ぶらぶら★アフリック

アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

『愛しのアフリカンポップス~リンガラ音楽のすべて』

2014-03-01 07:30:59 | アフリカ音楽・アート・文化
先日、がらくたで埋まっているンボテ家、1階にあるお道具部屋。三種類のものしかない。海道具、アメリカンなおもちゃ、そしてアフリカ図書&グッズ。探し物を目当てにごそごそしていると・・・おお、出てきた!ずっと探していた名著!それは、、、

『愛しのアフリカンポップス~リンガラ音楽のすべて』(大林稔著、ミュージック・マガジン社、1986年)



かの仏語圏の大先輩にあたる、龍谷大学の大林稔先生が、若き日、在ザイール日本大使館の専門調査員としてキンシャサ在住中にお書きになられた本だ。

ちょっと興味深いのは、この本の著者略歴の中で大林先生、「ペンネーム、黒田わたる」と紹介されている。この名前にはどんな事情と想いが??


この本の裏表紙の帯には、本のあらましとしてこう書かれている。
「アフリカのポップ・ミュージックの中で、最大の影響力を持つのが、ザイールのリンガラ音楽だ。

その甘いボーカルと、スピード感あふれるリズムが、ブラック・アフリカの国々に深く浸透している・・・

日本では全く知られることのなかった、
リンガラ音楽の全貌を解き明かした待望の本。」



これだけでブログ10回分くらいのネタが詰まっている。鼻血興奮ものの本だ。(失礼・・・)

まずミュージック・マガジンというだけでテンションあがる。ンボテは小学校後半、つまり80年あたりから洋楽にハマっていくのだが、はじめはチャート追っかけ屋で、レコード買うお金で、Billboardとか、Cashboxを買いあさっていた。そういった中で、だんだんはやりではないスタンダードナンバー、サブカルの魅力を知っていく。雑誌的にいえば、FM station>Rock'in on>ミュージックマガジンと推移。音楽番組でいえば、Best Hit USA>Sound Street>Wolfman Jack。そして音楽的にもBob Marleyからレゲエに、レゲエからRocksteadyにと関心が移っていく。そういったときにサブカルのジャンルごとにディープな世界を提供してくれたのが、いつでも「ミュージック・マガジン」だったのだ。


さて、この大林先生の本。まさに80年代までのリンガラ音楽大全、ハンドブックといってよい。その歴史・系譜、時代を築いたアーティストやバンド、その舞台。歌詞に見るリンガラ音楽の世界。特に源流のタブ・レイ、時代を築いたTPOKジャズ(フランコ)、ザイコ・ランガ・ランガ(ニョカ・ロンゴ)、ヴィヴ・ラ・ムジカ(パパ・ウェンバ)など、ルンバ・ザイロワーズの第三世代までの動きをしっかり捉えた通史、通説といっていいまとめ方となっている。そして当時の音楽シーンの勢いが時を超えてダイレクトに伝わってくる。


最もンボテが大切にしている箇所は「あとがき」。大林氏は、このように記している。

「私がザイールに発った時、一般のアフリカといえばジャングルと未開の生活のイメージしかなかった。2年ぶりに帰国してみると、それに飢えた難民のイメージが加わったようだ。・・帰ったばかりの私には、やはり大事なことが抜け落ちているように思えた。つまりごく普通の生活を送る、あたりまえのアフリカ人をイメージすることは、日本では相変わらず難しいということだ。」

あれから約30年。われわれに進歩はあったのだろうか。

そしてあとがきは続く。「アフリカの「普通の人」の生活を知るにはまずリンガラを聞いてほしい。ここには彼らの喜び、悲しみ、怒り、感性のすべてがある。そして、現代世界のゆがみの中で最も苦しんでいるアフリカの人々が、その苦悩にも関わらず、いや、その苦悩の深さゆえに現代で最も美しく、また先進的なサウンドを、驚くべきパワーで作り出していることをあなたは感じ取るだろう。」

ンボテが自称「芸能活動」を何のために、どういう視点でやっているのか。大林先生のこの「あとがき」に集約されている。ジーンとくる一節なのだ。


この本、1986年の出版、ンボテのものは第一版第一刷の初回本。そして今では残念ながら幻の廃版となっている。しかしンボテにとっては時空を超えて変わらないアフリカへの愛と問題意識に火をつけてくれた名著だ。

時折しも、2013年11月、タブ・レイ・ロシュロー逝去。2014年2月、キング・ケスター・エメネヤ他界。ルンバ・コンゴレーズの歴史が変わろうとする時。

今後、このンボテブログでも、リンガラ音楽、コンゴ・ルンバについて、自分なりの視点でいろいろ書いていきたいと思っている。



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