森元首相・プーチン大統領の会談で「2020年色丹・歯舞完全返還」が見えてきた!?
2017年8月27日 6時0分
週プレNEWS
鈴木宗男・新党大地代表と、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏による対談講演会「東京大地塾」。
7月9日、プーチン大統領と森喜朗元首相が会談を行ない、北方領土問題について議論を交わした。元外務省主任分析官の佐藤優氏は独自のルートで手に入れた情報から今回の会談には今後の対露交渉を方向づける重要な要素があったと指摘する。
北方領土は返ってくるのか? そしてそのタイミングとは?
* * *
鈴木 7月9日にロシアのエカテリンブルクで、森喜朗元首相とプーチン大統領の会談が行なわれました。私も会談を終えた森元首相と電話で話しましたが、今回の会談の内容は今後の日露関係および北方領土交渉を考えるにあたって大変重要なものになったととらえています。なので、まず本日は佐藤さんからこの会談の分析からしていただければと思います。
佐藤 はい。会談前後に現地で森元首相について取材していた記者たちのメモが手に入ったので、それを基に会談で何が話し合われていたのかを説明したいと思います。
まず、会談の雰囲気について。森さんはプーチンに「俺は遺書を書いた。おそらくウラジミール(・プーチン)と会うのはこれが最後になるかもな」と語りかけたそうです。旧知の仲の森さんがそんなことを言うものだから通常オフィシャルな席ではほとんど酒を飲まないプーチンも、珍しくワインをたくさん飲んでおなかを割って話していたそうです。そして会談では北方領土の共同経済活動に関して、かなり踏み込んだやりとりがあった。
まずプーチンは森元首相に安倍首相について「まじめで真摯(しんし)で大変いい人物なので好きだ。だから彼と日露平和条約の締結に向けて努力していきたいし、交渉をふたりで解決していきたいという気持ちが強まっている」と、好意的な感情を抱いていることを伝えた。この発言からもわかるように日露両首脳の間には強固な信頼関係が構築されているんです。
ここでプーチンが言っている日露平和条約を締結したいというのは、北方領土問題を解決したいという意味です。そしてプーチンはそれを「安倍首相となら一緒に取り組みたい」と考えているんです。つまり今、国内政治のゴタゴタで首相が代わってしまったら、北方領土が返ってこなくなりますよ。
さらに6月に予定されていたが、天候不良で中止になった元島民たちの飛行機による国後(くなしり)島訪問についてプーチンは「9月にぜひ実現したい。私も最大の努力をする」と言ったそうです。この発言も見逃せません。
飛行機による北方墓参はロシアからすれば北方四島の管轄権を保持したいので、日本をロシア側の航空管制規則に従わせたいんです。しかし日本はそれに従ってしまうと北方四島の管轄権がロシアにあることを認めることになるから容認できない。なのでこの飛行機による墓参を実現するために、日本側はロシアの規制に表面的には従わないスタンスをとっていて、ロシア側もそれについて深くは言及しないという暗黙のルールがつくられているんです。
しかし、ロシア国内には「日本をちゃんとロシア側の決まりに従わせろ」という勢力もある。それでもプーチンは森元首相に「9月に墓参を実現させたい」と伝えた。これは「ロシア国内の反対勢力は私が抑え込む」というメッセージなんです。
プーチンは公の場で安倍首相や日本に対して肯定的な発言をすることによって、「日本は北方四島の住民のことを考えて、経済協力などを一生懸命やってくれている。だったら、色丹島・歯舞群島を返しても問題ないじゃないか」という雰囲気をつくろうとしている。そうした空気がロシア国内にも浸透していけば、北方領土交渉は今後ますます好転していくでしょうね。
2017年8月27日 6時0分
週プレNEWS
鈴木宗男・新党大地代表と、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏による対談講演会「東京大地塾」。
7月9日、プーチン大統領と森喜朗元首相が会談を行ない、北方領土問題について議論を交わした。元外務省主任分析官の佐藤優氏は独自のルートで手に入れた情報から今回の会談には今後の対露交渉を方向づける重要な要素があったと指摘する。
北方領土は返ってくるのか? そしてそのタイミングとは?
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鈴木 7月9日にロシアのエカテリンブルクで、森喜朗元首相とプーチン大統領の会談が行なわれました。私も会談を終えた森元首相と電話で話しましたが、今回の会談の内容は今後の日露関係および北方領土交渉を考えるにあたって大変重要なものになったととらえています。なので、まず本日は佐藤さんからこの会談の分析からしていただければと思います。
佐藤 はい。会談前後に現地で森元首相について取材していた記者たちのメモが手に入ったので、それを基に会談で何が話し合われていたのかを説明したいと思います。
まず、会談の雰囲気について。森さんはプーチンに「俺は遺書を書いた。おそらくウラジミール(・プーチン)と会うのはこれが最後になるかもな」と語りかけたそうです。旧知の仲の森さんがそんなことを言うものだから通常オフィシャルな席ではほとんど酒を飲まないプーチンも、珍しくワインをたくさん飲んでおなかを割って話していたそうです。そして会談では北方領土の共同経済活動に関して、かなり踏み込んだやりとりがあった。
まずプーチンは森元首相に安倍首相について「まじめで真摯(しんし)で大変いい人物なので好きだ。だから彼と日露平和条約の締結に向けて努力していきたいし、交渉をふたりで解決していきたいという気持ちが強まっている」と、好意的な感情を抱いていることを伝えた。この発言からもわかるように日露両首脳の間には強固な信頼関係が構築されているんです。
ここでプーチンが言っている日露平和条約を締結したいというのは、北方領土問題を解決したいという意味です。そしてプーチンはそれを「安倍首相となら一緒に取り組みたい」と考えているんです。つまり今、国内政治のゴタゴタで首相が代わってしまったら、北方領土が返ってこなくなりますよ。
さらに6月に予定されていたが、天候不良で中止になった元島民たちの飛行機による国後(くなしり)島訪問についてプーチンは「9月にぜひ実現したい。私も最大の努力をする」と言ったそうです。この発言も見逃せません。
飛行機による北方墓参はロシアからすれば北方四島の管轄権を保持したいので、日本をロシア側の航空管制規則に従わせたいんです。しかし日本はそれに従ってしまうと北方四島の管轄権がロシアにあることを認めることになるから容認できない。なのでこの飛行機による墓参を実現するために、日本側はロシアの規制に表面的には従わないスタンスをとっていて、ロシア側もそれについて深くは言及しないという暗黙のルールがつくられているんです。
しかし、ロシア国内には「日本をちゃんとロシア側の決まりに従わせろ」という勢力もある。それでもプーチンは森元首相に「9月に墓参を実現させたい」と伝えた。これは「ロシア国内の反対勢力は私が抑え込む」というメッセージなんです。
プーチンは公の場で安倍首相や日本に対して肯定的な発言をすることによって、「日本は北方四島の住民のことを考えて、経済協力などを一生懸命やってくれている。だったら、色丹島・歯舞群島を返しても問題ないじゃないか」という雰囲気をつくろうとしている。そうした空気がロシア国内にも浸透していけば、北方領土交渉は今後ますます好転していくでしょうね。