某TV局制作会社から問い合わせの電話がありました。
「今、全国のお宮参りの風習を扱った番組を制作している」ということで
ご祝儀に関してや掛け衣装に関しての独特の風習があるかどうかを聞かれたのですが
いきなり聞かれて「はて・・・?」と答えに窮してしまったのは
単に私が無知なのもありますが
風習自体がもうほとんど消滅してしまっているせいなのだと思いました。
私は生まれながらの福島県民ではありますが
私はもちろん、親世代も風習に関していまいち無頓着であったような気がします・・・
なので、私自身たまたま神社に勤めているというだけですので
TV局制作会社のお兄さん、あなたは質問する相手を間違えたんだと思いますよ。
もしかしたら、別なところに問い合わせしたらば期待通りの回答が得られたかもしれません・・・
とはいえ、神社に普段いてたくさんの参拝客を見る立場であっても
独特の風習を引っさげて神社に参拝する方を見る機会は本当に皆無です。
たとえば、ですが
TV局製作会社の方は「お宮参りの掛け衣装に犬の張子とかをくっつけるという風習はありますか?」と聞いてきたのですが
たぶん、おっしゃっているのはこのことだと思うのですが
掛け衣装を使う方は大勢いらっしゃいますが
こんなふうに犬の張子やらでんでん太鼓やらを下げて、まできちんとされる方は
年間1~2組がせいぜいです。
それどころか「この掛け衣装ってどういうふうに着ければいいんですか?」と
私に尋ねてくるアラカン世代の姑さんが非常に多いんですよ。
そんな人が張子や太鼓の風習など知ってるはず・・・ないですよね・・・
その掛け衣装だってレンタルだという人が案外多いんじゃないでしょうか。
それどころかフリルいっぱいのベビードレスでお参りする人も多いですし
夏場などは暑いからと、赤ちゃんをタオルケットでくるんだだけでお参りする方だっておられます。
果たしてお宮参りの時に使った掛け衣装を仕立て直して七五三の時にまた使う、という人が現代はどれだけいるのでしょう。
有名芸能人プロデュースの襟元や袖ににフリルをあしらった七五三衣装を見るにつけ
さらに「お色直ししてドレスで撮影しましょう♪」なんて広告を見るたびに
本当に昔ながらの風習ってまさに「風前の灯火」なんだなぁと痛感します。
私などは「衣装はさておき、神社にお参りをしたいという気持ちの方が大切」という
いささか神社界にはあるまじき人間なもので
あまり偉そうなことは言えないのですが
やはり、消え行く風習をこのままにしておいていいのかという思いはあります。
そのためにも、まずは自分の故郷に残る風習に目をむけて学び尊んでいかなくてはと
今回の電話を通じて思ったのですが
実は電話を切ってから
ああ、自分の生まれ故郷はお宮参りは一般的な30日前後ではなく50日で行うという風習があったなぁと
ぼんやり思い出してしまったのは内緒です。