Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

土方歳三モードの五稜郭

2010年08月04日 | 
 函館といえば、歴史好きには「五稜郭」である。とくに、司馬遼太郎の『花神』にはまった中学生時代以来、幕末史に興味を持ってきた私にとっては、たまらない史跡である。特に数日前には函館奉行所が再建され、坂本龍馬ブームもあいまって、今、函館では幕末維新史が熱いのである。
 五稜郭タワーに上り、五稜郭全貌を見ると、やはりある種の感動がある。過去にはもどれなくても歴史の現場に立つことは重要なことだ。自分の目で史跡を見る、感じることは、歴史を学ぶものの義務だとぼくは思う。
 さてその五稜郭だが、驚いたことが一つ。とにかく土方歳三だらけなのだ。肖像、銅像、おみやげ、新撰組の旗などなど、とにかく土方歳三にあふれている。明治二年の新政府軍と旧幕府軍との戦いで、土方歳三が活躍したことは有名だし、五稜郭の外で戦死したことも史実だ。しかしそれはほんとうに戊辰戦争の小さな一コマに過ぎない。五稜郭は完全に土方歳三モードである。榎本武揚、大鳥圭介なんて影が薄いのなんのって……。

チャイニーズ・パワー

2010年08月03日 | 
 最近、秋葉原に行くと思うのだが、中国系の観光客がひじょうに多いのに気づく。私には、それが中国なのか台湾なのかの区別が言葉からだけではわからないのだが、聞こえてくるのは、いわゆる「中国語」なのである。中国が豊かになったこと、ビザが緩和されたことなど、いろいろな理由はあるのだろうが、それにしても驚くほどだ。
 この北海道でも同じである。どこにいっても中国語を耳にする。そして、気のせいかもしれないが、その声がとても大きい。昨晩、函館山に夜景を見に行ったとき、中国人の団体客の多さに愕然とした。たぶん4分の1は中国系の観光客ではないかと思うほどである。というか、ここが日本の観光地なのかどうか耳を疑うといっても過言ではなかった。
 中国から、そして台湾から観光客が来てくれるのは悪いことではない。日本の観光地もやっと、ドメスティックからインターナショナルへと変貌を遂げたわけだし、私個人としても、日本の風景や文化に興味を持ってもらえるのはうれしい。それにしてもチャイニーズ・パワーはすさまじいと実感。

1000万ドルの夜景

2010年08月02日 | 
 函館観光お決まりの函館山の夜景の見学に出かけた。「これを見なけりゃ函館観光は終わらねえぜ」といった典型的な夜の観光ルートである。
 展望台に上ると、写真で見たような100万ドルの函館の夜景が広がる。誰が見たって(そりゃあ例外的に何とも思わない人だっているだろうけれど)美しい夜景である。ぼんやりそんな光景を眺めてから、視点を右にずらした。
 そこにはイカ漁の漁火が数多く点在しているではないか。ほとんど誰も関心を払わない海の光が、暗い海にポツリポツリと花咲いている。ぼくはそんな風景をじっと見つけた。そして息子にこう言った。
「函館の夜景は100万ドルの夜景かもしれないけれど、ぼくには、この海に浮かぶ漁火が、1000万ドルの夜景に見えるよ。暗い闇に浮かぶ大きなダイヤモンドの粒のようだもの。」
 息子は静かに笑った。
「美しいものは、あちこちに存在しているものなんだ。ただ皆、美しいと決められたものだけに目がくらんで、それ以外の存在に気づこうとしないだけなんだよ。」
 

コンブ干し

2010年08月01日 | 
 今回の旅で最も北海道を実感できたのは、海岸沿いの小さな集落で、採れたばかりの海水に濡れて艶のあるコンブが干されている風景を見たときだった。
 函館の街は、ある意味、どこにでもある「街」である。朝市の風景というのは函館ならではなのかもしれないが、それもテレビを通して見てるから、そんな現実の風景を見ても特別な感慨はない。
 なぜか海岸沿いの集落で見たこともない大きなコンブが干されていたのを発見したとき、ぼくの心は高鳴った。ぼくは今、来たことのない場所にいる、そして北海道に来ているという現実を強く認識できた。海風に吹かれてゆるやかに揺れるコンブは、海の香りを私のもとまで運んでくる。ぼくは北海道にいるんだ……。