摂氏911

自然な生き方をめざす女性が、日々のできごと、感じたことなどをつづります。

映画「蟻の兵隊」を知ってますか?

2006-12-02 01:10:23 | 行ってきました
毎月1日は映画の日。
今日はどうしても見たい映画がありました。
「蟻の兵隊」--この話題作のことを
聞いたことがありますか?
終戦後まで、中国山西省に残留して
中国共産党軍と闘った日本兵のドキュメンタリーです。
10月にも岐阜市文化センターで上映会があったのですが、
その時は東京にいて見られませんでした。

なぜ終戦後も中国に残り、
共産党軍と戦わなければならなかったのか?
映画の主人公の奥村和一さんらが所属した
北支派遣軍第1軍の司令官が、
戦犯としての責任追及から免れるために、
中国国民党の軍閥と密約を交わし、
配下の将兵を国民党に合流させるよう画策したと
奥村さんらは主張しています。
しかし、国は部下を残して逃げ帰った司令官の
国会での証言などを根拠に、
奥村さんら残留兵は、勝手に残り戦争を続けたとして、
戦後補償を拒否しているそうです。
詳しくは、「蟻の兵隊」のサイトをご覧ください。

この話をあるメーリングリストで見た時は、
にわかに信じられませんでした。
母が空襲に遭い、さんざん戦争の話を聞かされた私でも
まったく聞いたことがない話でした。
自分でも第2次世界大戦の話は調べたりしていたのに。
いかに、今の日本でこの話がメディアから
無視されてきたかということが、分かった気がしました。

この映画の中で、どうにも涙がこみあげてしまった場面が
2つありました。
一つは、奥村さんが、終戦当時、日本軍全体の復員を
担当していた作戦参謀だった方を
病院に見舞う場面です。
年は97歳、脳梗塞で病院の床に臥しているその方に
奥村さんがこの話題を話しかけると、
ほえるような大声でその方が何かを必死に訴えようとするのです。
付き添う娘さんが言うには、前年に亡くなってもよかったはずなのに
悔しくて死にきれないのだそうです。

もう一つは、奥村さんが自分たち日本兵の残虐行為を確かめるため、
中国人の女性に話を聞く場面です。
当時16歳だったその女性は、
日本兵に連れ去られた上、殴られ輪姦されました。
奥村さんが自分の妻に中国でしたことを
話せないことを通訳が伝えると、
「あなたが好きでしたことじゃないんだから、もう話したら?
今のあなたは悪人には見えない」と言うのです。

映画の最後は、靖国神社に集まる人たちを映していました。
その中には、旧日本軍の軍服を着て行進する若い人もいました。
こんな光景を、山西省で戦後も戦い、亡くなった方は
あの世からどんな思いで見ているでしょうか。
過去を真摯に見つめなおすことができない限り、
この国が本当に美しく輝くことはできないと私は思います。


追記:
「蟻の兵隊」は、マイケル・ムーア監督の
「華氏911」と同じくらい、
私に深い感銘を与えてくれました。
あらためて映像の持つ力を感じました。
ここまで重たいテーマを扱うかどうかはともかく、
いつか自分も人の心を動かし、
行動を起こさせるような何かを作ってみたいと思います。