「行きつけ」という響きはなぜか心地が良いものである。行きつけの飲み屋、行きつけのバー、なんてあれば恰好がいいものだが、私にはそんな洒落た場所は存在しない。「かかりつけ」というなら近所の内科があるか、こればかりは自慢できるものではない。ふと「行きつけ」を考えてみたのだが、あるではないか、というより「あった」ではないか!そう、那覇時代の「床屋さん」である。
それを思いだしたとたん、いてもたってもいられなくなり、今回の那覇出張に合わせて「そこ」に行かなくてはならないような、そんな気分になってしまったのだった。だから卒業式にも髪を切ることなく、昨日から訪れている那覇で散髪すると決めてその日を待ちわびた。
久しぶりの「行きつけ」の床屋は、モノレール工事の影響で、多少その外観に変化はあったものの、あいかわらず主人のハサミさばきは相当なもので、あっという間に私のオーダーを形にしてしまうというスゴ技を見せてくれた。なんだかすっかり満足してしまって、今日からの仕事はもうどうでもよくなってしまった気分であるが、髪が決まれば「しゃきっ」とするもの。久しぶりの「行きつけ」は数日間の那覇滞在のすばらしい「出だし」となったようである。