やっぱり本も好き

忘却率がUPしているのでメモとして

風の名前   高橋順子  佐藤秀明

2005年03月23日 18時19分00秒 | 
天の気 地の霊 人の声をのせて吹く
風は海からのおくりもの
辞典 歳事記 和歌 詩 エッセ- 写真
ペ-ジをめくると 懐かしい昔に帰ったような
不思議な風が吹く
風に名前を付けていた詩人がいた
 微風のマリ- すきま風のジュ-ン ミセス秋風
 又三郎はどうしてる? 知らないわ
 風の便りとはいうけれど マリ-もジュ-ンも
 噂を聞いても 風に流してしまったのだろう

無私の精神   小林秀雄

2005年03月23日 14時55分30秒 | 
実行家として成功する人は 自己を押し通す人 強く自己を主張する人と
見られ勝ちだが 実は反対に 彼には一種の無私がある。
空想は孤独でもできるが 実行は社会的なものである。
有能な実行家は いつも自己主張より物の動きの方を尊重しているものだ。
現実の新しい動きが看破されれば 直ちに古い解釈や知識を捨てる用意の
ある人だ。
物の動きに順じて自己を日に新たにするとは一種の無私である。

感服つかまつります思想でございます。

ありのすさび    佐藤正午

2005年03月23日 11時53分53秒 | 
年をとることは記憶を重ねるということにほかならない。そして記憶は
甘い部分から腐食してもろく剥がれ落ちる。つまりうまくいった恋の
記憶のほうから。恋は想いをとげた瞬間から腐りはじめるものだから。
そのことをいま年をとった僕もむろんあなたも知っている。
街で若い感じのいいカップルを見かけるたびに不意に切ない気分に
なるのは うまくいこうといくまいと いつか彼らの恋が記憶の層に
重なるだけだと知っているからだ。しかもうまくいかなかった方の
記憶だけ 鮮やかに残り続けることを知っているからだ。
この文章により 佐藤正午好きになりました。遅れたファンでしたが
デビュ-作まで読破するのは 簡単でした。寡作なので。

ビタミンF 重松清

2005年03月22日 17時06分23秒 | 
 家庭とは案外みんなが出て行きたい出て行きたいと思う所なのではないか?
という問題提起があり妙に納得。
最小の社会の単位としての様々な要素が家庭にはある訳で「ひとり暮らしをしたい!」
という欲求は子供の特権では無く親も又夫も又妻も又の共通した実現可能な夢
あるいは見果てぬ夢なのでしょう。

Portrait in Jazz 和田誠 村上春樹

2005年03月21日 15時07分49秒 | 
春樹ワールドは好きだけれど、ジャズという音楽に特別の思い入れはなかった。
が、読み進むうちに、びしびしとその魅力が伝わってくる。
たとえばビリー・ホリディについてのくだり
「ビリー・ホリディ晩年の歌を聴いていると、僕がこれまでにおかしてきた
数多くの過ちや、これまでに傷つけてきた数多くの人々の心を、
彼女がそっくりと静かに引き受けて、それを全部ひっくるめて
赦してくれているような気がするのだ。もういいから忘れなさいと。」
そんなフレーズを読むと、ビリー・ホリディを聴かなくちゃーと
ついつい思ってしまうのです。