IC9700とIC705に共通な165MHzのスプリアス(約-63dBc)は、同軸ケーブルで作った1/4波長オープンスタブで低減できるのではないかと思って実験してみました。
まず、手持ちのNコネクタ付同軸ケーブルを、VNAuhfのポートAとポートBに間にT型コネクタで接続して、165MHzでS21が最大になるように少しづつ切り詰めていきました。コネクタの先端から同軸のカット部までの長さは365mmで165MHzの1/4波長となりました。(同軸ケーブルはCLF240で、誘電体は発泡ポリエチレン製)
このようにして作った同軸ケーブルとT型コネクタを30dBアッテネータとスペアナ入力の間に接続して、接続する前と接続した後で165MHzのスプリアスが、どの程度低減するのかを比較してみました。
結果は、全然変化なし・・・期待したスプリアス低減効果はありませんでした。
なんでだろう~なんでだろ?って色々考えたのですが・・・オープンスタブを接続することでインピーダンスが乱れてしまったことが原因かもしれません。
オープンスタブのノッチ周波数は、1/4波長となる165MHz以外にも、その奇数倍にも生じます。453MHzは、165MHzの3倍の周波数近傍であるため影響を受けているようです。ポートBに接続したまま(50Ωで終端した状態で)ポートAからSWRなどを測定しました。下の図に示すように、435MHzでのSWRは3.68にもなっていて、約33%の電力が反射されています。
上の図から、もしもfcが300MHz近傍だったら、上手くいったかもしれません。一般的には、スプリアスが余程都合の良い周波数に存在しない限り、同軸ケーブル製のオープンスタブで基本周波数(fc)の下側のスプリアスを低減させるのは難しそうです。
基本周波数(fc)の上側に存在するスプリアスの場合、fcの3倍以上なら上手く低減できるかもしれません。