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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

「宇宙を戴く」研究会から学んだこと

2015年11月09日 | 大学
 先週の土曜日、神戸芸術工科大学で「宇宙を戴く」と題した研究会があり、それにスピーカー、また演者として参加した。この研究会は、神戸芸術工科大学の科研による研究会で、バリ舞踊「ジャウク Jauk」の冠に焦点を当て、最初と最後に、バリの舞踊家によって実際にジャウクが上演された。
 冠は、舞踊にとって重要な「道具」である。いろいろな舞踊により冠は異なることはバリの芸能をやっていれば誰でもわかることだ。演奏者は時に、舞踊家はほんとうにたいへんだと思うもので、なぜなら踊りごとに違う衣装や、革細工の高価な冠を準備しなければならないからである。バリでは舞踊のレンタル衣装屋がある。踊り手が各自衣装を持つのは不可能であることから、レンタル業が成り立つのである。それだけバリ舞踊が盛んであるという証でもある。日本でも結婚式、卒業式などのドレス、着物、袴などはレンタル衣装であることが多い。まさに舞踊の衣装がそれなのだ。
 ところが、私自身も踊り手の道具、衣装をそうした視点でしか見ていなかったのだ。しかしこの研究会は、ジャウクの冠が「マンダラ」の立体的な形態を持つことに注目した。いわれてみればその通りだ。確かに中心は須弥山で、火や水を象徴するような形が革細工の中にいくつも見られるからだ。そこから、この踊りは何を象徴するのか、ということにつながっていく。
 バリの芸能と関わってもう30年以上が過ぎた。しかし、まだ気づかないこと、わからないことだらけだ。それも、ふだん接しているもの、身近に存在していることにもそうしたことが溢れている。にもかかわらず、「当たり前」すぎて、「なぜ」という疑問そのものを持たなくなっている。こうした研究会や異なるジャンルの人々の目線、発言はこうした「なぜ」に気付かされるものだ。今回の研究会を通して多くを学んだ。製作中のワヤンの図鑑にもこの「冠」の視点をしっかり取り入れなくてはならない(ちょっと作業がストップしているのだが)。
 

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