William Walton's Spitfire Prelude and Fugue
この季節になると、庭のエゴノキの花が咲いて、緑の葉とともに風にゆれ、
レッスン室のピアノに映るのを見るのが好きです。
ウィリアム・ウォルトン作曲
「スピットファイア」前奏曲とフーガ
作曲者のウィリアム・ウォルトン(1902-1983)は1900年代のイギリスを代表的する作曲家の一人です。
(と言いながら、すみません、私は7、8年前まで知らなかったのですが)
すでに音楽史の流れには新しい動きもありましたが、この時代に作られたにもかかわらず、
前衛的でなく、だれにも親しみやすいメロディーで、機能和声に新しい響きやリズムがとり合わさり、
「新古典主義」に分けられることもあります。
このあたりは、絵画もそうかもしれないけど、どういう表現をするのかってむずかしいなと思います
この「前奏曲とフーガ」は、映画「スピットファイア」(1947年)からまとめ上げられた曲で、
日本未公開のその映画は、イギリスの戦闘機「スピットファイア」の生みの親、R.J.ミッチェルの生涯を描いた作品で、
作品公開の際にも、数々のドラマがあったようです。
曲は、まず前奏曲の勇壮で輝かしい金管楽器のオープニングが、なだらかにオーケストラに迎えられ、
明るく堂々としたスケールの大きな曲想は、エルガーの「威風堂々」や
ワーグナーの「マイスタージンガー」のプレリュードも思い起こします
続くフーガは、八分音符と十六分音符による小さなモティーフが、
緻密でリズミカルに編み上げられていくように、緊張感を持ってすすんでいき、
中間部では、ヴァイオリンの美しく悲しい歌が聞こえてきますが、
最後は再び、フーガのモティーフに、先の前奏曲で出てきたテーマが重なり、
輝かしい響きとともに幕をとじます。
風薫る5月も後半、
大空を翔るような曲を聴きながら、元気に明るい季節を