日本の空を守るスクランブル!有事に備えて本番さながらに訓練 北海道・航空自衛隊千歳基地
産経新聞 4/24(月) 12:45配信
領空侵犯のおそれがある軍用機などに対する航空自衛隊の緊急発進(スクランブル)。中国機に次ぎ、ロシア機への発進が増加する中で、航空自衛隊の北部航空方面隊が戦闘機部隊を持つ、北海道・千歳基地の公開訓練を取材した。
北部航空方面隊は、千歳基地と、青森県の三沢基地に戦闘部隊を配備する。
防衛省によると、日本領空に接近した軍用機などに対する平成28年度のスクランブル回数は、前年度比295回増え、過去最多の1168回を記録した。
約7割が中国機に対するもので、次いでロシア機が26%に及ぶ。北部航空方面隊のスクランブルは、265回で2番目に多く、2日に1度はスクランブルがかかるという。
スクランブル訓練が公開された4月14日も、ロシア軍の偵察機や哨戒機など計6機が、午前から午後にかけての数時間にわたり、相次いで日本の領空に接近。うちTU142哨戒機2機は、北方領土上空を通過してから千葉県沖まで南下し、引き返した。千歳基地からも午前中にスクランブルがあったという。
■指令から離陸まで5分
公開日の14日は、降雪もなく好天に恵まれたが、基地内はさえぎるものがなく、風が体温を奪う。
千歳基地には戦闘機が約40機配備されているが、公開訓練には、2機のF15が待機していた。
コールサインと「スクランブル」のアナウンスとともにパイロット2人、整備員4人が建物を飛び出した。ヘッドセットを身につけ、パイロットははしごを駆け昇り、操縦席に乗り込んだ。
エンジンの爆音が鳴り響き、2機は滑走路へ。つんざくような音を立てて離陸したかと思うと、あっという間に視界から見えなくなった。指令から離陸までの時間は5分を切っていた。
カメラを構えていたが、あまりの速さに離陸のシャッターチャンスを逃してしまった。まさに、音速の世界だ。
スクランブルのため、実際に隊員が待機している建物は、「安全保障上の理由」ということで場所すら教えてもらえなかった。
戦闘機パイロットは、難聴やG(重力)による背骨や首の歪みなどの職業病を抱えるが、女性にも門戸が広がっているといい、女性パイロットが実際に誕生する日もそう遠くはないだろう。