Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

鬼餅(ムーチー)

2008年01月17日 | 家・わたくしごと
 ぼくは香草が嫌いである。好き嫌いはほとんどないのだが、これ以上嫌いなものはないという野菜がセロリだった。そのせいか、SMAPの《セロリ》もヒットしてだいぶたってからやっと耳にしたほどである。タイにフィールドワークに行ったりしたものなら、とにかく食べ物にシャンツァイ(香菜)が山盛りで、もう息を止めて飲み込むほどである。嫌いなら食べなければいいじゃないか、といわれそうだが、そこはフィールドワーカーの意地みたいなもので、とにかく食べる。そして時にその後味に途方もなく後悔するのだ。
 さて沖縄では旧暦の12月8日に健康の祈願から月桃とよばれる匂いのきつい葉につつんだムーチーとよぶ餅を食べる。今年はその日が1月15日だった。研究室にこれをもってくる者もいれば、学科室にもたくさんのムーチーが置かれている。家に帰っても誰からかもらったムーチーがいっぱいである。しかし、当然ながら香草につつまれた餅を私は食べることができない。もう月桃の葉の匂いを嗅いだだけでも気分が悪くなるというのに、この香りが染込んだ餅を食べるなんてもってのほかである。
 タイではシャンツァイを食べるくせに沖縄ではなぜムーチーをかたくなに食べないのかと、以前、沖縄の音楽を研究する友人に言われたことがある。答えは簡単だ。
「沖縄にいるぼくはフィールドワーカーではない。」
 しかし、そんなフィールドワーカーを鼻にかける前に「郷に入れば郷に従え」という諺があることをぼくは忘れている・・・。