティバルとして5年前に始まったといっても過言ではない。
さらに今年はニューオリンズから招いた93D feat. Russell Batiste(VIDA BLUE/THE FUNKY METERS) という目玉が最終日に控えていた。

が、我々犬式は6日に広島のフェスタ・デ・ラマに向かうべく、
初日のトリを爆裂的に務めさせていただいて、夜中に東京へ帰った。
ナクナク。
これは此処二年の贅沢な悩みである。
上田から広島は瀬戸田への強行移動。

さらにさらに僕は5日のラマに出演するHIFANAのステージで、
昨年うまれた名曲「MR.BEER」を唄うべく、
メンバーより一日早く広島入りした。

広島マッシブがこれまた熱い。
そしてラマはサウンドシステムが非常にパワフルなのである。
音が破壊的なまでにいい。
とりわけLITTLE TEMPOの内田さんや、おそらく犬式での犬島ンなどが
PAブースで魔法をかけるにはもってこいだと感じている。
しかも会場と海を行き来しながら楽しめる。
海でプカプカしながらサケロックのいなたい乱行に目を細める。
しかし、デイタイムのラマのステージが日本でもっとも熱いステージだと、
断言する。サンセットよりも、ラマのほうが熱い。地面がコンクリなのと
真南向きなのとで、文字通り「目玉焼き」が焼けそうなのである。
熱くなった機材で。
それもまた一興。
昨年は昼の三時に目を廻しながらステージをこなしたが、
今年は「へっへ。」とにやけながらcopasalvoらが真昼のラマで
スポーティに汗をかいているのを脇から楽しむことができた。

ライムスターやザゼンボーイズなどの大御所を押しのけて
8月6日という広島(そして日本)にとってもっとも意味の深い日の
オオトリを犬式に託してくれたという、
そのラマ実行委員会の面々の気持ちにこたえるべく、
我は朝から海で泳ぎ、楽屋テント裏でカンカン照りの下サッカーをし、
水をたくさん飲んで蛸飯をいただき、ビールを飲んで会場を歩き、
すぐに取り囲まれては人々と写真を撮影し、
フランクフルトを買いに行くのに30分を擁し、
本番二時間前からはあらゆる人との接触をシャットアウトして集中を高め、
瀬戸田の海に暮れていく余りに美しい夕陽に平和を祈り、
この世の人間の心を支配する悪魔との闘いに赴くピータートッシュ先輩の
ような面持ちで、ステージへと向かった。

8月6日という日の、広島の一番大事なステージに最後に立つというのは、
我は毎回そうなのだが、とりわけ命掛けなのである。

無事果たすことができて、今なお感慨深いものがある。

熱狂と踊りと祭りが爆発したうえに70発の打ち上げ花火が
ビレッジバンガード讃歌の最終コーナーで次々に打ちあがり、
しかもその最初と最後の二発のキュー出し権が僕にあったという、
奇跡みたいなライブだった。

仕掛けた人々も、集った人々も、本当にお疲れ様でした。

上田も、広島も。
最高の夏フェスです。

ローカリズム万歳!!!!
日本はモノ造りの国だ。
そう感じさせられた三日間でした。

すべてに、ありがとう。

写真)7日の帰京前、福山城にて犬式メンバー。充実と疲れの入り混じった顔。
撮影者D氏の指が入ってます。あしからず(笑)。


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